ER動物救急センター

症例紹介:椎間板ヘルニア症例


同じグレード5という神経学的検査での評価では予後判定は困難な典型例 局所でも脊髄壊死・軟化症に陥っている症例では手術後の神経機能の回復は困難である。
進行性脊髄軟化症で死に至る(グレード5の2%:100頭中2頭)のを可能な限り防ぐために脊髄に対し大減圧手術を行い血行・CSF流を再開できるように、狭い椎間腔を大きく開創する。
そして徹底的な内科治療で脊髄保護療法を実施する。G-CSFへの期待も大きい。
一方、グレード5であってもMRI画像で脊髄軟化症所見もなく、手術所見でも壊死を肉眼で確認しない場合には、時間はかかっても神経機能の回復を引き出せる可能性は高くなる。
画像はMRI所見で脊髄壊死が疑われ、椎間板ヘルニア部位より頭側尾側に脊髄損傷範囲が広がっている画像。
しかも発症当日の急速な壊死・損傷の進行は椎間板逸脱物が多量に飛び出した時の強い外力による脊髄挫傷と硬膜外血腫等による虚血により壊死を引き起こす。
激しい症例では椎体の背側に椎間板部位より亀裂が入っていることもある。特にフレブルの発症。当日のグレード5は硬膜外血腫も多くかなり厄介になる。


椎間板ヘルニア症例

4月 頚部椎間板ヘルニア 1例

   胸腰椎椎間板ヘルニア 10例


M.DAX L1-2

椎間板ヘルニア グレード5
4月 2日 来院
4月12日 現在 ふらつきながらの歩行可能 


M.DAX T13-L1

椎間板ヘルニア グレード3 
4月 3日 来院
4月12日 現在 ふらつきながらの歩行可能 退院時元気に歩行可能


9才 A.コッカー C4-5

頸部椎間板ヘルニア
4月 8日 四肢不全麻痺で来院
4月12日 現在起立歩行可能
4月23日 再診時元気に院内を走る


9才 パグ 13-L1

椎間板ヘルニア 1-2カ月の経過のグレード3
4月16日 来院 辱創重度
4月20日 点滴終了しリハビリ積極的開始、まず筋量を戻すこととマッサージが重要
5月10日 サポート無しで歩行可能になったとご連絡あり


5才 M.DAX T13-L1

椎間板ヘルニア グレード5
4月17日 来院 昨日発症し当日にはグレード5
5月19日 4-5歩歩行可能 1か月後のさらなる回復に期待


13才 Wコーギー 22kg! T13-L1 L1-L2

椎間板ヘルニア グレード4
4月22日 来院
慢性の椎間板線維輪肥厚と黄色靭帯肥厚による重篤な椎間板ヘルニア


開胸手術症例2

5月19日 グレード3随意運動回復も体重に負けているが、ゆっくりでも神経機能が 回復していれば、根気よくリハビリを続ける限り回復基調は続く。床ずれが踵にできてしんどそう。
次の診察時には立位保持ができてくれば床ずれは治っていく。頑張ってダイエット!


M.DAX T12-13 T13-L1

椎間板ヘルニア グレード
4月26日 グレード5のためAM3:00より緊急のMRI検査及び即手術実施


開胸手術症例3

5月17日 歩行可能


M.DAX L3-4

椎間板ヘルニア グレード1
4月27日 グレード1であるが今後の懸念あり相談の結果、手術となった


M.DAX L2-3

椎間板ヘルニア グレード5
4月27日 来院
胃内容物が多量であるが神経障害が重篤であるため、誤嚥リスクをご理解いただきMRIから緊急手術


開胸手術症例4

5月18日
まだグレード4 
でも痛覚が戻ってきて、次に運動機能が戻ってくれば時間がかかっても回復していく。


M.DAX T12-13

椎間板ヘルニア グレード4
4月27日 来院
胃内容物が多量であったため半日点滴管理後にMRI検査から即手術となった。
キノコ状の圧迫は虚血壊死が心配なタイプ。


開胸手術症例5

5月15日
グレード2-3 入院治療中に膵炎発症


M.DAX T12-13

椎間板ヘルニア グレード5
4月29日 この症例もキノコ状の圧迫物 手術所見では強固な椎間板逸脱物 ほぼ骨化していた
5月10日 まだグレード5のまま

5月    頚部椎間板ヘルニア   1例
      胸腰椎椎間板ヘルニア  7例


ヨーキー C4-5

椎間板ヘルニア
5月 2日 起立歩行可能な不全麻痺であるが疼痛が激しいため手術を実施。


M.DAX T13-L1

椎間板ヘルニア グレード5
5月 4日 1週間の内科治療後急にギャンと鳴き深部痛覚消失したと緊急紹介。
即日MRI検査から手術実施。


ビーグル L3-4

椎間板ヘルニア グレード5
5月 6日 激しい背部痛症例。