ちくわを猫に与えるのがダメな理由や悪影響、盗み食いしないための方法

魚肉の加工食品であるちくわは、猫が好んで食べるイメージがあります。実際、ちくわをおやつ代わりに愛猫に与えているというご家庭もありますよね。

しかし、猫も喜んで食べてくれることの多いちくわですが、ちくわには塩分や添加物が多く含まれており、体の小さな猫が過剰に摂取することは好ましくない食べ物なのです。

この記事では、ちくわを猫に与えるのがダメな理由や悪影響、盗み食いをしないための方法などをまとめました。

 

ちくわを猫に与えてはいけない理由

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ちくわを猫に与えてはいけない理由

  • 塩分が多く含まれている
  • 加工でんぷんが使用されやすい
  • 保存料や着色料を使用されやすい

まず、なぜちくわを猫に与えてはいけないのか、その理由を紹介します。

 

塩分が多く含まれている

ちくわやさつま揚げなど、加工食品である練り物には塩の使用が欠かせません。

製造過程で、元の魚肉のタンパク質を溶解させて、すり身の形にする必要があります。塩がそのタンパク質を溶解し、食品原料の物性を変える役割を担っているのです。

大手食品会社の製品を見てみると、どの製品にも100kcalあたり2g程度の塩分が使用されています。

猫の1日の塩分の最適摂取量は、多くても300mg(上限42mgとの報告もあり)なので、これだけを見ても、ちくわは猫に与えるには塩分が多い食品であることがわかります。

塩分(ナトリウム)は、人間と同様、猫にとっても生命維持のために必要不可欠な成分です。塩分が体内で不足することによって引き起こされる疾患もあります。

しかし、塩分不足よりも怖いのが、塩分過多によって起こる疾患のリスクです。

人が塩分を過剰に摂取し続けると、腎臓病や心臓病を引き起こします。

猫にも人と同じようなことが起こるとは明確に証明されてはいませんが、猫は特に下部尿路疾患になりやすい動物であるため、腎臓尿や心臓病の危険性が高く、塩分の過剰摂取には十分に気をつける必要があります。

良質なキャットフードに含まれる塩分量が0.3〜0.5%程度なのに比べ、市販されている一般的なちくわには、1本あたり約0.8〜1.2g(2.0〜2.5%)の塩分が含まれています。

まさに、ちくわは良質なキャットフードの7倍もの塩分が含まれている計算になりますね。

 

加工でんぷんが使用されやすい

ちくわを製造する際、弾力を増す目的ででんぷんを使用することが多いです。特に安価で低品質の製品には、加工物である加工でんぷんという添加物が使用されていることがあります。

現在11種類の加工でんぷんが添加物として指定されていますが、日本の食品安全委員会の調査では、適切な使用なら安全性に懸念はないとの見解が発表されています。

しかし、EUでは、用いられる化学薬品によっては発がんの危険性があると指摘する声があります。

また、使用されている化学薬品の量にも制限がないので、安全性について疑問が残ります。

そのため、特に体の小さい猫には与えるのは避ることが好ましいです。

 

保存料や着色料が使用されやすい

安価な製品には、賞味期限をより長くするために保存料を使用しているものもあります。

保存料として使用されるソルビン酸は、「発ガン性物質」やDNAや染色体といった生物の遺伝情報に損傷を与え変化を引き起こす「変異原性物質」となる可能性が指摘されています。

また、細菌を抑えて甘味を引き出す添加物であるソルビットが甘味料として使用されている場合もあります。このソルビットには、下痢や腹痛を引き起こす恐れがあります。

 

加工物が使用される目的

魚肉を加工して製造されているちくわは、猫にとってご馳走ともいえる食べ物です。また、魚が使用されていることから、飼い主さんとしても、愛猫に与えるのにぴったりだと思っている方も多いですよね。

しかし、ちくわは魚肉がメインの原材料ではありますが、それ以外の原材料には全て化学物質である添加物を使用し、製造されています。

添加物は本来、以下のような目的で使用されます。

・見た目を良くする
・保存性を上げる
・香りづけをする
・栄養分を強化する

添加物は体に良くないというイメージがありますが、摂取することで、すぐになにか良くない影響が出るというわけではありません。

人間が口にする添加物は、食品添加物検査で食品衛生法の基準を満たした安全な食品であるかを厳しく検査されたうえで、検査に通ったものだけが売り場に並んでいます。

しかし、これは人間が食べることを基準としての話です。人間にとっては安全な食べ物でも、猫にとっても害がない安全な食べ物だとは、一概にいえません。

 

