ホシガラスはカラス科ホシガラス属の野鳥です。黒色の体に浮かぶ白色の模様が「星」にみえることからこの名前がつきました。漢字で書くと「星烏」となりますよ。
高山地帯で観察できる野鳥です。登山者にはなじみのある鳥で「岳鴉(だけがらす)」ともよばれています。今回の記事ではホシガラスの特徴や生態、分布、鳴き声についてまとめました。
ホシガラスの特徴は?

大きさ
- 32~37cm
外見の特徴
- 黒褐色の体
- 白色のもよう
ホシガラスの全長は32~37㎝で翼を広げると約55㎝になります。ハトと同じか、少し大きいくらいですよ。
黒色の体にある白色のもようが印象的ですね。翼としっぽの上面は黒色ですが、光の加減で青みがかって見えることもあります。しっぽの下面は白色です。こげ茶色の頭はまるでベレー帽をかぶっているようです。
くちばしは黒く太めで、目はこげ茶色ですよ。ホシガラスはオスメス同色なので見分けが難しいですが、メスの方が少し小さいです。
ホシガラスの生態は?

生態
- 松のタネが好物
- 餌の貯蔵
- 高い記憶力
- 貯蔵した餌で子育て
松のタネが好物
ホシガラスは松のタネを好んで食べます。松が生えていない地域では、トウヒやハシバミの実を食べていますよ。雑食なので昆虫や鳥の卵、ヒナなどを餌にすることもありますよ。
餌の貯蔵
ホシガラスは、タネなどの餌が食べきれないほどあるときには地面に埋めて貯蔵します。人間による森林破壊や、自然現象などで失われた森の跡地に、忘れられたタネが新しく森林を作ることがあります。
そのためホシガラスは「森林を再生する鳥」として知られており、スイスでは伐採により失われた森を実際に再生したという逸話が残っています。
高い記憶力
ホシガラスはとても頭の良い鳥で、地面に埋めた餌の場所はしっかりと覚えています。
ある研究チームがカケスやハトと比較して記憶力の実験を行ったところ、ホシガラスはずば抜けて高い記憶力があることがわかったのです。
貯蔵した餌で子育て
ホシガラスは他の鳥より繁殖期が早いことが知られています。子育てをするときには前の年に埋めた松のタネを餌にしますよ。巣は木の上に作り一度に2~4個の卵を産みます。
卵はオスメス共同で温め17~19日でふ化しますよ。親鳥は自分の食べた餌を吐き戻してヒナに与えます。ふ化してから23日ほどで巣立ちますよ。
ホシガラスの分布は?どこに生息している?

ホシガラスは「留鳥」として、四国以北で生息と繁殖をしています。一部の個体は「漂鳥」になって、標高の低い場所に降りてきますよ。標高2500m以上の「高山帯」や、標高1700~2500mの「亜高山帯」に生息しています。繁殖地には「針葉樹林」が選ばれますよ。
ホシガラスの鳴き声は?

ホシガラスの鳴き声は「ガァー」とにごった声で鳴きます。この鳴き声はカケスに似ていると言われていますよ。まれに猫のように「ミャー」と鳴くこともあります。
森林をつくる鳥、ホシガラス

ハイマツはホシガラスが好む高山植物で、ひとつの「球果」に30~40個のタネが入っていますよ。ホシガラスはのど袋に100個以上のタネを貯めて移動することができます。広範囲に移動して、あまったタネを貯蔵するので、森林の再生に一役かっているのですね。