独特な立ち振る舞いと大きな瞳が愛らしいことから、高い人気を誇るフクロウ。
ハリーポッターの影響で遠くはなれたイギリスでは一気に飼い主が増えたといわれており、日本でもYouTubeのフクロウ動画は人気を博しています。
この記事では日本でペットしてフクロウを飼うなら知っておきたい飼育の上で大変なことや、放し飼い、費用、寿命、餌についてまとめました。
目次
フクロウをペットとして飼うことは可能?
フクロウを飼う前に知っておくべきこと
- CITES(通称ワシントン条約)
日本においてもフクロウを飼うことは認められており、環境さえ整っていれば誰でも飼うことができます。
しかしフクロウは他の動物を捕食し生活する「猛禽類」であるため、飼育することは簡単ではありません。安易な気持ちで飼うのではなく、前もって十分な知識を身につけておくことが大切です。
フクロウの売買には「サイテス CITES (通称ワシントン条約)」が関係しています。
フクロウはサイテスのⅡ類に含まれていて、保護のために野性のフクロウを捕獲して飼育することはできません。海外から正式な手続きを経て輸入した個体(WC個体)や、それらを繁殖させた個体(CB個体)のみ飼育が許されています。
たとえ傷ついているフクロウを拾って飼育したとしても、無許可な場合には違法行為として処罰されますので注意が必要です。
飼育できるけど大変?フクロウと暮らすうえで大変なこと
大変なこと
- エサの準備
- ストレスを溜めない環境設備
フクロウを飼う上で大変なことに「エサの準備」と「ストレスを溜めない環境整備」があります。それぞれ理想とされるものをご紹介します。
エサの準備
フクロウは夜行性鳥類の食物連鎖の頂点に立っており、エサは新鮮な生肉です。ラットやヒヨコ、ウズラの初生雛などを一口大に切って与えます。
毎日与えていれば少しずつ慣れていくことですが、「ラットをさばくなんて絶対ムリ!」と感じるならばフクロウを飼うのは難しいかもしれません。
加えてフクロウは血から必要なビタミンやミネラルを、骨からカルシウムなどを摂取するので、食べない部分を取り除く必要があります。内臓や頭部が苦手という方は処理済みの物をお買い求めください。
ペットとして飼われているフクロウの死因の多くは「餓死」によるものです。血や生臭い匂いが苦手な飼い主さんが、エサをあまり与えないことが原因としてあるようです。
ストレスを溜めない環境整備
ケージが小さすぎると、フクロウにストレスが溜まってしまうことがあります。フクロウが水浴びできるスペースを考慮して、100cm以上のケージを用意してください。
急な環境の変化はやはりストレスの原因になってしまうので、購入するお店のケージ内の気温や湿度、止まり木の種類や形などを細かく確認して、購入する前の環境になるべく近づけてあげることがポイントです。
以上の2点は、必ず守るべきポイントです。安易な気持ちで飼い始めるのではなく、本当に飼えるのかもう一度よく考え直してみてくださいね。
フクロウはどうやって飼育する?放し飼い?
個体や種類にもよりますが、フクロウは基本的に人になつく生き物ではありません。フクロウを驚かすような大きな音・振動が多い部屋では飼育が難しいため、フクロウのための部屋を用意してあげられるとベストです。
部屋の中で放し飼いで飼う方法もありますが一般的ではありません。脱走のリスクや誤飲のリスクなどトラブルに繋がる可能性があるため、係留飼育が適切です。
係留飼育とは
止まり木につないで飼育する方法です。フクロウの足首に装着するリング状のアンクレットと紐を止まり木につなぎます。
つながれた範囲で自由に行動できるため、窮屈な飼育方法ではありません。自由に動けないケージよりもストレスを溜めず、放し飼いによるトラブルもないでしょう。
飼い主さんが見ているタイミングであれば、止まり木に繋がずに自由にさせても問題ありません。
フクロウ専用の部屋が理想的?
フクロウはある程度同じ場所でトイレをしますが、部屋の至るところで排泄すると思ってよいでしょう。
また、暑さが苦手なため室温を30度以下に保てる環境が必要です。そのため、フクロウと暮らすならフクロウ専用の部屋を用意するのが理想的。
住居に関して、賃貸でペット飼育可能だとしても、フクロウをはじめとしたエキゾチックアニマル(ヘビ類や猛禽類)は禁止の場合があるので注意してください。
外に出ていかないように注意!
フクロウを飼育するうえで何よりも気をつけたいのは、脱走してしまうことです。
フクロウだけでなく鳥類全てにいえることですが、少しでも窓が開いていたら簡単に外に出て行ってしまいます。
フクロウの飼育に必要なグッズは?
