オオヨシキリは、スズメ目ヨシキリ科ヨシキリ属に分類される夏鳥です。
鳴き声の「ギョギョシ、ギョギョシ」から「行々子(ヨシキリ)」とも呼ばれ、夏の季語として多くの俳句で詠まれています。
この記事ではオオヨシキリの特徴、生態や分布、鳴き声についてまとめました。
オオヨシキリの特徴は?
大きさ | 全長: 約18cm |
---|---|
体重: 約30g | |
外見の特徴 | 不明瞭な白い眉斑 |
逆立っている頭頂部の羽毛 | |
黒褐色の長いくちばし | |
長いしっぽ |
オオヨシキリは全長約18cm、体重約30gで、翼開長(羽を広げた状態)が約26cmほどの大きさです。
オス、メスともに体色は同じです。頭部から体上面としっぽは灰色っぽい茶色をしています。頭部には不明瞭な白い眉斑があり、逆立った頭頂部の羽毛が特徴的です。体下面は薄茶色で、胸には目立たない程度の褐色(やや黒みがかった茶色)の縦斑がわずかにあります。
黒褐色のくちばしは長めで、口内は赤色をしていますよ。
コヨシキリとの見分け方は?
オオヨシキリ | コヨシキリ | |
---|---|---|
頭側線と過眼線 | 不明瞭 | 黒く、明瞭 |
口内の色 | 赤色 | 黄色 |
オオヨシキリはコヨシキリと似た外見をしていますが、「頭側線と過眼線」「口内の色」に注目すると見分けやすいですよ。
オオヨシキリは頭側線と過眼線は不明瞭で、口内の色は赤です。コヨシキリは頭側線と過眼線が黒く明瞭で、口内の色は黄色くなっています。
コツさえ掴めば、判断は容易なのでぜひ覚えておいてくださいね。
オオヨシキリの生態は?
生態
- 動物食
- 繁殖
動物食
オオヨシキリの食性は動物食です。
ヨシ原や周囲の森林で「昆虫類」や「節足動物」などを捕食しますよ。
ちなみに、オオヨシキリ(大葦切)という名前は、ヨシを切り裂いて中にいる獲物を捕食することに由来しています。
繁殖
繁殖は一夫多妻制で行われます。
繁殖期である5~6月になると、ヨシの茎や葉を組み合わせたお椀型の巣を作りますよ。一腹卵数は4~6個で、メスのみが行う13~15日の抱卵を経て孵化します。ヒナは孵化してから約11~13日で巣立っていきますよ。
オオヨシキリの分布は?どこに生息している?
オオヨシキリは、アフリカ大陸やユーラシア大陸・日本・インドネシア・フィリピン・シンガポール・ブルネイ・マレーシアに分布しています。
中国東部や沿海地方・朝鮮半島などで繁殖し、冬季になると越冬のために東南アジアに渡りますよ。
日本には夏鳥として、九州以北の「河口や河川」「湖沼のヨシ原」などに渡来します。
オオヨシキリの鳴き声は?
オオヨシキリは夏鳥として渡来してくる5月上旬頃からさえずり始めますが、8月になると一斉に鳴き止みます。
アシの葉先やアシの上部の茎などにとまって、「ギョギョシ、ギョギョシ、ギョギョギョ」と大きな口を開けてけたたましい声で一日中同じ節を何度も繰り返して鳴きますよ。
地鳴きは「ギィィィ」または「ギュッ」という怒ったような声で数音鳴きます。
聞きなし
「ギョギョシ、ギョギョシ、スキスキスキ、ココチ、ココチチチ、ギョッ、ギョッ、ギョギョギョ、チチチ」と聞きなされることもありますよ。
行々子口から先に生まれたか
オオヨシキリは、「行々子口から先に生まれたか」と小林一茶が句を残したように情熱的に8月まで鳴き続けます。
初夏から夏にかけて、ヨシ原などに出かける機会に恵まれた時はぜひ耳を澄ませてみてください。オオヨシキリが、メスの気を引くために一生懸命鳴いている姿を目にすることができますよ。