マガンはカモ科マガン属の野鳥で、日本の天然記念物にも指定されています。秋になると越冬のために日本へやってきますよ。
この記事ではマガンの特徴や生態、分布、鳴き声についてまとめました。
マガンの特徴は?
大きさ
- 65~86cm
外見の特徴
- 白色のおでこ
- 黒褐色の体
- 腹部の黒色のよこしま
マガンの全長は65~86㎝です。翼を広げると135~165cmもありますよ。体重は約2700gです。カモの仲間ではかなり大型の種類ですが、ガンの仲間では中型程度ですよ。アヒルよりも大きい水鳥ですね。
体の上面は黒みのある茶色で尾羽に向かって黒色が強くなります。薄茶色の腹部には黒色のよこしまが不規則にあります。尾羽のつけ根あたりは白色ですよ。オスメス同色なので見分けがむずかしいですね。
おでこからくちばしにかけての白色が特徴的で、マガンの英語名、中国語名、ロシア名は和訳すると「白いおでこ」という意味です。くちばしはピンク色やオレンジ色です。
幼鳥の頃はおでこが白くなく、腹部のよこしまもありません。そのため見た目は同じガンの仲間のヒシクイと似ています。ヒシクイはくちばしが黒色なので見分けることができますよ。
マガンの生態は?
生態
- 雁行(がんこう)
- 落雁(らくがん)
- 水田で餌探し
- 家族単位で行動
雁行(がんこう)
V字の隊列で飛ぶことを「雁行」とよびます。日本では冬の風物詩ですね。雁行は渡りのときにも観察でき、V字の形で飛ぶことで風の抵抗を減らしているのです。
先頭のマガンがいちばん抵抗を受けてしまうので、疲れると後ろに移動して、次のマガンが先頭を飛びます。後ろを飛ぶマガンは、先頭をはげますように鳴きますよ。
マガンは餌場とねぐらを往復します。朝になって、ねぐらからいっせいに飛び立つ光景は「ねぐら発ち」と呼ばれますよ。逆に、夕方になって餌場から隊列をなして戻ってくる光景を「ねぐら入り」と呼びます。
落雁(らくがん)
ガンやカリが地上に降りる光景を「落雁」と呼びます。体をひねるようにして空気の抵抗を減らしながら、急降下しますよ。
水田で餌探し
マガンは草食性の鳥です。水田などで落ちた稲穂や、草のタネ、水草を食べていますよ。警戒心が強いので、近い距離での観察やカメラでの撮影はむずかしいですね。また餌のある場所は、親から子へと伝えられますよ。
家族単位で行動
マガンは3~7個の卵を産み24~28日温められてふ化しますよ。ヒナは35日ほどで、ひとり立ちできるようになります。繁殖期以外もつがいを解消せず、行動をともにします。日本へは飛べるようになった幼鳥とともにやってきますよ。
マガンは「冬鳥」として秋になると日本へやってきます。繁殖地のシベリアで、繁殖をしなかった若い鳥が真っ先に渡ってきて、そのあとに幼鳥を連れた親鳥が渡ってきますよ。
マガンの分布は?どこに生息している?
マガンはカナダ・アラスカ州・シベリア東部などで繁殖しています。冬になるとアメリカ合衆国・大韓民国・中華人民共和国・日本など暖かい地方に移動して越冬します。
日本には冬鳥として石川県・宮城県・新潟県に渡来しますよ。
マガンの鳴き声は?
マガンは「グァン」と、よく通る声で地鳴きします。「グルルル」と鳴くこともありますよ。マガン同士でケンカをするときは「フーッ」と威嚇(いかく)音を出します。
環境の悪化に敏感なマガン
マガンはデリケートな鳥です。そのため、環境が少しでも悪くなると、二度とその場所に戻ってこなくなってしまいます。マガンの生息域を調べることが、自然環境の変化を知ることにもつながりますよ。
マガンは昔から、和歌や俳句、絵画、小説といった作品の題材になってきましたね。なかでも「雁行」の美しさは、古来より日本人に感動を与えてきました。マガンの好む環境を、これ以上減らさないようにしていきたいですね。