はじめに
尿管閉塞は早急な対応が求められる救急疾患である 。外科的治療には尿管切開術、尿管膀胱新吻合術、尿管ステント設置術、SUB (Subcutaneous Ureteral Bypass) 設置術などがある 。なかでもSUB設置術は、低侵襲かつ手技が比較的容易であることから広く普及しているが、感染や閉塞などインプラントに起因する合併症が課題となっている 。近年、これらの課題を背景に尿管膀胱新吻合術を選択する施設が増加しており、当センターでも尿管閉塞に対する外科的治療の第一選択として本術式を採用している 。今回、当センターにおける尿管膀胱新吻合術の治療成績について検討した 。
対象および方法
2024年4月から2025年8月にかけて、ライフメイト動物医療センター府中にて尿管閉塞に対して尿管膀胱新吻合術を施行した猫23例を対象に、品種、年齢、原疾患、手術内容、ならびに周術期および術後の経過について検討した 。
結果
- 品種内訳
- アメリカン・ショートヘアおよびスコティッシュ・フォールド: 各4頭
- その他 純血種8頭(各1頭)、雑種7頭
- 年齢
- 中央値8歳(範囲:2-15歳)
- 性別
- 去勢雄7頭、避妊雌16頭
- 原疾患
- 尿管結石による閉塞20例、SUBシステム設置後の閉塞3例
- 手術内容
- 片側手術20例、両側手術3例 (1例は2期的に実施)
- うち5例は腎瘻設置を先行して実施
- 周術期・術後合併症
- 貧血進行による輸血: 4例
- 腎瘻チューブまたはSUB 抜去瘻孔からの一時的尿漏出(尿腹): 2例
- 術後尿路感染: 2例
- 退院後短期経過での慢性腎不全増悪(尿路閉塞なし): 2例
- 吻合部の状態
- 癒合不全、閉塞、狭窄はいずれも認められず




考察
全例において術後の尿管疎通が改善され、吻合部の癒合不全や狭窄は認められなかったことから、本術式は有用であると考えられた 。一方で、貧血の進行により輸血を要した症例や、退院後早期に慢性腎不全が増悪した症例もみられた 。尿管閉塞により急性腎障害を呈する症例では、貧血や慢性腎不全を併発していることが多く、周術期管理や手術侵襲の低減については、今後の症例蓄積を通じてさらなる検討が必要である 。
執筆者 山下 傑夫
ライフメイト動物医療センター 府中 センター長