犬の貧血、症状と原因を解説!考えられる病気と対処法は?

犬 病気21
愛玩動物看護師
監修者:渡邉鈴子

栃木県生まれ。帝京科学大学にて4年間、動物看護学をはじめとした動物関連の科目を学び、2023年5月には愛玩動物看護師免許を取得。これまでにうさぎや猫の飼育経験あり。現在では、ペット栄養管理士の資格取得に向けて勉強中。

犬も貧血になることをご存知ですか?犬の貧血の症状はわかりにくいため異変に気付きにくく見過ごされることも多いです。

この記事では、犬の貧血に関する症状、原因、対処法についてまとめました。

犬の貧血、どんな症状?

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貧血の主な症状

元気がなくなる
散歩や運動を嫌がる
口内の粘膜が白くなる
おしっこが赤くなる
うんちが黒くなる

貧血になると、「元気がなくなる」「散歩や運動を嫌がる」「口内の粘膜が白くなる」「おしっこが赤くなる」「うんちが黒くなる」などの主症状のほか、「呼吸が早くなる」「呼吸困難」「微熱が続く」などの症状もみられます。

犬の貧血、原因は?

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貧血の原因

溶血性貧血
再生不良性貧血
出血
中毒
寄生虫

犬に貧血の症状が出ている場合、「溶血性貧血」「再生不良性貧血」「出血」「中毒」「寄生虫」などが原因として考えられます。

原因その1:溶血性貧血

溶血性貧血は、血液中の赤血球が破壊されることで発症します。

赤血球は肺から得た酸素を取り込み体の隅々に細胞を供給する役割を担っています。破壊された赤血球では酸素運搬能力が低下するため、全身が酸欠状態に陥ってしまい貧血になります。

原因その2:再生不良性貧血

再生不良性貧血は、血液そのものが正常に作られなくなることで発症します。

血液そのものが減少してしまうために貧血を起こします。

原因その3:出血

出血が原因の場合、血液量自体が増えることで貧血になります。

原因その4:中毒

玉ねぎに含まれるアリルプロピルジスルファイドが赤血球を破壊することで玉ねぎ中毒を発症、貧血の症状が表れます。

メディアで取り上げられることも増えたため、犬に玉ねぎは危険と認知されてきていますが、知らずに与えている方も多いので注意が必要です。

原因その5:寄生虫

ノミ・ダニ・バベシアなどの寄生虫が原因で貧血になることもあります。

ノミやダニの場合は血を吸われたことによる血液量の減少で発症、バベシアの場合は寄生によって赤血球が破壊されることで重度の貧血を発症します。

犬の貧血、発症しやすい犬はいる?

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自己免疫性による溶血性貧血の好発犬種

オールドイングリッシュシープドッグ
アメリカンコッカースパニエル
イングリッシュコッカースパニエル
プードル
アイリッシュセッター
コリー

自己免疫性の溶血性貧血を発症しやすい犬種は、「オールドイングリッシュシープドッグ」「アメリカンコッカースパニエル」「イングリッシュコッカースパニエル」「プードル」「アイリッシュセッター」「コリー」などが挙げられます。

また、「ビーグル」「ウェストハイランドホワイトテリア」「ダックスフント」「チワワ」「パグ」「プードル」などは、赤血球を正常に保つために必要なピルビン酸キナーゼという酵素が生まれつき欠落しているためにピルビン酸キナーゼ欠損症の溶血性貧血を発症しやすいことで知られています。

上記犬種に限らず、ノミやダニの対策をしていない犬は寄生虫が原因の貧血を発症するリスクが高まるので注意が必要です。

犬の貧血、発症してしまった場合の対処は?

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溶血性貧血

溶血性貧血に当てはまる症状が見られたら、早めにかかりつけの動物病院で診てもらうことが大切です。

貧血と油断して放置していると、肝細胞の壊死や腎機能不全などの深刻な事態にまで悪化する危険もあります。

治療法としては、内科療法を施し1~2週間安静にする「内科治療」、外科的に脾臓を摘出する「外科治療」、「輸血」の3つがあります。

再生不良性貧血

再生不良性貧血には、有効な治療法がありません。

放置すると重度の貧血になってしまうので、できるだけ早くかかりつけの動物病院で診察を受けるようにしてください。

出血

貧血を起こすほど外傷による出血が酷い場合は、早急に動物病院に連れていき手当を受けてください。

「おしっこが赤い」「うんちが黒い」場合は、体内での出血が原因の貧血になっている可能性があります。

中毒

玉ねぎ中毒は、犬によっては症状が出ない場合や軽い場合もありますが、命を落とすケースも少なくありません。

寄生虫

ノミやダニが原因の場合は、病院で診察を受け駆除薬を処方してもらってください。

ただ、バベシアが原因の場合もあるので、飼い主さんが独自に判断するのは危険です。一度動物病院で診てもらうことが大切です。

犬の貧血、どんな検査が必要?

犬を検査している画像

貧血の検査

問診・身体検査
血液検査
骨髄検査

動物病院では主に以下の検査が行われます。

検査1:問診・身体検査

貧血で受診するとまず問診と身体検査を行います。「外傷」「玉ねぎ中毒」「ノミやダニ」などが原因であれば、この段階で判断できます。

検査2:血液検査

血液検査では、赤血球・白血球・血小板などの血球成分を検査します。赤血球は大きさや濃さなども数値として現れるため、貧血かどうかを判断できます。

検査3:骨髄検査

骨髄検査では、血球成分が作られる骨髄を検査します。

血液検査で詳細な原因がわからない場合に行われるもので、この検査では血球成分がきちんと作られているのかがわかります。

犬の貧血を予防するには?

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犬が貧血を起こす原因として、マダニが媒介するバベシア症やタマネギを食べることで起こる中毒があります。また、ノミが多量に寄生していると貧血になることも。

これらが原因になっている場合、中毒を起こす食材を食べさせない誤食防止、ノミダニを寄生させない予防接種が必須です。

軽度の貧血の場合、症状に気付きにくいことがあります。健康な状態での赤血球の割合をしておくためにも、血液検査を含む定期健診をしましょう。

犬の貧血は症状がわかりにくいため、「なんだか最近元気がないけど、まあ大丈夫かな」と見過ごされがちです。

しかし、腫瘍が貧血の原因になっていたり、重大な病気が隠れていたりするので独自の判断は危険です。この記事で紹介した症状が1つでも見られたら動物病院で診察をうけるようにしてくださいね。

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