犬の耳掃除、方法や頻度は?洗浄液や嫌がるときのポイントは?

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愛玩動物看護師
監修者:渡邉鈴子

栃木県生まれ。帝京科学大学にて4年間、動物看護学をはじめとした動物関連の科目を学び、2023年5月には愛玩動物看護師免許を取得。これまでにうさぎや猫の飼育経験あり。現在では、ペット栄養管理士の資格取得に向けて勉強中。

犬の飼い主には、ブラッシングやシャンプーは定期的に行うけれど耳掃除はしないという方が意外と多いようです。たれ耳や耳の毛が長い犬は特にケアが必要です。

今回は、犬の耳掃除の方法と頻度、洗浄液や嫌がるときのポイントについてまとめました。

 

犬の耳掃除、方法1「耳の外側と中の状態をチェック」

犬 耳掃除

まずは耳の外側(外耳)をチェックします。外耳は汚れが目立ちやすいので、耳垢や異物で汚れている場合は洗浄液を含ませたコットンで押し当てるようにします。

耳の中の状態で「耳の中が赤い」「耳垢の色や耳の臭いがいつもと違う」といった症状がある場合は、外耳炎の可能性があります。耳掃除をする前に動物病院へ行き、診察してもらってください。

 

どういう耳垢が危険?

耳垢の色は体質によるので全てを判断することはできませんが、病気と関連するのは確かです。

黒い耳垢は「耳ダニ感染症」の疑いがありますし、茶色は「マラセチア」というカビが原因の皮膚病が疑われます。褐色や黄色などは外耳炎が疑われます。

愛玩動物看護師 渡邉鈴子さん
マラセチアの場合、抗菌薬での治療が必要です。もし異常だなと感じたら動物病院への受診をおすすめします。

 

犬の耳掃除、方法2「耳の中に洗浄液を垂らしてマッサージ」

洗浄液の量は数摘垂らす程度で十分です。入れすぎると耳の中に水分が残ってしまうことがあります。雑菌が増えて耳がますます汚れる原因になりますので、注意が必要ですね。

耳の根元のコリコリした部分を親指と人差し指で挟んで、洗浄液をなじませてマッサージをします。上手くマッサージができていると「クチュクチュ」と音が鳴るので、この音を目安にしてくださいね。

洗浄液は市販のものでも良いですが、ブリーダーや動物病院が薦める洗浄液が使いやすいですよ。

 

犬の耳掃除、方法3「首を振らせ汚れをふき取る」

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マッサージが終わったら、耳の中の洗浄液を外に出すために首をブルブル振らせます。手を離せば自然とブルブルしますが、しなかった場合には耳の中に息を少し吹きかけるとよいですよ。

耳垢が一緒に出てくれば、耳の汚れがとれている証拠ですね。飛び散った汚れや耳のふちをコットンなどの柔らかいもので優しくふき取れば耳掃除は完了です。

 

犬の耳掃除、注意点は?

犬 耳掃除6

犬の耳はデリケートですので、耳掃除はゴシゴシこすらないようにすることがポイントです。

力をいれてゴシゴシ耳掃除をしてしまうと耳の中を傷つけてしまい、外耳炎を引き起こします。綿棒は犬には刺激が強すぎます。耳を傷つけてしまうことや、耳の汚れを奥に押し込んでしまうこともあるので、コットンなどの柔らかいものを使用してくださいね。

愛玩動物看護師 渡邉鈴子さん
犬の耳掃除で、人用の綿棒は使用しないようにしましょう。犬の皮膚は人の皮膚よりも薄く、人用の綿棒で耳掃除を行うと、耳の皮膚を傷つけることになります。コットンなどで優しくふき取ることをおすすめします。もし落とせないようであれば、かかりつけの獣医さんにお願いするのがおすすめです。

 

耳掃除の注意点、耳の中に毛が生えている犬種は?

プードル

トイプードルやマルチーズは耳の内側に毛が生えており、皮脂や耳垢やほこりが毛に絡みついて、外耳炎を起こしやすいです。耳掃除をする前にイヤーパウダーなどの滑り止めを使って多少毛抜きをしてから、耳掃除をすることがおすすめです。

耳の中の毛は外からのゴミや虫が侵入しないために生えているので、抜き過ぎると耳道が炎症を起こしてしまうことがありますので注意してください。

耳毛はゴミや虫の侵入しない程度に、通気性が問題ない程度残すようにしてあげてくださいね。

 

耳掃除の注意点、垂れ耳の犬種の場合は?

ゴールデンレトリバー

垂れ耳の犬種は、耳の穴がふさがっているので蒸れやすくなっています。耳道内の湿度が常に高いので、細菌と真菌が繁殖しやすくなります。

湿気の高い状態を放っておくと汚れがたまり、外耳炎・中耳炎・内耳炎を起こすリスクが高まります。定期的に耳をめくって汚れを拭き取ってあげることで、清潔な状態を保ってあげてくださいね。

犬用のイヤーパウダーなどを使って、乾燥した状態を保つ工夫をしてもいいですね。

 

耳掃除の注意点、脂漏症になりやすい犬種の場合は?

シーズー

脂が多い「シーズー」「コッカー」「ダックス」などの犬種は、普通のイヤークリーナーではちょっと物足りないことがあり、「エピオティック」を使って耳掃除をしてみてください。

エピオティックは耳垢を取り除く為に作られた「非アルコールで低刺激」の洗浄液です。脂を包み込んで、きれいに掃除することができますよ。

 

犬の耳掃除、頻度は?

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犬の耳掃除の頻度

週1~2回

犬の耳掃除は週に1~2回程度です。毎日耳の中をチェックすることは大切ですが、頻繁な耳掃除は耳の中を傷つけて外耳炎を引き起こす原因になります。

また動物病院にいく日は耳掃除をしないようにしてくださいね。耳垢の検査をする際に耳掃除をしてから連れていくと、正しい検査結果がでなくなってしまうからです。

 

最初は病院やブリーダーから教わるのが確実

犬 耳掃除

自宅での耳掃除はコツが必要ですので、慣れるまでに時間がかかります。うまくできない場合は動物病院へ相談してみてくださいね。

洗浄液はたくさんの種類がありますが、アルコール成分が入っているものを嫌がる犬もいますので、自然由来成分が入っている犬の皮膚に優しい洗浄液がおすすめです。

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