ウェルシュスプリンガースパニエルの性格、体重や被毛の特徴は?寿命や病気、飼い方、しつけや歴史は?

ウェルシュスプリンガースパニエル

ウェルシュスプリンガースパニエルはウェールズ地方原産の鳥猟犬で、万能の狩猟犬として知られています。狩り場やフィールド競技などでも活躍しており、ペットとしても世界中で愛されています。

今回の記事はウェルシュスプリンガースパニエルの性格、体重や被毛の特徴、寿命や病気、飼い方、しつけや歴史についてご紹介します。

 

ウェルシュスプリンガースパニエルの歴史や基本情報は?

ウェルシュスプリンガースパニエル

歴史

約1000年前のウェールズに存在したスパニエルの系統を継いでいるとされていますが、詳細は不明です。

19世紀末のドッグショーなどでは「ウェルシュ・コッカー」と呼ばれていたようですが、1902年に現在の犬種名に改良されました。

暑さや寒さにも耐える犬種としても知られ、熱帯地方でも飼育されています。

出典:JKC「ウェルシュ・スプリンガー・スパニエル」、若山正之監修「まるごとわかる犬種大図鑑」

特徴

ウェルシュスプリンガースパニエルの特徴

体高 46~48cm
体重 16~20kg
被毛 絹糸状
被毛カラー 赤褐色と白、黒と白、葦毛まじりなど

ウェルシュスプリンガースパニエルは体高が46~48cm体重が16~20kg前後中型犬に分類されます。がっしりした筋肉質な体型で、あらゆる気候と激務に耐えられる体を持っています。

見た目

優しげな表情と均整のとれた外観をしており、狩猟では俊敏で活動的な動きをします。アフリカやインドでは現在も猟犬として活躍しています。

被毛

被毛は絹糸状で、体に沿ってまっすぐ生えています。長さは適度で、悪天候やトゲなどから体を守るよう進化しています。カラーは赤褐色と白、黒と白、葦毛まじりなどさまざまです。

 

ウェルシュスプリンガースパニエルの性格は?

ウェルシュスプリンガースパニエル

性格

ウェルシュスプリンガースパニエルの性格

明朗活発
好奇心旺盛
穏やか

飼い主には温厚で穏やか

ウェルシュスプリンガースパニエルは、温厚で優しい性格をしています。穏やかで落ち着いており、飼い主と家族にはとても忠実な犬種ですが、見知らぬ人に対して警戒心をあらわにする個体もいます。同じスパニエル系のイングリッシュスプリンガースパニエルに比べるとのんびりと落ち着いた雰囲気をもっています。子供や他の動物にも優しくできる、社会性も持ち合わせています。

ウェルシュスプリンガースパニエルは明朗活発で好奇心旺盛な性格をしています。スタミナがあり豊富な運動量を必要とする犬種です。十分な運動ができないとストレスを溜めて問題行動を起こす可能性があるため、しっかり時間を確保できる人に向いている犬種と言えます。やや警戒心が強い子には子犬の頃から様々な環境に足を運び、飼い主以外の人間や犬・動物に慣れさせるといいですよ。

 

ウェルシュスプリンガースパニエルの寿命や病気は?

ウェルシュスプリンガースパニエル

寿命

平均寿命

12~14年

ウェルシュスプリンガースパニエルの平均寿命は12~14年です。中型犬としては平均的です。
食事や運動から健康を意識することで、より長い時間を共にすることができますよ。

病気

気を付けたい病気

股関節形成不全
外耳炎
眼瞼内反症

ウェルシュスプリンガースパニエルは基本的に健康な犬種ですが、「股関節形成不全」「外耳炎」「眼瞼内反症」などに注意が必要です。

股関節形成不全

「股関節形成不全」は、股関節の骨の形が変形してしまう関節の病気です。犬の中でも特に大型犬に多い病気と言われています。変形した箇所が嚙み合わず炎症を起こし、痛みで動くのを嫌がるようになります。原因は遺伝的なものと、肥満や激しい運動などが挙げられます。太らせすぎないように毎日の散歩や食事管理は欠かせません。歩様に異常が見られたら早めに病院へ行き診察してもらってください。

