犬の耳垢、症状や原因は?診断や治療、対処方法、注意することは?

愛玩動物看護師
監修者:渡邉鈴子

栃木県生まれ。帝京科学大学にて4年間、動物看護学をはじめとした動物関連の科目を学び、2023年5月には愛玩動物看護師免許を取得。これまでにうさぎや猫の飼育経験あり。現在では、ペット栄養管理士の資格取得に向けて勉強中。

耳垢は、普段のケアを怠らなければ防げる症状の1つです。

耳垢は健康な犬の耳にも出来ますが、黒っぽい、異臭がする、そのほか耳を触ることを嫌がる場合は病気を抱えている可能性があります。

この記事では、犬の耳垢の原因や診断方法、治療方法、対処方法、おすすめのサプリメントなどについてまとめました。

犬の耳垢、症状は?

犬の耳を触る画像

症状

耳垢が溜まる
耳垢が黒い・茶色い
耳から異臭がする
耳垢がベトベトする
耳から分泌物が出る
耳が腫れる

健康な犬の耳垢は少し黄色がかった白色で、ベタつきも臭いもほとんど感じられません。

しかし、細菌や真菌・寄生虫などに感染すると「耳垢が溜まる」「耳垢が黒い・茶色い」「耳から異臭がする」「耳垢がベトベトする」「耳から分泌物が出る」「耳が腫れる」などの症状が現れます。

また、しきりに「耳を掻く」「頭を振る」「耳を床に擦り付ける」などの素振りが増えたり、耳を触られることを以上に嫌がるようにもなります。

犬の耳垢、原因は?

犬の耳の中を確認する様子の画像

原因

細菌
真菌
寄生虫

耳垢が気になる病気として、外耳炎や中耳炎が挙げられます。

細菌、真菌、寄生虫それぞれが原因で引き起こされ炎症が起こっていたり、頭を振る動作を繰り返すようになります。

細菌

耳垢の原因となる細菌には、スタフィロコッカス属やストレプトコッカス属などがあり、悪臭を伴う乳白色や黄色の耳垢がみられます。

症状が進行すると耳の中にただれや欠損が見られたり、外耳の壁が肥大化することで耳の中が観察できなくなることもあります。

真菌

マラセチアなどの真菌に感染すると、特徴的な臭いを持つ茶色や黒褐色の耳垢が大量に見られるようになり「耳を掻く」「頭を振る」などの痒みを訴える素振りが増えます。

耳垢は健康な犬の耳にも存在するものですが、免疫力が弱まったり耳の中に汚れや湿気が溜まることで菌が異常繁殖し大量の耳垢が出ます。

寄生虫

耳に寄生するミミヒゼンダニが原因になることもあります。

激しい痛みを伴うため、「耳を掻く」「頭を振る」「耳を床に擦り付ける」などの行動が頻繁にみられるようになります。また、外耳道に大量の黒い耳垢の塊ができることも。

犬の耳垢、診断方法は?

犬の耳を検査する様子の画像

診断方法

耳垢細胞診

犬の耳垢の診断は、耳垢細胞診で行います。

採取した耳垢をスライドガラスに乗せて顕微鏡で観察し、寄生虫・細菌や酵母感染・炎症の有無を把握します。場合によっては耳垢の染色、耳垢の細菌培養や薬剤感受性試験を行うこともあります。

犬の耳垢、治療はどのように行う?

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耳垢の治療方法

洗浄
耳垢の除去
抗菌剤・抗真菌剤・駆虫剤

耳垢の治療方法は、原因によって異なります。

細菌が原因の場合

外耳道を綺麗に洗浄し耳垢を取り除いた後、抗菌剤の点耳を行います。重症化している場合には内服の抗菌剤を併用します。

真菌が原因の場合

細菌の場合と同じように、洗浄と耳垢の除去を行った後に抗真菌剤の点耳を行います。

寄生虫が原因の場合

洗浄と耳垢の除去を行った後に、イベルメクチンなどの駆虫薬を投与します。

ただ、ボーダーコリーやシェットランドシープドッグなどは、駆虫薬であるイベルメクチンの使用に注意が必要なので獣医師の指示に従うようにして下さい。

犬の耳垢、対策はできる?

Earwax removal

普段の耳掃除で耳垢は対策できます。

耳掃除は洗浄液を含ませたコットンなどを用いて見える範囲の外耳道を拭うだけでも十分で、外耳道を傷つけないように注意してください。

そのほか、普段から「免疫力を高めておく」「感染動物との接触を避ける」「部屋を清潔にしておく」ことなどが、真菌や寄生虫が原因の耳垢対策に繋がります。

毎日の耳チェックや2週間に1回程度の耳のケア、定期的な健康診断を心がけることが大切です。

愛玩動物看護師 渡邉鈴子さん
耳掃除の際、人用の綿棒は使用しないでください。犬の皮膚は人と異なり薄く傷つきやすいです。人用の綿棒は刺激が強すぎるため、獣医さんや動物看護師さんに正しい耳掃除の方法を教えてもらってから行いましょう。

垂れ耳の犬種は入念なチェックを!

ゴールデンレトリバーなど垂れ耳の犬種は耳の中の汚れや炎症に気付きにくいため、ある程度進行した状態で初めて気付くことがあります。

毎日耳をめくって異常がないか確認しましょう。

早期発見・早期治療を心がけよう!

犬の耳の画像
耳垢は命に関わるような病気ではありませんが、放置すると治療が大変になり愛犬にも負担がかかります。

定期的な耳のケアは、耳垢のケアだけでなくストレスのない快適な生活にも繋がるので日頃のケアを心がけることが大切ですよ。

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