ヤブサメの特徴は?生態や分布、鳴き声は?

ヤブサメはスズメ目ウグイス科に分類される鳥です。漢字では「藪雨」または「藪鮫」と書き、鳴き声が「藪に降る雨の音」のようであるから「ヤブサメ」と名付けられた、という説がありますよ。

この記事では、ヤブサメの特徴や生態、分布、鳴き声についてまとめました。

 

ヤブサメの特徴は?

大きさ

  • 10.5cm

外見の特徴

  • 暗い茶色の羽
  • 白い眉紋

ヤブサメは全長10.5㎝ほどの小さな鳥です。丸みのある体格で、ウグイスに似ていますよ。しっぽはとても短く、止まった時に頭からしっぽの先までが水平になって見えます。

オスとメスは同色で頭から背と翼にかけては暗い茶色、首から腹部は白っぽい茶色をしています。
目の上を通る白い眉紋(まゆげのような模様)が特徴的で、頭頂部の暗い茶色とのコントラストがくっきりしています。眉紋の下には目を通り後頭部へと伸びる黒色の線があり、りりしい顔つきをしていますよ。くちばしはこげ茶色、足は薄い茶色です。

 

ヤブサメの生態は?

生態

  • 餌は昆虫
  • 繁殖
  • 居候行動

 

餌は昆虫

ヤブサメの食性は動物食です。

藪や茂みの中で地面を歩き回りながら、昆虫やクモなどの節足動物を好んで食べますよ。

 

繁殖

ヤブサメは5~7月の繁殖期になると、林の中の木の根元などに落ち葉やコケなどを使ってお椀型の巣を作ります。

5~6個の卵を1日1卵ずつ産み、最終卵を産んだ後に抱卵を始めますよ。抱卵期間は約14日で、およそ11日間の育ヒナ期間を経てヒナは巣立っていきます。

 

居候行動

ヤブサメは一夫一妻ですが、別の番(つがい)のオスがヘルパーのように手伝いに来たり、居座ったりすることでも知られています。

居候された側のオスは別の番のオスを追い払わないという不思議な行動をとりますが、なぜこのような行動をとるのかは分かっていません。

 

ヤブサメの分布は?どこに生息している?

ヤブサメはロシア東部・中国・朝鮮半島・日本・東南アジアに分布しています。夏季は中国や朝鮮半島などで繁殖しますが、冬季になると東南アジアへ渡り越冬します。

日本では「夏鳥」として4~10月に飛来し、屋久島以北から北海道までの離島を含む全国で繁殖を行います。

広葉樹の多い森林や沢沿いの藪の中に好んで生息していますよ。

 

ヤブサメの鳴き声は?

ヤブサメは「シシシシ…」「シィシィシィシィ…」とさえずります。その名の由来の通り「藪に降る雨の音」に聞こえるさえずりは、風情を感じさせる鳴き声をしていますよ。

さえずりは虫の音と間違われるほど甲高く、周波数は他の野鳥と比べて2~3倍も高い8~10kHzなので、人間の聴力では聞き取れないこともあるようです。

 

観察は春から夏にかけてがおすすめ!

ヤブサメは基本的には警戒心が強く、藪や林の中に潜んでいるので、鳴き声は聞こえるのに姿は見えないということが多いです。春から夏にかけて、まれに緑の多い公園などにも姿を現すので、見つけたときにはよく観察してみてくださいね。