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  • 【救急現場からの提言】24時間365日痙攣重積発作と戦うために…
    • ゾニサミドは「特発性テンカン」と診断された場合には抗テンカン効果が期待でき痙攣発生のコントロールが安全に行いやすい薬であります。救急医療をおこなってきて「特発性テンカン」ではない症例の痙攣重積発作時に混乱を飼い主が最もするのが「テンカンと言われ、ゾニサミド投薬中」のケースです。
      なにが混乱を生む問題か記載し獣医師が個々に考えてくださればと思い提言します。
      ここまで書くのは投薬を受ける動物のために、飼い主さんのために、開業獣医師が混乱しないための参考意見として欲しいからです。
      ゾニサミドの使用は「特発性てんかん」に限定していただくべきであると個人的には考えております。
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      提言の背景
      1)救急医療現場で最も痙攣コントロールに苦労する「痙攣重積発作」
        救急医療に10数年取り組んできましたが、夜間救急診療および日中の救急診療においても最も生命の危険が生じることの多い病状に痙攣重積発作での来院があります。
      痙攣重積発作で来院する症例の多くが実は脳炎・脳腫瘍・水頭症等による「症候性テンカン」であるのです。そのような中で7歳8歳での痙攣発作、10数歳での痙攣発作に対し近年ゾニサミドをファーストチョイスで処方する獣医師が増えております。

      2)症候性テンカンにおいては、仮に一時期抗てんかん効果がみられたとしましても、原疾患の治療でない対症療法としての抗けいれん薬投与ですので、どのタイプの抗痙攣薬を用いていても、痙攣をおこします。
      重篤化した場合には、ケイレン重積発作をご自宅で発症します。治療を受けるまで数十分~数時間の痙攣時間経過がかかります。日中の主治医を受診時にも通常の抗痙攣療法では痙攣を収束させられないことも多く、痙攣重積発作状態で、救急センターに転院となることも多々あります。来院時には41℃を越す高体温となり瀕死の状態であることも日常遭遇する状態です。
      ゾニサミド使用頻度増加により初期の痙攣が収束していた症例での重積発作が救急現場で増えており、安定後の投薬処方を変更する際に、飼い主の不安、対処に混乱が生じやすくなっております。

      3)症候性テンカン・特に重積発作での来院時には複数の問題が発症します。
      ①来院時の状態が横臥状態等採食や内服困難でありゾニサミドの投薬ができない。仮に投薬ができても全身循環が悪く熱中症状態からDIC懸念がある状態で脳障害・原疾患の安定のために初期治療後に遊泳・混迷に数日なる症例が多い(抗けいれん薬の投与による遊泳混迷状態の場合と脳障害による場合とある)
      ②ゾニサミド使用中のケイレン重積発作時の初期治療として通常施設ではジアゼパムやフェノバールを使用する。フェノバールの6mg/kg/1回では痙攣を収束できずに、追加投与を通常3-5回 計20-30mg/kgと使用しないとコントロール出来ないことが多い
      ③プロポフォールやイソフルランによる麻酔導入により痙攣を止めることが第一に行うことができない施設が多い。麻酔器は普及しているが人員体制として24-36時間眠り続ける管理が困難である。
      ④「ソニザミドで数ヶ月間も安定していた症候性テンカン」が痙攣重積発作を起こすということは、ゾニサミドノ血中濃度が安定していても痙攣を起こす状態であり、脳腫瘍の進行や水頭症の進行時には当然起こる症候性テンカンの痙攣重積発作である。
      ⑤痙攣重積状態で紹介されてくると遊泳運動状態・混迷昏睡状態であり、麻酔導入での挿管管理になることが多く、一度痙攣が収束しても翌日また翌々日に再度痙攣状態となりフェノバール投与が必要になることが多い つまり一度麻酔薬管理後に直ぐにゾニサミド内服とすることが困難
      ⑥重篤な症候性テンカンでは数日間の食事困難・横臥・混迷・遊泳状態などによりゾニサミドノ内服が困難になるが仮に経食道チューブ等で内服させても消化管の循環が悪化した状態、痙攣重積時のpreDICで高頻度に観察される下血・メレナ後の腸管から安定した薬剤吸収は期待できない
      ⑦内服薬の投薬の困難時の注射薬ではその使用頻度と安定性からフェノバールが最も使用される
      ⑧ゾニサミドでの日常管理中にフェノバールを投与することでゾニサミドの血中濃度は半減する つまり内服困難時にフェノバールで安定させている間にゾニサミドの血中濃度安定がやり直しになる
      ⑨痙攣重積発作時に「来院時のGPT>1000 GOT>500」などはよくみられる血液データーであるが、これは痙攣重積時による血液循環ショックによるものであり、循環ショックによる肝酵素上昇は肝不全ではなく、フェノバールの使用禁忌には該当しない。
       
