呼びかけたときや一緒に遊んでいるとき、大好きなおやつをあげるときなど犬が楽しそうにしっぽを振る姿は愛らしく見ている私たちを思わず笑顔にしてくれますよね。
でもよく観察してみると、犬のしっぽを動かし方は様々あることをご存知でしょうか。
この記事では、しっぽに注目し、動かし方からわかる犬の気持ちや体調、しっぽの種類や特徴についてまとめました。
この記事でまとめたこと
犬のしっぽにはどんな役割があるの?

しっぽの役割
- 感情の表現
- バランス維持
- 体温維持
犬はしっぽの高さや動かし方によって人間や他の犬に自分の気持を伝えています。嬉しいときはもちろんのこと、警戒心や恐怖心を表したり気持ちを落ち着かせる役割も担っています。
そのほか、走っているときや方向転換をするときのバランス維持、寒いときに体温維持をするためにも使われますよ。
しっぽの高低は何を表しているの?

しっぽの高低が表しているもの
- 優位性
動きに目が行きがちなしっぽですが、高さにも意味があります。
犬がしっぽを高い位置でピンと伸ばすのは、ポジティブで自信に満ちている状態です。のびのびと走っているときや、遊んでいるとき楽しくて仕方がないときによく見られますよ。「自分についてこい」「自分の方が立場が上だ」などの相手への威嚇や警戒心、攻撃性を示すときにも高くなります。
一方、低く下げるのは、自信がなく、恐れや服従といったネガティブな気持ちの表れを表しています。
苦手な相手に会ったときや、嫌いな病院の診察のとき、何かに驚いたときに低くなります。後ろ脚の間にしっぽを入れるほど下がっているときは、強い恐怖やストレスを抱えている状態ですよ。
しっぽが水平な時は?
高くもなく、低くもなく、犬のしっぽが水平になるのを見たことがある飼い主さんも多いのではないでしょうか。
しっぽが水平になっているときは興味や好奇心が旺盛になっているときで、それが何なのか見極めようとしている状態です。遠くに何かが見えたときや物音がした時などによく見られますよ。
しっぽを振るスピードは何を表しているの?

しっぽを振るスピードが表すもの
- 興奮の度合い
犬がしっぽを振るスピードは、興奮の度合いと比例しています。
うれしいときや楽しいときによく見られますが、警戒や不安で攻撃的になっているときも素早く振る傾向がありますよ。一方で、穏やかな気持ちのときは、ゆったりと振ります。
犬がしっぽを早くぶんぶんと振っていると「喜んでいるのかな?」と思いがちですが、決して友好的なときだけではないため注意が必要です。
しっぽを右に振るか、左に振るかで感情がわかる?

イタリアの研究チームが犬の感情表現について発表した論文によると、犬の脳は左右に分かれていて、左脳はポジティブな感情、右脳はネガティブな感情を司っていることがわかってきました。
脳の左右と体の動きの左右は人間と同じように逆に作用するので、左脳は体の右側、右脳は左側に作用します。つまり、犬が喜んでいるときや、好きという感情のときは「右寄り」で、警戒や不安、嫌いな気持ちのときは「左寄り」でしっぽを振る傾向があるといえます。
犬がしっぽを右寄りに振っていたら、飼主としても嬉しい瞬間ですね。
出典:Seeing Left- or Right-Asymmetric Tail Wagging Produces Different Emotional Responses in Dogs
犬がしっぽを振らなくなるのはどうして?

犬がしっぽを振らなくなる理由
- 怪我の可能性
いつもはしっぽを振っているのに、急に振らなくなったら飼主としては心配になってしまいますよね。
愛犬がしっぽを振らないと気づいたら、なぜ振らないのか、振ることができないのかを観察することが先決です。痛がったり触れられるのを嫌がるようであれば、脱臼や骨折などケガをしている可能性があります。そのほか、肛門周囲腺腫や神経系の病気の可能性もあるので早めの診察をうけるようにしてください。
犬の感情をしっぽの動き別に紹介!

上記の項目では犬のしっぽが犬の気持ちや体調を如実に表す場所であることを紹介してきましたが、この項目ではしっぽの動きから判断できる犬の気持ちをまとめています。
素早く振る
「うれしい・楽しい」「警戒・不安」など、ポジティブな感情を表しています。ネガティブな気持ちでも、興奮の度合いが高いと素早く振りますよ。
ゆったり大きく振る
「好き!」「遊ぼう」といった、親愛やお誘いを表しています。高ぶった気持ちを落ち着かせたいときにも、ゆったりと振りますよ。
狭い幅で少し振る
ちょこちょこと少しだけ振るのは、挨拶や自己アピールを表しています。飼い主さんに呼ばれたときや、ふと目が合ったときにもこの動きをします。
お尻も一緒に大きく左右に振る
「嬉しい」「大好き!」といった、甘えや喜びを表しています。おやつがもらえるときや、長時間のお留守番から帰宅したときに見られます。
高く上げ左右に小刻みに振る
威嚇や牽制を表しています。自分が相手よりも優位であることを示していますよ。
腰を床に落とし大きく振る
自分よりも強いものに対する、最大限の愛情と敬意、従順を表しています。
水平よりやや低い位置でゆっくり振る
高くもなく低くもない場合は、不安や戸惑いといったどっちつかずの気持ちが表れています。
犬のしっぽの形はどんな種類があるの?

犬のしっぽの形
- ウィップテール
- オッターテイル
- カールドテイル
- シックルテール
- スクリューテール
- プリュームテール
犬のしっぽと一口に言っても形は様々です。この項目では、代表的なしっぽの形と、その形を持つ犬種を紹介します。
ウィップテール
背中と水平な高さで、鞭のように、細長くしなやかなしっぽ。まっすぐに伸びています。
ウィップテールをもつ犬種としては、「ダルメシアン」「イングリッシュセッター」「ウィペット」などがいますよ。
オッターテイル
付け根が太く、先端に向かって細くなっているしっぽがオッターテイルです。形状がオッター(カワウソ)に似ていることから名前がついていますよ。
オッターテイルの犬種としては、「ラブラドール・レトリーバー」が有名ですね。
カールドテール
背の上にくるりと巻かれたしっぽで、尾の巻きぐあいによって一重巻きと二重巻きがあります。
カールドテールの犬種としては、一重巻きが「柴犬」「秋田犬」、二重巻きが「パグ」「バセンジー」などがいますよ。
シックルテール
鎌の刃のような形をしたしっぽで緩い曲線を描くのが、シックルテールです。鎌尾とも呼ばれていますよ。
シックルテールを持つ犬種としては、「チワワ」や「シベリアン・ハスキー」などがいます。
スクリューテール
生まれつき短く、らせん状にくるくると巻いたしっぽがスクリューテールです。スクリューテールを持つ犬種としては、「パグ」「ブルドッグ」などがいますよ。
プリュームテール
全体がふさふさした被毛に覆われており、垂れ下がっているしっぽがプリュームテールです。飾り尾とも呼ばれます。
プリュームテールをもつ犬種としては、「ゴールデン・レトリーバー」「アイリッシュ・セッター」などがいますよ。
しっぽをチェックし、より深いコミュニケーションを!

犬はちょっとしたしっぽの動きで、私たちにいろいろなメッセージを送ってくれています。
愛犬のしっぽの振り方を観察して感情を読み取り、接し方を変えるとより深いコミュニケーションがとれるようになりますよ。