愛玩動物看護師 渡邉鈴子さん
股関節形成不全では、うさぎ跳びのような歩き方やモンローウォークと呼ばれる腰を左右に振る歩き方をします。このような歩き方をしていたら動物病院を受診しましょう。

外耳炎

ウェルシュスプリンガースパニエルの特徴的な垂れた耳は通気性が悪く、「外耳炎」などの耳の疾患を引き起こしやすいです。見える範囲で汚れを取り除くように、定期的にケアをしてあげて下さい。「耳垢が増えた」「耳から悪臭がする」といった様子が見られたらすぐに病院へ。

愛玩動物看護師 渡邉鈴子さん
自宅で耳のケアを行う際に、人用の綿棒は使用しないでください。犬の皮膚は人と異なり薄く傷つきやすいです。人用の綿棒は刺激が強すぎるため、獣医さんや動物看護師さんに正しい耳掃除の方法を教えてもらってから行いましょう。

眼瞼内反症

「眼瞼内反症」は、まぶたの先が眼球の方向へ向いてしまっている状態のことです。そのため、まつ毛が眼球を傷つけて炎症を引き起こしてしまいます。ほとんどが遺伝疾患なので、目やにが増えたり、違和感を感じたら病院で診察してもらいましょう。

また親からの遺伝疾患として「てんかん」にもかかりやすい犬種です。事前によく調べておきましょう。

 

ウェルシュスプリンガースパニエルの飼い方は?

ウェルシュスプリンガースパニエル

最低限揃えておくもの

準備するもの

飼育スペース・ケージ
食器類・床材
首輪やリード・おもちゃ
ドッグフードとおやつ
トイレ用品
ケア用品
動物病院

ウェルシュスプリンガースパニエルとの生活をより快適なものにするために、「飼育スペース・ケージ」「食器類・床材」「首輪やリード・おもちゃ」「ドッグフードとおやつ」「トイレ用品」「ケア用品」「動物病院」などの生活用品や準備を揃えておきましょう。

飼育スペース・ケージ

快適に過ごせるスペースを確保します。サークルは十分な広さを確保できるもので、犬用のベッドやケージ・クレートを用意しましょう。クレートとは箱状の家のようなものであり、犬にとって寝床となったり安心できるものになります。移動するときにも使え、病院へ連れて行くときや災害による避難の際にも活躍します。

愛玩動物看護師 渡邉鈴子さん
クレートは普段から慣れさせておくことで、スムーズに動物病院へ連れていくことが可能です。クレートを動物病院へ行くときにしか使用していないと、クレート=動物病院という認識になってしまいます。普段から使用することで防ぐことが可能です。

食器類・床材

ご飯を食べる時に必要な食器を用意しましょう。水のみ用のボウルとフードのためのボウルを別々に準備してあげてください。食器類を選ぶ際は「耐久性はあるか」「滑りにくくないか」「大きさは適切か」といったことを目安に探してみてください。床材についてはすべりにくい材質のものを選び、思わぬ転倒を防ぐために用意しておくと良いでしょう。フローリングの床で滑って関節を痛めないよう、すべりづらいカーペットを敷くなどの対策をしてあげてくださいね。

首輪やリード・おもちゃ

散歩や運動をするときのために、首輪やリード・ハーネスを準備しましょう。遊ぶためのおもちゃや知育玩具なども用意しておくと、遊びを通して良好な関係性を築くことができますよ。

ドッグフードとおやつ

健康管理のため、年齢に適した高品質の犬用のドッグフードを用意しましょう。初めて犬を飼育する方は、水と餌だけで栄養が賄える「総合栄養食」と書かれたドッグフードを用意するといいですね。飼育に応じて適切な量を与えるようにしてください。絶対に必要というわけではないですが、おやつも同時に用意しておくといいですね。しつけトレーニングの際に「ご褒美」として利用できますよ。

