ジャーマンシェパードの性格や特徴、しつけや寿命、飼い方は?

ジャーマンシェパード1
愛玩動物看護師
監修者:渡邉鈴子

栃木県生まれ。帝京科学大学にて4年間、動物看護学をはじめとした動物関連の科目を学び、2023年5月には愛玩動物看護師免許を取得。これまでにうさぎや猫の飼育経験あり。現在では、ペット栄養管理士の資格取得に向けて勉強中。

「ドイツの牧羊犬」と言う意味を持つドイツ原産のジャーマンシェパード

警察犬のイメージが強いですが、世界中の様々な場所で「世界最高の使役犬」として活躍していますよ。

この記事では、ジャーマンシェパードの性格、体重や被毛の特徴、寿命や病気、飼い方、しつけや歴史についてまとめました。

ジャーマンシェパードの基本情報

German Shepherd

歴史

ジャーマンシェパードドッグの起源は新しく、A・メイヤー氏とフォン・ステファニッツ中尉が19世紀末に始めた繁殖プログラムによって開発された犬種です。

何百年も前からドイツの山岳地方で飼育されてきた牧羊犬「オールドジャーマンシェパード」をもとに、軍用犬として改良が繰り返され誕生したのがジャーマンシェパードドッグです。

「ドイツの牧羊犬」との意味をもつ名前ですが、実際に牧羊犬としての活躍はしていません。

大きさや特徴

男の子 体高:55~65cm
体重:22~40kg
女の子 体高:55~60cm
体重:22~32kg

ジャーマンシェパードの体型は、体高よりも体長がやや長めで筋肉質な体つきをしています。屈強なイメージがあるかもしれませんが、大型犬の中ではやや小柄ですよ。

被毛はダブルコートで、滑らかで硬いまっすぐな上毛と密生したやわらかい下毛が特徴的です。

シェパードの仲間

シェパードと名のつく犬種は、世界中にたくさんいます。

「ホワイトシェパード」「オーストラリアンシェパード」「ベルジアンシェパード」などが有名ですね。

シェパードの種類については関連記事で紹介しています。

 

ジャーマンシェパードの性格について

ジャーマンシェパード

ジャーマンシェパードの性格

性格

従順
勇敢
聡明
警戒心が強い

シェパードの性格は、「従順」「勇敢」「聡明」「警戒心が強い」などです。

愛情深く甘えん坊

「怖い」「攻撃的」というイメージを持たれがちなジャーマンシェパードですが、しつけがされていればそんなことはなく穏やかで甘えん坊な一面もみせてくれます。飼い主に対して信頼を寄せれば、忠実に指示に従う事ができる賢さを持ち合わせていますよ。勇敢で洞察力のある犬種でもあるので、その能力の高さから日本では「警察犬」「災害救助犬」「麻薬探知犬」として活躍しています。

警戒心が強い

ジャーマンシェパードは非常に警戒心が強い犬種です。初めて会う人間には、たとえおやつを差し出されても安全性が確認できるまで、近づくことはありません。慎重に相手を見極める警戒心の強さは、番犬としても活躍してくれますよ。

男の子と女の子の違い

性別でもシェパードの性格は大きく異なります。

極端な性格になることは稀ですが、男の子は荒々しく女の子は柔和な傾向があります。

訓練タイプとショータイプの違い

「訓練タイプ」は活発な子が多いですが、ショータイプはおっとりした子が多いですね。

ショータイプは飼い主以外には神経質になる一面もみられますよ。

 

ジャーマンシェパードの快適な飼育環境について

シェパ4

準備するもの

準備するもの

飼育スペース・ケージ
食器類・床材
首輪やリード・おもちゃ
ドッグフードとおやつ
トイレ用品
ケア用品
動物病院

ジャーマンシェパードとの生活をより快適なものにするために、「飼育スペース・ケージ」「食器類・床材」「首輪やリード・おもちゃ」「ドッグフードとおやつ」「トイレ用品」「ケア用品」「動物病院」などの生活用品や準備を揃えておきましょう。

飼育スペース・ケージ

快適に過ごせるスペースを確保します。サークルは十分な広さを確保できるもので、犬用のベッドやケージ・クレートを用意しましょう。クレートとは箱状の家のようなものであり、犬にとって寝床となったり安心できるものになります。移動するときにも使え、病院へ連れて行くときや災害による避難の際にも活躍します。

愛玩動物看護師 渡邉鈴子さん
クレートは普段から慣れさせておくことで、スムーズに動物病院へ連れていくことが可能です。クレートを動物病院へ行くときにしか使用していないと、クレート=動物病院という認識になってしまいます。普段から使用することで防ぐことが可能です。

