室内犬にトイレをしつける方法やコツ、必要な道具、注意点

犬のトイレは、うんちもおしっこも室内で行うのが理想です。じつは散歩とトイレの時間を一緒にすることは、法律に違反すると同時にさまざまなトラブルの原因になることもあります。

とはいえ、家のあちこちにうんちやおしっこをされては大変ですから、犬を迎え入れたら早い段階でトイレをしつけたいですね。

この記事では、室内犬にトイレをしつける方法や注意点についてまとめました。

 

室内犬のトイレをしつける理由

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トイレをしつけるべき理由

  • 法律違反になる
  • 事故の要因となる
  • 対人トラブルになる

犬が家の外でうんちやおしっこをしてしまったら、どうなるのでしょうか。以下の項目では代表的なトラブルについて紹介します。

法律違反になる

犬の排泄物に関しては、「動物愛護法」「廃棄物処理法」「軽犯罪法」などの法律で規制がかかっています。屋外に犬の排泄物を放置することは法律違反になってしまうので止めるようにしてください。

 

事故が起こる

犬のおしっこを放置したままにすると、思いもよらない事故につながることがあります。

2016年、大阪池田市の市営公園で照明柱が腐食して倒れ、女の子が両手を挟まれて骨折するという事故が起こりました。原因とされたのは犬のおしっこ。調査によると、犬のおしっこが柱の根本に何度もかけられたことで、柱の地中部分の腐食が進んだ可能性があるとの結論に至りました。

2017年には、埼玉県のさいたま市でも、犬のおしっこによって道路標識が腐食し、突然倒れる事故が起こっています。

犬のおしっこは、環境を汚すだけでなく文字通り環境を破壊することもありますので、軽い気持ちで屋外に放置しないようにしてください。

出典:産経ニュース「照明柱腐食、犬の尿原因か 倒壊し小4骨折、大阪」

出典:産経ニュース「犬猫のおしっこで道路標識折れる? 歩いていた女性軽傷 さいたま市」

 

対人トラブルになる

犬のうんちの放置は、対人トラブルに発展することもあります。

路上で犬がうんちをしたことをめぐり、近所の人と口論になったり腹を立てて暴行に至るケースも過去に起きているので注意が必要です。

 

室内犬にトイレをしつける時期

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トイレトレーニングは犬を迎えたその日からはじめるのが鉄則。「家に来たばかりで慣れていないから」「子犬だから仕方ない」と先延ばしにしてしまうのはNGです。

「どこでトイレしてもいい」と犬が習慣化してしまうと、後々トレーニングをしても、一度身についてしまった習慣はなかなか治りませんので注意してください。

 

トイレトレーニング期間の目安

犬種や性格にもよりますが、2〜3週間程度で覚えさせるのが目安になります。1ヶ月経っても覚えない場合、それ以上トレーニングを行っても双方にとっても相当なストレスになってしまいます。

そのようなときは、専門家にトイレトレーニングの相談をすることをおすすめします。

 

どんな犬にもトイレトレーニングは必要

なかには「トイレは外で済ませるからトレーニングはいらない」という飼い主さんもいます。

しかし、外でトイレをさせるにしても「家の中は排泄場所ではない」というトイレトレーニングをしなければ、我慢できずに家のいろいろな場所でトイレをしてしまう習慣が身についてしまいますよ。

 

室内犬のしつけに必要な道具

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しつけに必要な道具

  • ケージまたはサークル
  • トイレシーツ

あると便利なもの

  • トイレトレー・おやつ
  • トイレマット連結パーツ・エコシーツ

トイレトレーニングをスムーズに進めるために用意しておきたい道具は「ケージまたはサークル」「トイレシーツ」です。そのほかに「トイレトレー」や「おやつ」、「トイレマット連結パーツ」「エコシーツ」などがあると便利ですよ。

 

室内犬のトイレを置く場所

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犬のトイレは、寝床や食事場所からなるべく遠い場所に置くようにします。人目につかず、落ち着いて排泄できる場所が理想です。

犬をはじめ縄張りをつくる動物種はもともとの習性で巣や休憩場などから離れた場所で排泄をしますが、これは腸管内寄生虫への本能的な防衛システムが理由と考えられています。とはいえ、あまり遠い場所だと粗相することがあるので普段犬が過ごす範囲内にとどめるのがおすすめです。

もし部屋が狭いといった理由で落ち着く場所が確保できない場合は、トイレのまわりだけパーテーションのような囲いを設けると愛犬が安心できますよ。

 