トイレ用品

屋内で飼育する際は、排泄物を処理するための犬用のトイレトレーを用意します。また、トイレトレーニングのために新聞紙やトレーニングパッドも役立ちますので、一緒に揃えておくといいですね。

ケア用品

健康と衛生を保つために、犬用のシャンプーやブラシ、爪切り、歯磨きセットなどのケア用品を用意します。

動物病院

何かあった際や健康管理のために、かかりつけの動物病院も見つけておくと安心です。獣医師の診察や予防接種、必要な薬やサプリメントなどを考慮し予算を立てておくのもいいですね。

お手入れ

お手入れ項目

被毛ケア
シャンプー
耳掃除
歯磨き
爪切り

ウェルシュスプリンガースパニエルとの生活をする上で、日々のお手入れは大切です。「被毛ケア」「シャンプー」「耳掃除」「歯磨き」「爪切り」などを取り入れて清潔を保つようにしましょう。

被毛ケア

被毛は定期的にブラッシングすることが重要です。毛の絡まりや抜け毛を防ぎ、清潔で健康な被毛を保つことができますよ。毛玉ができやすので、毎日のブラッシングを取り入れ汚れを溜めないようにしましょう。皮膚の異常がないかもチェックしてください。

シャンプー

適切な犬用シャンプーを使用し、毛並みや肌に合わせた温度のお湯で洗います。あまりにも汚れていなければ、シャンプーは月に1回程度で十分ですが、頻度は個体や被毛の状態により異なるため、獣医師のアドバイスを参考にするようにしてください。

耳掃除

耳は定期的にチェックしましょう。見える範囲でいいので耳専用のクリーナーを使用して掃除をしてあげてください。「耳垢が増えた」「悪臭がする」といった普段と違う様子の場合は病院で見てもらいましょう。

歯磨き

犬の歯の健康は全体的な健康にも関わるため、定期的な歯磨きが必要になります。犬用の歯ブラシや、歯垢・歯石を取り除いてあげてください。歯ブラシが苦手な方は、歯磨き用のおもちゃやパウダー状の食事に混ぜるケア用品も販売されていますので、ぜひ取り入れてみてくださいね。

爪切り

犬の爪は適度な長さに保つ必要があります。必要に応じて爪切りを使用し、適切な長さに切り揃えましょう。

愛玩動物看護師 渡邉鈴子さん
日々のお手入れが自宅で行うのが難しい場合は動物病院やトリミングサロンなどにお任せすることも視野にいれるといいでしょう。

 

ウェルシュスプリンガースパニエルの散歩やしつけは?

ウェルシュスプリンガースパニエル

散歩・運動

ウェルシュスプリンガースパニエルは今も鳥猟犬として繁殖されている珍しい犬種です。そのため、豊富な運動量が必要になります。散歩は毎日2回、60分程度を目安に行いましょう。歩くだけの散歩ではなく、ジョギングなどの有酸素運動を取り入れてもいいですよ。

ドッグランなどで自由に走り回れる環境を作ったり、ハイキングなどへ連れて行ったりすると喜びますよ。水泳も得意なので季節によっては水遊びさせるのもおすすめです。

しつけ

ウェルシュスプリンガースパニエルは遊びに夢中になっていても、しっかりと命令に従える聞き分けの良さがありますので、初心者の方でもしつけやすい犬種と言えます。
ただ、中途半端なしつけは混乱を招きます。飼い主との主従関係と服従訓練はきちんとしつけてください。

また、子犬の頃から他の犬や人に接する機会を沢山作ってあげると、社会性が身につき、人見知りな性格が徐々に社交的になっていきます。特に警戒心を強く持つような子は、より多く触れ合うことで友好的になりますので、たくさん取り入れて下さいね。

しつけの際は、叱ることよりも褒めることを重点的に行いましょう。ご褒美はおやつを与える他、おもちゃなどを使って遊んであげてもいいですよ。

しつけは愛犬がより穏やかに生活するために大切な事です。難しい場合はプロの手を借りるなどして徹底してくださいね。

 

ウェルシュスプリンガースパニエルにおすすめのドッグフードは?

