ベルジアンマリノア(ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノア)は、ベルギー生まれのベルジアンシェパードドッグのうちの一種です。
近年では警察犬として有名なジャーマンシェパードよりも、能力が高いとされています。
今回の記事では、ベルジアンマリノアの歴史、性格や特徴、しつけ、病気や寿命、飼い方についてまとめました。
目次
警察犬に麻薬探知犬?ベルギー原産のベルジアンマリノアの歴史

ベルジアンマリノアという名前はベルギーのマリーヌという町に由来し、ベルギー原産の牧羊犬であるベルジアンシェパードドッグの4種の1つです。
ベルジアン・マリノアは4種のうち最古の犬種とされており、「本能的な羊の保護者」とも呼ばれるほど、何世紀にもわたって羊や牛の群れの番犬として飼育されてきました。
現在は警察犬や麻薬探知犬、国境警備犬として活躍していて、警察犬としての能力はジャーマンシェパードを越えるといわれています。家庭やショーの舞台ではあまり見かけませんが、平和を守るために活躍している犬種です。
比較的穏やか?ベルジアンマリノアの性格

ベルジアンマリノアは頭が良く責任感があり、主人への従順さは抜群の犬種です。
誇り高く誠実で、用心深い性格の持ち主です。飼い主への愛情が深い反面、他人にはあまり打ち解けません。愛する人を守る気持ちが特に強い犬種といえます。
ベルギーのシープドッグ4犬種(タービュレン、グローネンダール、マリノア、ラケノア)の中では比較的穏やかな性格をしています。
勇敢で警戒心が強いので番犬としては理想的といえます。
注意したい行動は?
他の犬や動物に対して攻撃的になる傾向があるので注意が必要です。
中には度を越えて威圧的な態度をとる個体もいますが、子犬のうちから人や犬と積極的に接させることで他の動物とも仲良くできるようになりますよ。
仕事好き?ベルジアンマリノアの特徴

ベルジアンマリノアの体高は55~66cm、体重は20~30kgで大型犬に分類されます。
がっしりとした楕円形の骨格と正方形に近い胴体を持ち、与えられた仕事に常にまじめに取り組む熱心さが特徴です。飼い主家族やその財産を危険から守るようにしつければ、献身的に行動してくれますよ。
広々とした空間での飼育推奨
硬くてまっすぐな美しい短毛で体全体が覆われています。顔や耳周りだけが黒色の個体が多いです。下毛も全身密に生えています。
狭い空間に閉じ込められたり本来の活発な性質を抑圧したりすると、円を描くようにして走り回ることがあります。行動派のベルジアンマリノアのためには、広くていつでも動き回れる環境を準備してあげてくださいね。
難易度は高め?ベルジアンマリノアのしつけ

子犬のしつけはしやすいですが、成犬からだと非常に難易度が高くなります。成犬になると警戒心の強弱が固定されてしまい、いくらしつけても攻撃的な性格が治らない可能性も。
子犬のころから外へ連れていき、他の人や犬とたくさんコミュニケーション(社会化)をとれる環境が理想的です。
強気な性格のベルジアンマリノアですが、叱るよりは褒めることでしつけることが大切。トレーニングに順応する忍耐力と学習能力があるのでしつけもスムーズに行うことができます。
経験や知識がある方前提?一貫したしつけが必須
子犬のうちから徹底して訓練すれば、問題行動を防ぐことができます。知識と経験のある飼い主さんが一貫したしつけを行えば、ベルジアンマリノアは番犬として家族のパートナーとして、お互い快適に暮らせるでしょう。
社会化トレーニングの重要性
犬が社会に順応する力を養うためのトレーニングで、生後3カ月~3カ月半ごろまでに経験したことには順応しやすい傾向があるため子犬のころの社会化は非常に重要です。
さまざまな物や音、人や犬、外の世界に慣れさせるトレーニングをしましょう。
外の世界を知らないと…
この社会化を促したいタイミングで家の中で子犬自身が入ったことがない部屋があったり、あまり外に出ずに生活をしていると、初めての何かに触れた際に逃げたりケージやクレートから出ないようになってしまいます。
ベルジアンマリノアの寿命や病気は?

ベルジアンマリノアの平均寿命は12~13年前後です。
丈夫な犬種ですが「股関節形成不全」「アレルギー」「てんかん」などにかかりやすいです。
股関節形成不全
股関節形成不全の大きな原因は肥満なので食事と運動量のバランスが大切です。主な症状は歩行異常なので、異変に気づいたらすぐに動物病院で検査を受けさせてあげてくださいね。健康管理のためにも毎日の散歩と運動も欠かさないでください。
てんかん
ベルジアンマリノアはてんかんが起こりやすい傾向にある犬種です。
原因不明のてんかんの発作を完全に防ぐことは難しいといわれており、発作が起きた場合は「発作の回数を抑える」「発作の強度を軽減する」ことを目標として投薬治療を行います。
必要な運動量多め?ベルジアンマリノアとの暮らし方
ベルジアンマリノアはエネルギッシュな犬種なので、毎日たくさん運動させる必要があります。
2時間を目安に散歩に連れていってあげてください。リードをつけてのんびりと散歩を楽しむというよりは、長い距離をジョギングさせたりドッグランで活発に遊ばせたりと、激しい運動を取り入れてあげると喜びます。
家畜の群れを移動させる作業を担っていた犬種なので、似た運動をさせると夢中になって取り組んでくれます。ドッグランなど他の犬と一緒の環境には、他の犬を襲わないようにしっかりとしつけをしてから連れていくようにしてください。
被毛の手入れはほとんど手間がかかりません。2~3日おきにコームや獣毛ブラシでブラッシングする程度で十分清潔さを保てます。
勇敢な犬と暮らしたい方は検討してみても?

ベルジアンマリノアは姿や性格がジャーマンシェパードに類似しています。ジャーマンシェパードが目立ち、ベルジアンマリノアの印象は薄いかもしれませんが、勇敢で飼い主を守る番犬としての能力は抜群です。
子犬から一貫したしつけを行うことができれば、あなたにとってかけがえのないパートナーになってくれます。
しつけの難易度は高く、わんちゃんと暮らすのが初めての方には向いていない犬種です。知識も経験も豊富にある方、十分な広さがある家もしくは敷地がある方、十分に運動させることができる方…など、経験者の方は検討してみても良いかもしれません。