ペット飼育可のマンションが増加したことにより、犬猫を飼い始める人や多頭飼いをする人が増えてきています。ペットショップに立ち寄ると展示コーナーへ足が向き、新たな飼い主を待つ彼らの愛くるしい姿に魅了されてしまいますよね。
この記事では、犬の値段について、犬種別の平均価格や値段に差が生まれる理由をまとめました。
人気犬種ランキングは、アニコム損害保険株式会社が発表した 最新版!『人気犬種ランキング2023』を参考にしています。
犬の値段、差が出る理由は?
犬の値段は、お店やオーナーの方針によって変動があります。判断基準としては、地域需要(犬種人気)や容姿、性別、血統、健康状態などが挙げられます。
同じ犬種でも、犬種基準に基づいてボディやサイズ、カラー、毛質など、理想の容姿かどうかを細かくチェックして値段が決まっています。
値段が安くなる理由
子犬はみんな可愛いのですが、「犬種の理想」から劣る点があれば安くなります。
具体的には、小型犬なのにサイズが大きい、毛質が悪い、骨格異常や関節疾患など先天性の健康異常がある、噛み合わせが悪いなどです。
しばらく売れ残っている(月齢が経っている)子は、早く新しい飼い主さんを見つけてほしいので安くなっていることが多いですね。
飼い始めるなら子犬からが良いというのが一般的に考えられており、ある程度大きくなってしまうと売れにくくなってしまうのです。

愛玩動物看護師 渡邉鈴子さん
月齢がたっている子のメリットとして、基本的な性格が分かっている状態の子が多いため接しやすくなります。子犬から育てたいという気持ちもあるかもしれませんが、自分のライフスタイルに合う犬を選ぶといいでしょう。
値段が高くなる理由
理想の容姿に近ければ近いほど、つまり完璧であればあるほど値段は高くなりますよ。同じ犬種でも可愛いほうが、高値がついています。
人気犬種や希少犬種かによって値段は左右されます。ブリーダーはメスを残したいと考えるので、オスよりもメスのほうが高い傾向にあります。「血統書付」だという点も高値のポイントです。
血筋がはっきりしている点など信頼度が高く、親の病歴などで遺伝性疾患の予測がしやすいので対策が取りやすくなります。
さらに、親の血筋が良いほど高値に。チャンピオン犬の血を引いているだけで、子犬は10万円単位の差がつきます。
ペットショップとブリーダーで値段が違う理由は?

質にこだわらなければブリーダー直販のほうが安い傾向にあります。ペットショップは、人件費や店頭での飼育費などが加算され流通コストがかかる分、割高になってしまう傾向に。
ペットショップでも、犬種の需要など会社や地域によって値段は違いますが、血統書付や質の良さによりブリーダーのほうが高いケースもあります。

愛玩動物看護師 渡邉鈴子さん
ブリーダーから犬を迎えると、どのような環境で過ごしてきたかわかると同時に、ブリーダーから細かい情報を得やすいというメリットがあります。
最新版!人気の犬種と生体価格の相場
トイプードル

トイプードルの平均価格
- 20~30万円
女性の一人暮らしにもおすすめの飼いやすさで最も人気の高い小型犬種であるトイプードル。平均価格は20~30万円です。
ちなみに、プードルは小さいほど価値が高く、トイプードルの値段はスタンダードプードルより高く、ティーカッププードルより安くなります。
見た目の可愛さのほか、毛色や毛量も値段に大きく影響し、「レッド」や「アプリコット」などの人気カラーが高値で取引されています。オスに比べて出生数が少ないことから、メスのほうが3~5万円ほど高くなるケースもありますよ。
MIX犬(体重10kg未満)

MIX犬(体重10kg未満)の平均価格
- 15~20万円
MIX犬(体重10kg未満)とは、写真のようなマルプー(マルチーズとプードル)やチワックス(チワワとダックス)のようなわんちゃんのことを指します。
純血種よりも相場は高く、マルプーはおよそ38万円。チワックスは32万円となっています。生体価格が上がっており、人気の犬種となると妥当かもしれません。
チワワ

チワワの平均価格
- 15~20万円
小さく愛くるしい顔をしているチワワは、20万円以内が一般的な適正価格です。大体15万~20万円で販売されていますよ。
ブチのような模様の「マール」や「ホワイトソリッド」、「ブラックソリッド」といった希少の人気カラーは、高額になります。また、チワワの特徴であるクリッとした大きな目やピンと立った大きめの耳、胴体と足が短い「ドワーフ型」は特に人気が高く、金額も高くなります。
一方、「水頭症」や「白内障」といったチワワ特有の持病がある子や、先天性疾患のリスクが高い子は安くなります。