食器類・床材

ご飯を食べる時に必要な食器を用意しましょう。水のみ用のボウルとフードのためのボウルを別々に準備してあげてください。食器類を選ぶ際は「耐久性はあるか」「滑りにくくないか」「大きさは適切か」といったことを目安に探してみてください。床材についてはすべりにくい材質のものを選び、思わぬ転倒を防ぐために用意しておくと良いでしょう。

首輪やリード・おもちゃ

散歩や運動をするときのために、首輪やリード・ハーネスを準備しましょう。遊ぶためのおもちゃや知育玩具なども用意しておくと、遊びを通して良好な関係性を築くことができますよ。

ドッグフードとおやつ

健康管理のため、年齢に適した高品質の犬用のドッグフードを用意しましょう。初めて犬を飼育する方は、水と餌だけで栄養が賄える「総合栄養食」と書かれたドッグフードを用意するといいですね。飼育に応じて適切な量を与えるようにしてください。絶対に必要というわけではないですが、おやつも同時に用意しておくといいですね。しつけトレーニングの際に「ご褒美」として利用できますよ。

トイレ用品

屋内で飼育する際は、排泄物を処理するための犬用のトイレトレーを用意します。また、トイレトレーニングのために新聞紙やトレーニングパッドも役立ちますので、一緒に揃えておくといいですね。

ケア用品

健康と衛生を保つために、犬用のシャンプーやブラシ、爪切り、歯磨きセットなどのケア用品を用意します。

動物病院

何かあった際や健康管理のために、かかりつけの動物病院も見つけておくと安心です。獣医師の診察や予防接種、必要な薬やサプリメントなどを考慮し予算を立てておくのもいいですね。

目的に合った飼育環境を

ジャーマンシェパードを家の中で飼育した場合、飼い主やその家族に対して愛情深い家庭犬となる傾向にあります。

一方外で飼育している場合は、防衛本能が高まり番犬として優秀な働きをしてくれますが、警戒心が強くなり攻撃性が高まる可能性があります。

しつけをしっかり行う前提での話ですが、目的に合った飼育環境を与えることでジャーマンシェパードの優れた能力が発揮できるようになりますよ。

 

ジャーマンシェパードの食事について

ジャーマンシェパード5
ドッグフードをメインで与えたい場合は、「総合栄養食」と表示されているドッグフードを選びましょう。これは水と一緒に与えるだけで、健康が維持できるドッグフードのことです。選ぶ際は原材料を必ず確認しましょう。主原料が「肉類」であることが望ましいですよ。

手作り食をメインで与えたい場合は、「一般食」と表示されているドッグフードがおすすめです。いわば「おかず」のようなものであり、トッピングとして利用することで手軽に栄養を追加することができます。

食事量

普段与えているドッグフードの裏面に記載されている量をあげるようにします。

ただ、体重との換算表は、愛犬が「理想体型」であることを前提としているので、太っている子や痩せている子は量の調整が必要となります。

ごはんを食べない・・・どうすればいい?

ご飯を食べない場合はいくつかの理由があり、主に「好みの味ではない・食べにくい」「体調不良や季節による食欲の低下」「食器や環境が気に入らない」「ストレスが溜まっている」「病気」などが挙げられます。

この場合は、以下の方法を取り入れてみてくださいね。

トッピングをしてみる

まずはドッグフードにササミなどをトッピングして与えてみて、食欲が改善されるかを確認してみてください。新鮮な生肉を原材料に利用しているドッグフードに切り替えるのも手ですよ。

フードを食べやすくする

食べづらさが原因の場合は、飼い主さんがひと手間加えてあげましょう。ドライフードであれば、ぬるま湯でふやかして香りを立たせるのも手です。ニオイで食欲を刺激することができます。
また、粒が大きいようであれば砕いてあげるのもいいでしょう。ウェットタイプとドライタイプを組み合わせれば嗜好性が高まり、また水分も一緒に摂取することができます。

食器や環境を変える

食べやすい食器に変更したり、食事する場所を変えてみるといいかもしれません。ストレスを抱えている場合もあるので、遊びや散歩の時間を増やして発散させるのもいいですね。

動物病院で診てもらう

食べない原因が病気の可能性もあります。口内炎などの痛みを伴う場合、食べたくても、食べられないのかもしれません。「好きなおやつも食べない」「ぐったりしている」「元気がない」といった様子が見られるようであれば、かかりつけの動物病院で診てもらいましょう。

 