ちくわに含まれる添加物

ちくわにおよそ含まれている添加物

  • 調味料
  • 着色料
  • 植物油脂
  • 保存料
  • でん粉

体が小さいネコは添加物を体内から排出・中和する能力が人間よりも弱いので、添加物がもたらす影響をダイレクトに受けてしまうのです。

 

ちくわの過剰摂取が猫に与える悪影響

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ちくわの過剰摂取が猫に与える悪影響

  • 肥満・高血圧
  • 尿石症・慢性腎不全
  • がん

ちくわを過剰摂取することで猫にはどのような悪影響が及ぼされるのでしょうか。ここでは、考えられる症例を紹介します。

 

肥満・高血圧

塩分は、猫の生命維持において必要不可欠な成分です。しかし、必要以上の塩分を摂取すると、高血圧を引き起こしさらには内臓に負担をかけることにもなります。

また、糖分過多で肥満の原因になってしまうこともあります。

人間であっても、塩分を多く含むちくわを大量に食べることは、むくみや高血圧症を引き起こす原因となる可能性があります。そのような食べ物を、人間より体の小さい猫が口にしたら、少量でも危険が及ぶことは明らかです。

 

尿石症・慢性腎不全

先にも述べた通り塩分は猫にとって必要な成分ですが、猫は人間のように汗をかけない動物なので、塩分を体外へ上手く排出することができません。

しかし、過剰摂取することで血圧が上昇し、塩分の排出を行う役割を持つ腎臓に大きな負担をかけてしまうこととなり、慢性腎不全を併発するリスクを高めます。

また、塩分が影響する猫の疾患で、最もポピュラーなのが尿石症です。

尿石症とは尿路結石症とも呼ばれ、尿に含まれるミネラル成分が結晶化して、腎臓や膀胱、尿道などの泌尿器で結石となって様々な症状を引き起こす疾患です。

猫の慢性腎不全や尿路結石などの疾患には、質の良くない食事の影響が大きいとされます。

スーパーやドラッグストアで手軽に買うことができる安価なキャットフードには、必要量以上の塩分や添加物が含まれていることが多く、それらが悪影響を及ぼすのです。

腎臓は、その摂取し過ぎた毒素を排出しようとフル稼働します。そのため、大きな負担がかかり、機能が衰えて慢性腎不全を発症してしまいます。

このように、塩分の取り過ぎは猫の健康を害し、様々な疾患を引き起こす大きな要因となるのです。

 

がん

添加物と呼ばれる食物のほとんどに、発がん性や免疫障害、内臓異常、ホルモン異常などのリスクが指摘されています。

近年、人間と同様に、猫のがん発症率も高くなっています。

その要因は食生活だけに限ったことではありませんが、食事を見直すことでそのリスクを少しでも軽減することができるのであれば、できる限りのリスクヘッジをとることが重要となります。

 

ちくわ以外の練り物は猫に与えても大丈夫か

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気をつけるべき加工食品

  • かまぼこ
  • カニカマ
  • スルメ
  • 煮干し
  • 鰹節
  • ソーセージ
  • ハム
  • ベーコン
  • ツナ缶
  • サバ缶

ちくわに限らず、ちくわと同じ製法で製造されている練り物全般が、猫に与える食べ物としては好ましくありません。

しかし、練り物は猫にとって好ましくない食物ではありますが、食べてしまったからといって、すぐに中毒症状を起こすようなことはないので、焦って病院へ駆け込む必要はありません。

けれども、常用的に与えたり多量に与えたりすることで、体に悪影響を及ぼす恐れがあるので、気をつけてくださいね。

 

ちくわだけじゃない。猫に人間の食べ物がNG

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ちくわ以外にも、猫が人間の食べ物を口にすると健康を損なう可能性があります。