室内犬トイレのしつけ【準備】

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トレーニングには、市販のペットシーツとトイレ用のトレーを使うのが手軽です。

トレーを使うと部屋の他の部分と見た目も匂いも明確に違った区画がつくれるため、犬にトイレとして認識してもらいやすくなりますよ。

 

トイレの大きさを合わせる

トイレは体の大きさに合わせることが大切です。

体の大きさに比べてあまりに小さすぎると排泄物がはみ出てしまうことがありますし、逆に大きすぎるとトイレとして認識してくれないこともあります。

体の大きさとトイレの大きさにについてはこれがベストという比率はありませんが、目安として「小型犬に大型犬用のトレーを使う」といった選び方をしなければ通常はトイレとして認識してくれますよ。

 

後ろ足を上げる犬には壁付きトイレ

オスでもメスでも、犬によっては片方の後足をあげておしっこする犬がいます。

そのような犬の場合、通常のトイレだと壁が汚れてしまうので壁付きのトイレがおすすめですよ。足をあげておっしこするのは去勢していない小型犬のオスに多くみられる行為なので、購入の際に参考にしてくださいね。

 

室内犬トイレのしつけ【実践】

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以下の項目では、トイレトレーニングの進め方をご紹介します。

犬のトイレサインを読み取る

最も大切なことは、飼い主さんが犬の便意(おしっこがしたい・うんちがしたいというサイン)を読み取ることです。

犬は便意をもよおすと、ある一定の行動をとることがあります。寝起きや食事を摂ったあと、運動後などに便意をもよおすことが多いので、このタイミングに合わせて愛犬の様子を観察するようにします。

トイレサインの一例

トイレサインには以下のような行動があります。

トイレサイン

  • そわそわ落ち着かなくなる
  • 後ろ足の動きがぎこちなくなる
  • しきりに自分のお尻を気にする
  • 床の匂いをくんくんと嗅ぎ始める

上記のような行動をしているときは、トイレを探している前兆である場合が多いです。また、犬の排泄記録をつけておくと、タイミングをつかみやすくなりおすすめですよ。

子犬のおしっこの間隔

犬種によって違いはありますが、生後8~10週齢ころの子犬は、1時間に1回の割合でおしっこをするので、サインを見逃さないようにしなければなりません。

以下は子犬期のおおまかなおしっこの間隔になります。

時期 おしっこの間隔
8~10週齢未満 1時間
10~12週齢未満 2時間
3ヶ月齢 3時間
4ヶ月齢 4時間
5ヶ月齢 5時間
6ヶ月齢以上 6時間以上

クレートトレーニング

クレートトレーニングとは、犬をクレートなどの囲いに入れてトイレを人為的に我慢させ排泄のタイミングを飼い主さんがコントロールする方法です。トイレのタイミングがわかりにくいときに用いられる事が多いですね。

1時間我慢させたらトイレに連れて行くなどのルール設定するため、トイレのタイミングをコントロールできるようになりますよ。

 

トイレの場所を覚えさせる

子犬の場合

子犬の場合、限られたスペース内のほうが覚えやすいため最初はケージを利用するのが有効です。ケージ内でのトイレが失敗なくできるようになったら、少しずつトイレを移動させるようにします。

移動する場合は、いきなり移動するのではなく時間をかけて徐々に希望の位置まで離していくようにしてください。まだ完全に覚えていないこともあるので、トレーニング中はケージ内に緊急トイレを用意しておくと安心ですよ。

成犬の場合

成犬の場合、一度覚えたあとに変更すると犬が混乱してしまうのでなるべく変えないようにします。

部屋の模様替えなどで止むを得ない場合は、もとの場所から新しい場所まで少しずつトイレを移動させるなど気長に覚えさせることが大切です。

 

うまくできたらごほうびを与える

愛犬がトイレを上手にできたら、褒め言葉とごほうびを与えます。すると犬の頭の中では「この場所でトイレをしたらごほうびがもらえる」と記憶されるので、積極的に決まった場所でトイレをしようとするようになりますよ。

排尿や排便は「自己報酬的行動」といい、その行為自体が気持ちよく犬にとってのごほうびになる側面もあります。この考え方から「トイレのしつけにごほうびは必要ない」とするトレーナーもいますが、場所とごほうびを結びつけた方が失敗の確率が下がりますし間違いではありません。

 