ジャーマンシェパードのお手入れについて

ジャーマンシェパード6

お手入れについて

お手入れ項目

被毛ケア
シャンプー
歯磨き
爪切り
耳掃除

ジャーマンシェパードとの生活をより良くするためには、日々のこまめなケアが欠かせません。

被毛ケア

毎日、換毛期であれば1日2回を目安に行います。

スリッカーブラシで余計なアンダーコートを取り除いた後にコームで仕上げるといいですよ。

シャンプー

1~2ヶ月に1回を目安に行います。

シャンプー前にブラッシングで余計な抜け毛を取り除いておくと、毛が絡みにくくなってシャンプーしやすくなりますよ。

シャンプーが終わった後は流し残しのないように、丁寧にすすぐことも忘れないでくださいね。

歯磨き

定期的な歯磨きは口腔疾患のケアに繋がります。

指に巻いたガーゼで歯の表面に付着した汚れをふき取るようにします。

爪切り

血管を傷つけないように、爪の先端から少しずつ切るようにします。万が一の時のために止血剤も用意しておくといいですよ。

耳掃除

耳掃除は、耳が汚れているタイミングで行います。

「耳垢が増えた」「耳から悪臭がする」などいつもと違う様子であれば、病院で診察を受けるようにしてくださいね。

愛玩動物看護師 渡邉鈴子さん
日々のお手入れが自宅で行うのが難しい場合は動物病院やトリミングサロンなどにお任せすることも視野にいれるといいでしょう。

 

ジャーマンシェパードの運動としつけについて

ジャーマンシェパード7
豊富な運動量が必要なので、1日2回それぞれ60分ほどの散歩が欠かせません。

駆け足を取り入れた散歩や広い場所での自由運動、知的な訓練を取り入れてあげると肉体・精神的に満足させてあげることができますよ。

ジャーマンシェパードのしつけについて

ジャーマンシェパードのしつけに関しては、ドッグトレーナーなどの専門家に依頼することをおすすめします。

知能の高い犬なので、飼い主が自分より格下であると判断した場合、まったく指示を聞かなくなるからです。

自分の強さを誇示するために、飼い主や家族、ときには他人に危害を加えることもありますよ。

 

ジャーマンシェパードの寿命や病気について

ジャーマンシェパード8

寿命

平均寿命

10~12年

ジャーマンシェパードの寿命は10~12年ほどで、大型犬としては平均的です。

病気

気を付けたい病気

股関節形成不全
胃捻転
皮膚疾患

ジャーマンシェパードの気を付けたい病気は「股関節形成不全」「胃捻転」「皮膚疾患」などです。

股関節形成不全

股関節の骨の形が変形してしまう関節の病気です。犬の中でも特に大型犬に多い病気と言われています。変形した箇所が嚙み合わず炎症を起こし、痛みで動くのを嫌がるようになります。治療法は年齢や状態で変わります。原因は遺伝的なもの以外に、肥満や激しめの運動があげられます。

胃捻転

何かしらの原因で胃がねじれてしまう病気です。ねじれたことで体液やガスが溜まり、他の臓器が圧迫され血液循環がうまくいかず結果命を落とす場合も。原因は遺伝的な要因と、食後の急な運動や大量の水のみ、早食いなどが関係しています。普段の生活から発症することがありますので、飼い主さんがしっかりコントロールするようにしましょう。

皮膚疾患

ジャーマンシェパードは皮膚が弱いため、「アトピー性皮膚炎」や「膿皮症」などの皮膚トラブルに注意してください。遺伝性の場合は防ぎようがないですが、免疫力が低下することで発症することもありますので、普段の食事や運動などで健康を管理することが大切ですよ。

愛玩動物看護師 渡邉鈴子さん
股関節形成不全では、うさぎ跳びのような歩き方やモンローウォークと呼ばれる腰を左右に振る歩き方をします。このような歩き方をしていたら動物病院を受診しましょう。胃捻転は早食いも原因の一つです。早食いをしないようにしつけるか、早食い防止のお皿を購入することも視野に入れてもいいでしょう。

 

ジャーマンシェパードの迎え入れについて

ジャーマンシェパード10

迎え入れの方法

迎え入れる方法としては、「ブリーダー」「里親制度」の2つがあります。

それぞれにメリットやデメリットがあるので、自分に適した方法で迎え入れるようにしてくださいね。

迎え入れにかかる費用

価格

およそ30万円

ジャーマンシェパードの迎え入れにかかる費用は、およそ30万円です。

飼育に向く人

ジャーマンシェパードは、「十分なスキンシップを図れる」「運動に時間を割ける」「しつけができる」人に向いています。

普段からスキンシップやコミュニケーションを密接にしておかないと、エネルギーを持て余し破壊・攻撃的になることもあるからです。

運動する時間を十分に確保しなければ、ストレスが溜まってしまいます。散歩の時間をあまり作れない方や、体力がない方は飼育が難しいかもしれません。

 

まとめ

ジャーマンシェパード9
いかがでしたでしょうか?

この記事では、ジャーマンシェパードの飼い方について紹介しました。

「警察犬」のイメージがあり「怖い」といった印象があると思いますが、甘えん坊な一面も見られる可愛い性格も持ち合わせていますよ。

しつけは子犬の頃からしっかり取り入れる必要がありますが、難しいと感じた場合はプロに相談してみてくださいね。

すでに飼育している、これから飼育を考えている皆様のお役に立てる情報があれば幸いです。

関連記事