犬が歯ぎしりをする原因は?種類による?何かの病気なの?

愛玩動物看護師
監修者:渡邉鈴子

栃木県生まれ。帝京科学大学にて4年間、動物看護学をはじめとした動物関連の科目を学び、2023年5月には愛玩動物看護師免許を取得。これまでにうさぎや猫の飼育経験あり。現在では、ペット栄養管理士の資格取得に向けて勉強中。

愛犬がギシギシと歯ぎしりをしていると、口の中に何か入っているのか、口の中の病気なのかなど心配になりますね。

今回の記事では、犬が歯ぎしりをする原因や、種類、対処法についてまとめました。ぜひ参考にしてくださいね。

犬の歯ぎしりの種類は?

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歯ぎしりの種類

タッピング
グライディング
クレンチング

「歯ぎしり」は歯と歯をすり合わせてギリギリと音を立てることを指しますが、人間だけではなく犬も歯ぎしりをすることがあります。

「タッピング」「グライディング」「クレンチング」の順序で症状が重くなっています。

タッピング

タッピングはカチカチと、リズミカルに音を立てる歯ぎしりです。愛犬が寝ている間に、口をパクパクすることで、上下の歯がぶつかって音が出るタイプです。

タッピングは他の2つのタイプに比べて歯や顎への衝撃が少ないため、深刻なものではありませんよ。

 

グライディング

一般的に歯ぎしりというと、グライディングを指します。グライディングは上下の歯を、前後か左右にこするように動かして、ギリギリと硬い音を出すタイプです。口は閉じた状態か、半開きの状態で起こります。

グライディングをすると無意識のうちに力を入れるため、痛みが出ても途中で止められません。このため、大きな力が歯や顎にかかります。

長時間大きな力が歯や顎にかかるため、「歯がすり減る」だけでなく、「歯が折れる」「虫歯になる」「歯周病が悪化する」「顎関節症になる」といった症状が出てしまいます。

愛玩動物看護師 渡邉鈴子さん
歯周病が悪化すると体の各臓器にも悪影響を及ぼす可能性があります。

 

クレンチング

クレンチングは一般的に「食いしばり」と呼ばれます。口は閉じたままで、上下の歯をガッチリ合わせて、力いっぱい噛んでしまう状態です。

グライディング同様に、歯や顎に与えるダメージは大きいです。

クレンチングはタッピングやグライディングと違って音が出にくいため、飼い主さんが愛犬の症状に気づきにくいです。定期的に愛犬の歯の様子をチェックすることが大切ですよ。

 

犬が歯ぎしりをする原因は?

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歯ぎしりの原因

生理的原因
精神的原因

犬が歯ぎしりをする原因は、大きく分けて「生理的原因」と「精神的原因」の2つに分けることができます。

生理的原因

生理的原因は「食べたものが歯に詰まる」「噛み合わせが悪い」「胃液の逆流」「歯の病気」などから起こる口の中の不快感が挙げられます。ケガや病気からくる痛みを、歯ぎしりで紛らわすこともあります。

生理的原因については、歯に異常が見られるので原因を見つけやすいですよ。

 

精神的原因

精神的原因は運動不足や寂しさ、欲求不満などから起こるストレスやいら立ちが挙げられます。

精神的な原因については表に出ずらいので、犬の日常生活をよく観察し、どんな原因からのものなのかを早期に発見することをおすすめしますよ。

 

犬の歯ぎしりをやめさせるには?

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歯ぎしりの対処法

生理的原因の対処法
精神的原因の対処法
一時的な対処法

歯ぎしりの原因がわかっている場合には、原因に合わせて対処することをおすすめします。

生理的原因の対処法

歯ぎしりが生理的原因によるものであれば、原因となる病気や症状を治療することで解決します。

「噛み合わせが悪い」「歯の病気にかかっている」といった飼い主さんにはどうしようもできない原因の場合は、動物病院で治療を受けることが大切です。

食べたものが歯に詰まっている場合は、丁寧なブラッシングをすることをおすすめしますよ。

 

精神的原因の対処法

外見に異常が見られない場合は、ストレスや欲求不満といった精神的原因によるものが多いです。

運動不足が原因と感じたら、散歩の時間を増やすか、ドッグランや公園に連れていって思いっきり遊ばせることをおすすめします。

飼い主さんが仕事に行っている間、留守番中に寂しい思いをさせた分は、帰宅後や休日、一緒に過ごす時間を長く作ると良いです。

飼い犬が避妊や去勢をしていなくても、性的我慢をすることによってストレスを与えてしまいます。ストレスを与えないためにも、手術を考えることをおすすめしますよ。

 

一時的な対処法

歯ぎしりは根本的な問題を解消しない限り続きますが、不快感やストレスを発散させるために骨や硬いおやつを与えて、一時的に歯ぎしりを抑える方法もあります。

歯ぎしりが頻繁でない場合はそれほど神経質にならず、ストレス解消のためにやっているのだとそっとしておくことも1つの手ですよ。

 

犬の歯ぎしりは老犬に多い?

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アニコム損害保険会社の調査によるデータ

0~7歳 10歳以上
歯肉炎 約20% 約50%
歯垢・歯石 約70% 約90%

老犬は歯ぎしりの原因となる歯周病や歯肉炎になりやすいので、若い犬と比べると歯ぎしりすることが多いです。

種によっても異なりますが、犬は小型、中型で11~12歳、大型で8~9歳で老犬にあたる年齢になります。

アニコム損害保険会社の調査によると、10歳以上の犬の約50%が歯肉炎で、約90%が歯周炎の原因となる歯垢や歯垢が石化した歯石の沈着がありました。0~7歳の犬は約20%が歯肉炎で、約70%が歯垢・歯石の沈着が見られました。

これらから、10歳以上の老犬が歯の痛みや痒みなどの不快感やストレスで、歯ぎしりをすることが多くなっていることがわかります。

出典:アニコム損害保険株式会社「76.3%が歯周病の予備軍、愛犬も歯みがきの習慣化を!

 

犬が歯ぎしりをするのは何かの病気?

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原因と考えられる病気

歯に関する病気
咳を伴う病気

歯に関する病気

犬が歯ぎしりをする原因は様々ですが、歯に関する病気が原因で歯ぎしりを起こすことがあります。

歯茎の腫れや出血、口臭、歯のグラつきにより、口の中に違和感が出てしまうためです。口の中の不快感により、歯ぎしりを起こしてしまいます。

犬がなりやすい歯に関する病気に、歯周病や歯周病の初期段階の歯肉炎、虫歯が挙げられます。

 

咳を伴う病気

咳を伴う病が原因でも、歯ぎしりを起こすことがあります。激しい咳を伴うことで、歯をカチカチと鳴らしてしまいます。

犬が鳴りやすい咳を伴う病気にケンネルコフや心臓病が挙げられます。

 

歯ぎしりは犬の健康状態を知るサイン

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歯ぎしりをするということは、愛犬に何か異変があるというサインです。歯ぎしりを頻繁にするようになると歯にダメージを与えてしまい、「歯が折れる」「虫歯になる」「歯周病が悪化する」「顎関節症になる」といった症状がでてくる場合もありますよ。

愛犬のためにも、原因をいち早く知って、できるだけ早く歯ぎしりの原因を取り除いてあげることをおすすめします。

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