      以上の動物の救急現場での治療背景を鑑み、犬の痙攣重積発作症例の痙攣コントロールにおいては、フェノバールを中心とした抗痙攣療法が安定的であると考えます。ゾニサミドの使用は特発性てんかんに限定していただきたいと考えます。

      2015年6月
      動物救急センター練馬・中野 統括センター長 西尾里志

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      わかりにくいと思いますので、少し簡単に書きますと、これらをどのように獣医師が考えて治療をしていくかでありますが、
       
      救急の現場においては第一にイソフルランやプロポフォールでの挿管・呼吸管理を行うことを推奨してます。

      これは特に症候性を疑う痙攣重積発作では、痙攣抑制に時間をかける抗けいれん薬の追加投与方法は好ましくなく、ジアゼパム過量投与により呼吸状態を不安定な状態になりならが呼吸管理をしない状態で痙攣が抑制されていたり、重積時間が長く高体温病状を引き起こしていることが多く、コレラによりさらなる脳圧亢進による脳幹部障害による脳死はもとより、横紋筋融解から腎不全状態に陥ることも日常的に観察されるからです。

      しかしながら一般病院において「即麻酔をいれましょう」とは言いにくいことが現実の診療現場での管理体制からあると思います(何時間も痙攣管理の麻酔下に人員を配置することが困難でもある)。
      結果的にほとんどがジアゼパムやフェノバールの大量投与となっております。そして痙攣がそれでも止まらない時、またとまっても遊泳運動や混迷昏睡状態になったときにERに紹介されます。そして上記のような状態となりますので、 症候性テンカンが疑われる場合には(救急病院2施設・高度センター1施設・大学病院発表1施設において55-70%が症候性テンカン)ゾニサミドでの維持は逆に困難を増やすことになります。飼い主さんは混乱します。

      ではどうするか。もちろんMRI検査や脳波検査がルーチンに行うことができない、つまり特発性テンカンかどうかは、可能な検査(血液検査、レントゲン検査、大泉門からの頭部超音波検査程度のみ)と獣医師の経験と勘によるという前提の中で処方される現実の中でゾニサミドを最初に使用することは整合性が疑問であります。

      その程度でコントロールできるのであればガバペンチンという極めて安全かつコントロールしやすい(内服を一日2回から3回必要時は4回使用しなくてはいけないが逆に言うと1回内服を失敗しても一日の中で飼い主さんが飲ませることがより確実にできる)薬もある中でゾニサミドを好まれる必要はないと考えています。多くは従来からのフェノバールでの安定で全く問題ないのです。そこにガバペンチンを併用することで十分な安定が得られます。そして大きな痙攣重積発作(起こすことは原疾患治療でないので避けられない)時に安定しているフェノバールの血中濃度に、さらに追加投与を行い、効果が薄ければイソフルラン導入で呼吸管理に置くことがより安定して安全に管理できます。