トイレと指示語をリンクさせる

犬のトイレのタイミングに気づいたら、犬をトイレに連れていきます。排泄しはじめたら、決めておいた指示語(「ワンツーワンツー」など)を犬に聞かせます。

すると、犬は「用を足す=ワンツーワンツー」の音声的な情報が結びつき「ワンツーワンツー」で安心して用を足せると覚えることができます。

ごほうびの注意点

「トイレをしたらごほうび」ということを覚えると、犬の中にはごぼうびが欲しくてトイレに行くフェイク行動をとることがあります。

そのため犬がしっかりトイレを覚えたあとは、「いいこ」というほめ言葉だけにシフトしていくようにします。

トイレ後のNG行為

トイレをした後に、犬をハウスに閉じ込めてしまうのはNGです。「トイレ=罰(不快なこと)」になる可能性があり、トイレでの排泄を拒むようになってしまいますので注意してくださいね。

 

トイレに失敗したときの対処法

犬がトイレに失敗したときの飼い主の態度は非常に重要なので、正しい対処法と良くない対処法をしっかりと覚えるようにします。

正しい対処法

指定以外の場所に粗相してしまったときは、犬をそこから隔離し犬からは見えない状況で掃除します。

犬は自分の排泄物の匂いのある場所に再び用を足す習性があるので、消臭スプレーなどでしっかり臭いを消すことが大切です。

よくない対処

高い大きな声を出すと、犬は飼い主が喜んでると勘違いするのでNGです。

また、粗相した後の掃除を見せてしまうと「あそこで排泄すると飼い主が来てくれる」と勘違いさせることにもなります。

 

トイレを囲いに入れるときの注意点

犬は休息する場所から遠い場所で排泄する習性があるため、寝る場所とトイレを並べておくタイプのサークルやゲージはおすすめしません。

しかし、留守番のときや就寝時など使いたいケースも出てきてしまいますよね。そのような時は普段使っているトイレとペットシーツをサークルの中に入れておくようにします。多少臭いが残っているので、犬は自分のトイレと認識してくれますよ。

また、犬は自分の寝る場所を汚さない習性があるので、狭い空間の中に寝床とトイレがあると寝床以外の場所を自らトイレとして認識するようになります。もし、寝床とトイレ以外の狭いスペースにおしっこをしてしまったりペットシーツをぐちゃぐちゃにしてしまったりする場合は、あらかじめサークル全体にペットシーツを敷いたり、ずれないようにテープなどで固定したりします。

 

トイレを新しく変えるときの注意点

今まで使っていたトイレを変えたいというときは、1週間ほどかけてゆるやかに移行していきます。

ペットシーツを変えるとき

急にペットシーツを変えてしまうと、匂いが変わって犬がトイレとして認識しないことがあります。

変える際は新しいペットシーツを1/3程度にカットし、今までのペットシーツの端っこに置きます。犬が匂いや見た目に慣れてきたら、シーツの大きさを1/2→2/3と大きくしていき、最終的に新しいペットシーツに入れ替えます。

トレーを変えるとき

トレー自体を急に変えると、犬が警戒して入らないということもあります。そのようなときは新しいトレーを部屋の中央に置き、犬に匂いを嗅がせて警戒心を解いてあげます。

その後、新しいトレーをトイレのそばまで少しずつ移動し、犬が新しいトイレの存在を気にしなくなったら交換します。

もしそれでも使ってくれない場合は、犬のおしっこを軽く塗りつけて拭き取ってみてくださいね。

 

室内犬にトイレをしつけるときのコツや注意点

といれ ごほうび

以下の項目では、トイレトレーニングの際のコツや注意点をまとめています。

ごほうびや強化刺激をうまく使う

犬のしつけにおいては「してほしい行動と快(ごほうび)」、「してほしくない行動と不快(おしおき)」を結びつけるのが基本になります。

ただし、トイレトレーニングに関しては「してほしい行動と快(ごほうび)」を結びつけるとうまくいくことが多いですよ。「便意をもよおし、間違った場所で用を足す→不快なことがある」と学習してしまうと、排泄することに恐怖を感じ、飼い主に隠れておしっこをしたり、自分の便を食べてしまう食糞症になりかねません。

所定の場所で用を足した瞬間に、おやつなどの快を与えるという方法を基本方針としてくださいね。

 

時間をさかのぼって叱るのはダメ

「粗相をした場所に犬を連れて行き、鼻先を押し付ける」といったしつけの方法がありますが、あまりおすすめできません。

犬は数分前の出来事と現在の罰の因果関係が結びつけられないため、飼い主との信頼関係を損なう危険性があるからです。

 