総合栄養食と一般食

ドッグフードをメインで与えたい場合は、「総合栄養食」と表示されているドッグフードを選びましょう。これは水と一緒に与えるだけで、健康が維持できるドッグフードのことです。選ぶ際は原材料を必ず確認しましょう。主原料が「肉類」であることが望ましいですよ。

手作り食をメインで与えたい場合は、「一般食」と表示されているドッグフードがおすすめです。いわば「おかず」のようなものであり、トッピングとして利用することで手軽に栄養を追加することができます。

ドッグフードには高温で焼き上げた「ドライフード」や、水分量の多い「ウェットフード」などさまざまな食感のドッグフードがあります。歯や顎の状態、年齢・好みに合わせてフードを選択して下さいね。

食事量

ドッグフードの裏面に記載されている量をあげるようにします。

ただ、体重との換算表は、愛犬が「理想体型」であることを前提としているので、太っている子や痩せている子は量の調整が必要となります。

ごはんを食べない・・・どうすればいい?

ご飯を食べない場合はいくつかの理由があり、主に「好みの味ではない・食べにくい」「体調不良や季節による食欲の低下」「食器や環境が気に入らない」「ストレスが溜まっている」「病気」などが挙げられます。

この場合は、以下の方法を取り入れてみてくださいね。

トッピングをしてみる

まずはドッグフードにササミなどをトッピングして与えてみて、食欲が改善されるかを確認してみてください。新鮮な生肉を原材料に利用しているドッグフードに切り替えるのも手ですよ。

フードを食べやすくする

食べづらさが原因の場合は、飼い主さんがひと手間加えてあげましょう。ドライフードであれば、ぬるま湯でふやかして香りを立たせるのも手です。ニオイで食欲を刺激することができます。
また、粒が大きいようであれば砕いてあげるのもいいでしょう。ウェットタイプとドライタイプを組み合わせれば嗜好性が高まり、また水分も一緒に摂取することができます。

食器や環境を変える

食べやすい食器に変更したり、食事する場所を変えてみるといいかもしれません。ストレスを抱えている場合もあるので、遊びや散歩の時間を増やして発散させるのもいいですね。

動物病院で診てもらう

食べない原因が病気の可能性もあります。口内炎などの痛みを伴う場合、食べたくても、食べられないのかもしれません。「好きなおやつも食べない」「ぐったりしている」「元気がない」といった様子が見られるようであれば、かかりつけの動物病院で診てもらいましょう。

 

ウェルシュスプリンガースパニエルの迎え入れ方法は?

ウェルシュスプリンガースパニエル
ウェルシュ・スプリンガー・スパニエルを迎え入れる場合、「ブリーダー」「里親制度」の利用が挙げられます。

2023年時点でのジャパンケネルクラブでは国内での登録頭数は0頭でした。国内で迎え入れるのは難しく、海外輸入などの方法が必要かもしれません。

ペットショップでは出会うことが難しい犬種です。それぞれメリットとデメリットを確認し、自分に合った方法を選択してください。

 

入手困難だけど魅力に溢れる犬

ウェルシュスプリンガースパニエル

ウェルシュスプリンガースパニエルはしばらく前からジャパンケネルクラブに登録がありません。そのため、日本国内で入手するのはかなり難しい犬種といえます。入手するには海外のブリーダーからの輸入が一般的です。加えて遺伝的疾患が多い犬なので、正しい繁殖をしているブリーダーさんを見極める必要もあります。

飼い主への愛に溢れ、被毛の美しさが持つウェルシュスプリンガースパニエルの魅力は、実際に体感すればわかります。誰をも虜にするこの犬種と過ごすことで、レアな生活を体験できますよ。

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