      症候性てんかんを疑う時
      1)フェノバールの血中濃度を安定させておく。痙攣発作時にはベンゾジアゼピンやフェノバールの初期治療(単回投与)でとまらなければ、症候性テンカンの痙攣重積発作の比率が高いことから、フェノバール過量投与懸念からも、早期にイソフルランコントロールやプロポフォールでのコントロールを挿管管理下でおこなう。この状態での安定であれば、バルビツールの遊泳運動は生じにくい。
      2)肝障害を老齢動物では抱えることも多くあります。また過剰な肝障害懸念の情報からフェノバールを嫌い、ゾニサミドを使用したい飼い主さんも多いことでしょう。
       この時は「症候性テンカンが最も疑われる場合には抗けいれん薬の血中濃度が安定していても、かならず発作はいつか起こると、しかもその時は大きな発作であり、フェノバールの大量投与か麻酔管理下が必要になる。」と老齢動物では特にご説明をしておく必要はあるでしょう。

      ご参考までに
       症候性テンカンを疑う痙攣重積発作の救急病院での基本的投薬治療
      1) 抗けいれん薬 フェノバール 重積数十分の横臥状態の来院ならばイソフルラン導入での挿管管理
      2) 脳圧下降剤の投与 グリセオール点滴投与
      3) ステロイド剤投与  痙攣重積来院時ソルメドロール15-30mg/kg 持続点滴2.5mg/kg/hr
                         安定後 プレドニゾロン0.5-1mg/kg
      4) プロテアーゼインヒビター(ウリナスタチン・ナファモスタット・シベレスタット等)・強肝剤・各種ビタミン剤 
      5) 頭部を枕で挙上し、頭部アイシング

      安定後ですがゾニサミドは特発性テンカンには素晴らしい薬ですが、適材適所として考えますと、やはり症候性テンカン疑いの強い痙攣重積発作症例にはフェノバール3mg/kg×BIDorTID  もしくはフェノバール3mg/kg+ガバペンチン20-30mg/kgが理想であると考えます。個人的には脳腫瘍・髄膜腫の外科後3年間に渡りフェノバール+ガバペンチンでのコントロール症例をはじめ基本的には上記の長期投薬により安定を得ております。
      自分の救急現場、MRI検査、脳外科の経験が、みなさまのご参考になれば幸いであります。

  • アメリカから腫瘍についての最新情報をお送りしています
    • ER学術顧問 大橋 絵美のアメリカ腫瘍最前線レポート
       (東京大学卒 獣医学博士 米国獣医師)
      アメリカの最新腫瘍治療および救急治療全般について月1回の臨床最前線レポートをお届けしております。協力連携病院の先生方は大橋先生の化学療法に関するアドバイスを受けられるようになります。お気軽にER練馬受付までお電話下さい。

      腫瘍最前線_第1回『メラノーマ』 2015年2月
      腫瘍最前線_第2回『肥満細胞腫』 2015年3月
      腫瘍最前線_第3回『ネコの注射部位肉腫』 2015年4月
      腫瘍最前線_第4回『犬のリンパ腫のレスキュー療法』 2015年5月
      腫瘍最前線_第5回『猫の消化管型リンパ腫』 2015年6月
      腫瘍最前線_第6回『猫の乳腺癌』 2015年7月
      腫瘍最前線_第7回『犬の血管肉腫(脾臓の血管肉腫)』 2015年8月
      腫瘍最前線_第8回『肛門嚢アポクリン腺癌』 2015年9月
      腫瘍最前線_第9回『組織球性肉腫』 2015年10月
      腫瘍最前線_第10回『電気化学療法』 2015年11月
      腫瘍最前線_第11回『骨肉腫』 2015年12月
      腫瘍最前線_第12回『腫瘍融解症候群(ATLS)』 2016年1月
      腫瘍最前線_第13回『猫の肥満細胞腫』 2016年2月
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      腫瘍最前線_第16回『猫の扁平上皮癌』 2016年5月
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