愛玩動物看護師 渡邉鈴子さん
水頭症は自然治癒はしませんが、早い段階から治療を行えば長生きすることもできます。
柴犬

柴犬の平均価格
- 5~20万円
柴犬は、賢く飼い主に従順な、日本犬の中でも最もポピュラーといえる犬種です。柴犬の価格相場は、5~20万円とされています。
しかし、11~2月頃の寒い時期は、柴犬の受胎率が低くなるため、3~5月の春生まれの子は高額になりますよ。また、3月からゴールデンウィークにかけては、犬を飼い始めようと考える人が多く、希少な時期生まれの子の高値を後押ししているようです。
受胎率が上昇する6月以降の子犬は、購入しやすい価格に落ち着きます。カラー別の相場は、スタンダードな赤が5万~20万円で、黒や胡麻が10~18万円、白が16万円ですよ。
ミニチュアダックスフンド

ミニチュアダックスフンドの平均価格
- 10~20万円
最も有名なミニチュアダックスフンドは、ブリーダー直販の場合、10~20万円程度が相場です。人気カラーや毛並みがキレイな子だと25万円以上することも珍しくありませんよ。
ペットショップでも、毛色が人気のゴールドでルックスが良いと20万円程度の値がつくこともあります。一方、ブラック系は人気が低いため、比較的安値です。胸囲が35cm以上あるスタンダードダックスフンドの場合は、15万円前後ですよ。
ポメラニアン

ポメラニアンの平均価格
- 15~30万円
好奇心旺盛で友好的なポメラニアンは、カット次第でぬいぐるみのような、この世の生き物とは思えない可愛らしさに魅了される人が多いです。
ブリーダー・ペットショップからの購入価格は、約15万~30万円程度が相場となっていますよ。
「オレンジ」や「オレンジセーブル」といった人気カラーは比較的値段が高いほか、「ホワイト」や「ブラック」といった希少カラーはさらに高価になりますよ。カラーや血統によっては、50万円を超える子もいます。
ミニチュアシュナウザー

ミニチュアシュナウザーの平均価格
- 30~35万円
ミニチュアシュナウザーの相場はペットショップだと25~30万円。ブリーダーさんの場合は30~35万円ほどになります。
ミニチュアシュナウザーは血統はもちろん毛色によって価格が変動し、ブラック>ソルト&ペッパー≧ブラック&シルバーのような価格順になっています。
フレンチブルドッグ

フレンチブルドッグの平均価格
- 15万~25万円
フレンチブルドッグは15万~25万円が相場ですが、ブリーダーから購入する場合は25~35万円程度となっていますよ。
本種は頭が大きく下半身が小さいため、ほとんどの場合は帝王切開で出産します。したがって、ブリーダー直販だと手間と費用がかかっている分、値段が高くなりますよ。
一方、ペットショップは自然分娩で産まれた子犬を扱っていることがあり、自然分娩だと頭が小さく上半身もほっそりしていて、フレンチブルとしては理想的な容姿ではないのでペットショップでは割安になっています。
我が家に相応しい愛犬を

愛犬にかかる生涯の費用を考えれば、子犬の値段で決めるのも大事なことです。犬種それぞれの性格もありますが、同じ犬種でも個性は様々です。
飼い主さんや先住ペットとの相性が良くないと、お互いにストレスを溜めてしまいます。愛犬候補の様子やブリーダーさんなどの話を聞いて、我が家に向いている子かどうかを判断すると良いですよ。多頭飼いの場合は、トライアル(お試し期間)制度のある購入場所を選ぶのをおすすめします。
犬にも感情があり尊い命ですから、我が家に合わなかったという理由で「捨てる」「保護施設入り」「保健所で殺処分」といった悲しい結末は、決してあってはなりません。
我が家に迎えたからには、最期まで責任を持って愛情を注いであげることが大切ですよ。

愛玩動物看護師 渡邉鈴子さん
現代社会ではペットを迎え入れる場所として、ペットショップだけではなくブリーダーや保護施設、保護団体など様々あります。自身で必ず最後まで面倒を見る覚悟でお迎えをしましょう。