フクロウの飼育に必要なグッズ
- 体重計
- 温度・湿度計
- 保温用具
- ピンセット
- アンクレット、ジェス
体重計
まずは、フクロウの体調管理のために「体重計」が必要です。特に小型のミニフクロウは体重の増減によって体調が大きく変化しやすい特徴があります。
基本的にフクロウは体の不調があっても病状を訴えませんので、体重を毎日測定して体調管理をしてあげることをおすすめします。
温度・湿度計
部屋の気温もフクロウの体調に大きく影響を与えます。
飼っているフクロウが寒冷地育ちなのか、温暖地育ちかで耐えられる気温が変わります。
「温度・湿度計」で気温を管理し、暑ければ風通しの良い場所に連れて行き、寒い場合はペット用の保温道具で温めることをおすすめします。
保温用具
寒い冬場には小動物用のヒーターなど「保温用具」を使います。
フクロウは寒さに強い動物ですが、動きが鈍かったり、食欲がなかったりといつもと様子が違う場合は迷わず保温用具を使うことをおすすめします。
ピンセット
エサやりの際には「ピンセット」があると便利です。
先が曲がったものを使用するとエサを掴みやすく、与えやすいのでおすすめです。
アンクレット、ジェス
フクロウなど猛禽類を飼育する際は、係留飼育として脱走を防ぐためにもアンクレットやジェスを脚につけることをおすすめします。
猛禽類の脚に取り付けるロープやレザー製のストラップを専門用語で「ジェス」、ジェスを付けるために足首に巻くものを専門用語で「アンクレット」といいます。
フクロウって危険?人を襲うことはある?
猛禽類であるフクロウですが、驚かしたり過度のストレスを与えたりしない限り、人を襲うことはありません。
とても鋭い爪やくちばしを持っていることに変わりはないので、小さなお子様や他のペットと一緒に飼う場合は注意が必要です。
フクロウの寿命は?
寿命
- 小型 10~15年
- 中型・大型 20年
フクロウの平均寿命は小型だと10〜15年ですが、中型や大型になると20〜30年程度生きるフクロウもいます。長生きする動物で飼育も大変ですが、犬や猫と同じように長い時間をかけて仲良くなることができるペットです。
最後まで責任を持って大切に可愛がってあげてくださいね。
フクロウの生体価格は?エサ代はどれくらい?
フクロウの値段
- 20~30万円
エサ代
- 5,000~10,000円(毎月)
フクロウの値段は20~30万円程度で、血統書付きの犬と同じくらいの値段です。加えて毎月エサ代として小型なら5,000円程度、大型であれば10,000円程度かかります。
フクロウの健康を維持するためにサプリメントなども購入しなければならないこともあります。
フクロウのエサは何をあげたらいい?エサの与え方は?
フクロウにおすすめのエサ
- ラット
- ヒヨコ
- ウズラ
フクロウはほかの動物を捕食する鳥類である「猛禽類」のため、エサは肉が主体になります。肉といっても、スーパーで売られているような肉だと血抜きがしてあり、栄養不足になってしまうので適していません。
フクロウに十分な栄養を与えるには「生肉」をエサとして準備します。もっとも栄養価が高いものは「ラット」で、次に「ヒヨコ」や「ウズラ」がオススメです。エサやりの際はラットなどの生肉をさばいてあげる必要があるので、最初は抵抗がある方も多いかもしれませんね。少しずつさばくことに慣れていく必要があります。
フクロウにも好き嫌いがあり、中には昆虫を好むフクロウもいます。個体差があるので、「この種類はこのエサを絶対食べる」ということはありません。飼っているフクロウの好き嫌いを探りながら、ベストなエサを探してあげてください。
エサの与え方は、ケージの中に「置きエサ」として適量を置いておき、フクロウがいつでも好きなだけ食べられるようにしてあげます。手の上にのせてあげるのは慣れてくるまでは難しいかもしれませんね。一口で一気に食べられるように、小さくさばいたエサを手に乗せるのがコツです。
フクロウのくちばしや爪のお手入れはどうしたらいい?
フクロウは鋭いくちばしと爪を持っているので、定期的なお手入れは必要不可欠です。爪切りやヤスリを用意して自宅でお手入れをすることもできますが、失敗するとフクロウに大怪我をさせてしまうことがあります。
獣医師さんやトリマーさんに頼めば、数千円程度でお手入れしてもらうことも可能です。フクロウに怪我をさせてしまうことを避けるためにも、今まで鳥類を一度も飼ったことがない方はプロに任せたほうが安心です。
フクロウを診てくれる病院を探しておこう!
フクロウは日本では珍しいペットなので、フクロウを診てくれる病院は決して多くありません。病気や体調不良の際にすぐにかけつけられるよう、信頼できる獣医をあらかじめ探しておくと安心です。
日本で飼育人口が少ないフクロウを飼育する上では、フクロウの飼育に詳しいアドバイザーを探しておくとさらに安心です。
日本では飼育マニュアルが限られているため、フクロウの飼育をしたことがある人やペットショップ、獣医師など、まわりにアドバイスをくれる人がいると心強いでしょう。