人間の食べ物は、人間の味覚に合わせて加工されています。加工品は塩分含有率も高く、体の小さな猫には塩分過多となってしまいます。

苦手な病院に行ったり、嫌いなシャンプーを頑張ったりしたご褒美におやつを与える機会もあります。

その時に、おやつとしてちくわやかまぼこなどの魚肉加工品を与えていると、猫にとって多くのデメリットが生じてしまうのです。

また、塩分を含んでいなくても、猫にとって毒となる食べ物も存在します。

猫に与えてはいけない食べ物

  • ネギ
  • 玉ネギ
  • チョコレート
  • 牛乳 など

上記に挙げた食べ物を、猫が間違って口にしてしまうと、食べてしまった量によっては、嘔吐や痙攣(けいれん)、下痢などの症状を引き起こす場合もあるので、人間の食べ物を猫が口にしないように配慮することが大切です。

玉ネギやチョコレートなどは、冷蔵庫の外に置いておきがちな食べ物でもあるので特に注意が必要です。愛猫の手の届かない場所に保管をすることが好ましいです。

また、もし人間の食べ物を与える場合には、その食べ物の安全性をしっかりと確認したうえで、少量を柔らかく調理して与えると良いですね。

 

間違えて食べてしまった場合

猫が食べてはいけないものを口にしてしまった時は、まずは誤食してしまった量を確認し、様子がおかしいようであれば獣医師の診察を受けることをおすすめします。

 

ちくわが好きな猫がいる理由

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魚のすり身に塩や砂糖、でんぷんなどを練り混ぜたものを棒につけて、焼いたり蒸したりして作られるのがちくわです。

ちくわの原材料には猫が好きなスケトウダラやホッケ、トビウオなどの魚が多く使用されているため、ちくわを好んで食べたがる猫が多いのです。そのほかプニュプニュした弾力のある触感を好む子もいますよ。

 

ちくわを猫が盗み食いしないための方法

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ちくわを猫が盗み食いしないための方法

  • 使う直前までは冷蔵庫の中に
  • 調理中は電子レンジかフタ付き鍋の中に
  • 料理は食べるときに食卓へ

この項目では、猫がちくわを盗み食いしないようにするために飼い主さんができる対策法を紹介します。

 

使う直前までは冷蔵庫の中に

調理をする直前まで冷蔵庫に入れておくことが一番安全です。

もし、愛猫が冷蔵庫の扉ですら器用に開けてしまうならば、チャイルドロックを取り付けて、簡単には開けられないような工夫をすることをおすすめします。

 

調理中は電子レンジかフタ付き鍋の中に

調理中に切ったちくわを調理台に置きっ放しにしておくと、ちょっと目を離した隙に愛猫がつまみ食いをしてしまう可能性があるため、その置き場所に困りますよね。

その時は、電子レンジの中に入れてしまうのが安全で便利です。電子レンジの扉は、猫には開けにくい造りになっているからです。

また、鍋の中に入れてフタをしておくという方法もおすすめです。フタを簡単に開けてしまうようであれば、フタの縁を洗濯ばさみで数カ所留めてロックしておくと良いです。

 

料理は食べるときに食卓へ並べる

出来上がった料理を先に食卓へ並べてしまうと、猫に格好の盗み食いタイムを与えてしまうことになります。

猫が好みそうなものはフタのついた容器に入れて、食べる直前まで食卓には出さないようにすることが好ましいです。

また、食べ残しなどが出てしまったら、食事が済んだ後すぐに、フタつきの容器に入れて冷蔵庫で保管するか、フタつきのゴミ箱に捨てることをおすすめします。

 

子猫のときに人の食べ物を与えない

猫は、新しいものへの警戒心がとても強い動物です。

子猫の頃に口にしたことのない食べ物であれば、成猫になってからも興味を示すことが少ないので、子猫期に人間の食べ物の味を覚えさせないことが大切になります。

 

塩分過多はさらなる負担に

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猫は元々、腎臓に負担がかかりやすい動物です。

そこに塩分過多によるさらなる負担をかけることは、どう考えても好ましいことではありません。

魚肉が加工されているちくわを好んで食べたがる猫は多いですが、大切な家族の一員である愛猫の健康を考えるならば、たとえねだられたとしても、与えないことをおすすめします。