自分の体と生活スペースを汚さない

犬はきれい好きで自分の体や生活するスペースをきれいに保つ習性を持っています。そのため、生活空間とトイレの場所が近かったり、生活空間が不衛生だったりするとトイレを覚えないこともあります。

「生後間もなく母親から引き離された」「生活空間とトイレスペースが一緒だった」などの生後の住環境上の理由から、衛生面に無頓着な場合があります。その場合は、じっくりトイレトレーニングに時間をかけてくださいね。

 

先住ペットがいるとトイレを覚えにくい

他の動物や先住犬がいる場合、排泄物のニオイがついているとその場所でトイレをしてしまうことがありますので注意してくださいね。

 

トイレを覚えるまでは目を離さない

トイレを覚えるまでは、犬にとって全ての場所が「トイレ」になります。

目を離した隙にトイレ以外で粗相をしてしまうと排泄物の臭いがついてしまうため、その場所で繰り返しトイレをする可能性もあります。

トイレを覚えるまでは目の届かないところで犬をフリーにしない。目を離さなければいけない状況のときは、ケージやサークルなどで行動範囲を制限するようにしてください。

 

庭をトイレにするときの注意点

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欧米では屋外や庭での排泄がよく見られますが、日本においては戸建てでも庭トイレはデメリットが多くなります。

庭をトイレにしたときのデメリット

気分が天候に左右される

庭がトイレの場合、天気に関係なくトイレのたびに外に出る必要があります。しかし土砂降りの場合や、雷や強い風の音が嫌いな犬だと、排泄ができず我慢してしまうかもしれません。

結果、家のなかで粗相してしまったり、我慢しすぎて膀胱炎になったりという事態にもなります。

歳を取ると重労働になる

愛犬が若いうちはさほど問題になりませんが、犬が歳をとって足腰が弱くなると飼い主がリードで付き添う必要が出てきます。トイレのたびに付き添わなければならない状況は、犬と飼い主双方にとってストレスになってしまう可能性があります。

近所の迷惑になる

水はけが悪い庭の場合、長年同じ場所で排泄すると臭い成分が染み込んでしまい悪臭を放つ可能性があります。

これは動物愛護法の違反でもあり、ご近隣トラブルの原因になってしまいます。また、犬が庭で遊んだときに被毛に自分の排泄物がつく危険性もあります。

 

庭をトイレにするときのやり方

どうしても庭に犬用のトイレを設置したい場合は、室内のトイレトレーニングと同様、正しい行動にごほうびを与えるのが基本となります。

犬用の屋外トイレを作る

庭全体をトイレにするのは不衛生なので、エリアを特定することをおすすめします。

杭やポールなどを打ち込んで目印にしておくと、犬がトイレとして認識しやすくなりますよ。足を上げる癖のある犬の手助けにもなります。

エリアは「水はけが良い場所」「水洗いしやすい場所」がおすすめですよ。砂状の場所だと犬が前足でひっかいて散らかしがちなので避けたほうが良いですね。

犬をトイレに誘導する

犬のトイレサインに気づいたら、リードをつけてトイレの場所まで誘導してあげます。

排泄しはじめたら「ワンツーワンツー」などの指示語を聞かせ、排泄が終わったらごほうびを与えます。ごほうびは徐々に減らして、最終的にはほめ言葉だけにしてくださいね。

トイレを掃除する

排泄物を長時間放置すると悪臭を放ちますので、市販の消臭剤などをかけるようにします。

ただ、製品の消臭作用には限界があるので、臭いが消えなくなったら土壌を入れ替える必要がありますよ。

 

屋外でトイレをしたときの注意点

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犬の排泄は散歩前に済ませておくのが理想ですが、生理現象を100%コントロールすることは難しいですよね。

もし、散歩中に排泄をしてしまったら、おしっこの場合は水をかけて洗い流し、うんちの場合は携帯している袋で回収し自宅に持ち帰るようにしてください。

 

トイレトレーニングは人と犬が快適に暮らすうえでの重要なもの

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トイレトレーニングは犬と人が快適に安心して暮らすために必要なものです。

最初は失敗の繰り返しで、なかなかうまくいかないこともあるかもしれませんが、根気よく覚えさせてあげましょう。タイミングを見計らったり、コントロールできたりすれば、一緒にお出かけするときも、お留守番のときも安心です。

こちらの記事を参考にしていただき、ぜひトイレトレーニングを成功させてくださいね。

 

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こいぬすてっぷについてはこちらの記事もご覧ください。