ヒシクイの特徴は?生態や分布、鳴き声は?

ヒシクイはカモ目カモ科マガン属に分類される冬鳥です。

「グワン、グワン」という声で鳴くことから、ヒシクイを「ガン」と呼んでいたこともありますよ。

この記事ではヒシクイの特徴や生態、分布、鳴き声についてまとめました。ぜひ参考にしてくださいね。

 

ヒシクイの特徴は?

ヒシクイ3
大きさ 78~89cm
外見の特徴 黄褐色の頭と首
黒褐色の背中
先端近くがオレンジ色のくちばし
太くてがっしりとしたオレンジ色の足

ヒシクイの大きさは全長78~89cmで、翼開長(翼を広げた大きさ)は142~175cmです。日本に渡来するガンの中で最大の大きさですよ。

オスとメスは同色で、頭と首は黄褐色(黄色みがかった茶色)、背中は黒褐色(黒みがかった茶色)をしています。胸からお腹にかけては白く、脇は暗褐色をしていますよ。

くちばしは黒いですが、先端近くがオレンジ色をしています。太くてがっしりした足もオレンジ色をしていますよ。

 

ヒシクイの生態は?

ヒシクイ1

生態

  • 植物食
  • 繁殖
  • 越冬地で群れを形成

 

植物食

ヒシクイの食性は植物食で、「草」「茎」「根」「果実」「種子」などを食べています。

水田の刈跡では落ち穂を探し、池沼では水草のヒシの実を好んで食べていますよ。

 

繁殖

5~7月の繁殖期になると、つがいで行動するようになります。

メスが、樹木の根元などの地上の窪みに「地衣類」「コケ」「枝や葉」を敷いた皿形の巣を作りますよ。

1回に4~5個の卵を産み、メスが行う25~29日の抱卵を経て孵化します。ヒナは孵化後すぐに巣を離れ、生後40日程で飛べるようになりますよ。

 

越冬地で群れを形成

ヒシクイは普段水辺に住んでいますが、夜間は大きな水場の中央に集まって休みます。

越冬地では数十~数百羽の群れを成して行動していることが多いですね。昼は安全な池や沼の水面に浮かんでいるほか、氷上や岸辺に立って休息していることがほとんどですよ。

 

ヒシクイの分布は?どこに生息している?

ヒシクイ2
ヒシクイは、ユーラシア大陸北部に広く分布しています。

夏季にシベリア北部で繁殖を行い、冬季になるとヨーロッパ・中央アジア・朝鮮半島・黄河や長江流域へ南下し越冬します。

日本へは冬鳥として宮城・秋田・新潟・茨城・滋賀・島根などに毎年渡来し、主に東北・北陸地方で越冬をしますよ。北海道では、春秋に通過する旅鳥です。

「湖沼」「河川」「水田」「海岸」などの水辺に生息していることが多いですね。

 

ヒシクイの鳴き声は?

亜種ヒシクイは「ギャハハン、ギャハハン」と高い金属質の声で鳴きますよ。一方で亜種オオヒシクイは、「ガハハン、ガハハン」とやや低く太い声で鳴きます。

仲間とのコミュニケーションや警戒している時に鳴くことが多いですよ。

 

自然との共存をもう一度考えよう!

ヒシクイ4
ヒシクイを含むガンの仲間は、狩猟鳥だったために明治以降に数が激減してしまいました。昭和46年に国の天然記念物に指定され、現在では(準)絶滅危惧種となっていますよ。

罪なき野生動物たちを脅かして自然の暮らしを邪魔することのないように、我々人間は心がけていかなければなりませんね。

ヒシクイの越冬地である福島潟や霞ヶ浦の水田で収穫された米は「ヒシクイ米」として販売され、収益は保全事業へ還元されていますよ。

自然保護について我々が出来ることから少しずつ始めてみませんか?