インコ科に属するマメルリハは、鮮やかな羽毛をまといスズメのように小さな身体で元気に動きまわる鳥です。
南アフリカ、南アメリカなど暖かい地域に生息するマメルリハですが、最近では日本でもペットとしての人気が高まりつつあります。
この記事では、マメルリハの形態や性格、飼育時の注意点などについてまとめました。
マメルリハとは
マメルリハはインコ科ルリハインコ属に分類され、ペットとして飼育されるインコの仲間うちでは最小サイズとなります。
カタカナ表記だと気づきにくいのですが、この種名は漢字で「豆瑠璃羽」と表す日本語名で、学名は「Forpus coelestis」、英名を「Pacific parrotlet」といいます。
美しく艶やかな羽毛に魅了された女性を中心に、近年とくに人気が高くなっています。
マメルリハの特徴
生息地(分布)
野生のマメルリハは南アフリカのエクアドル、南アメリカのペルー北西部・太平洋沿岸などに生息しています。日本には生息しておらず、ペットとして飼育されているものだけとなります。
大きさ
体長 | 13〜15cm |
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体重 | 30〜35g |
サイズはスズメと同じくらいの大きさです。インコの仲間ではポピュラーなセキセイインコより小さな身体つきをしています。
オス・メスの区別
性別は外見で簡単に見分けられます。
オスには目じり、風切羽根、腰に瑠璃のようなブルーが入っています。ただし最近増えた品種のなかには瑠璃が入っていないものもいるので注意が必要です。
性別を見分けやすいとペアで飼育して繁殖させたり、オス・メスの一方だけを選んだりしやすくなります。
餌
野生のマメルリハは「インバウーバ(日本名:ヤツデグワ)」という植物が好物です。この木は幹の中が空洞になっているため、巣としても活用しています。
このほか、穀物、種子、果物、サボテンの実、花、昆虫なども好んで食べます。
性格
マメルリハは喜怒哀楽が激しい性格の持ち主です。普段はおとなしくマイペース、人間にも慣れやすい一方で、機嫌を損ねるといきなり攻撃してくることがあります。
好き嫌いがはっきりしていて、ペアとなった相手や飼い主にしか甘えません。そのため1羽だけ、もしくはペアで飼うのがおすすめです。3羽以上だとケンカをする可能性が高くなります。
1羽飼いの場合は飼い主さんに甘えてさまざまな欲求をしてきます。ストレスがたまらないよう、1日に1度は遊んであげてくださいね。
放鳥する際は注意!
行動もアクティブです。健康維持のためには部屋の中に放鳥して適度に運動をさせることも大切です。その際はかなりのスピードで飛びまわり、小さな身体のわりにはパワフルなので部屋にある装飾品や食器などを破壊されないよう注意しておかないといけません。
繁殖期になると群れで過ごす野生下のマメルリハは、気性が激しいためペア以外のマメルリハは頻繁にケンカをします。
鳴き声
鳴き声は大きくありません。ただ声が高音のため呼び鳴きをしたときはよく響きます。近所迷惑になるほどではありませんが、ペット飼育禁止の集合住宅でこっそり飼育することはできないと考えてください。
おしゃべり
「おはよう」「おやすみ」「おかえり」などの簡単で短い単語は話せますが、苦手としている子もいます。どちらかというとメスよりオスのほうがおしゃべりが得意です。
ただ個体によっては本当におしゃべりできない子もいますので、過度な期待はしないほうがいいですね。
寿命
平均的な寿命
- 15〜20年
マメルリハは中型インコ並みの長寿を誇ります。飼育を始めたらそれだけ長く生活を共にするということになるので、飼育前に必ず最後まで面倒を見られるか考えて決断してください。
マメルリハは空気の汚れに敏感で、タバコを吸う、香水が強い、マニキュアなど化学物質の香りを身につける人が家族にいる場合は飼育が難しくなります。熱帯地域の鳥なので寒さが苦手で、とくに幼少期や6歳以上の高齢期は寒さへの抵抗が弱くなります。ヒーターを活用するなど対策を考える必要があります。
マメルリハの弱点を知り、そして補って、大切に長生きできるように育ててください。
羽根色
おもなカラーバリエーション |
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グリーン、ブルー、ルチノー、アルビノ |
マメルリハのノーマルカラーとされているのはグリーンです。最近は品種改良によってさまざまな色が増え、ホワイトやイエローも見かけるようになりました。
最も人気のカラーは、さわやかなブルーとなります。
繁殖
ポイント
- 発情期
- 交尾
- 産卵
- 育成
- 栄養
マメルリハをペアで飼育して繁殖させる人たちも増えています。早い個体では生後2ヶ月頃から発情期に入るので、ペアリングする場合は遅くとも生後半年以内の個体を購入すると成功率が高くなります。
くちばしをぶつけ合うような行動を始めたらペアリング成功の証。好き嫌いがはっきりしているマメルリハは、ケンカをするときは出血を伴うような激しい争いとなります。くちばしをぶつけ合うのは愛情表現のひとつなのです。
ペアとして認め合うと、寄り添って過ごす時間が多くなります。 Forpus coelestis一般的な目安としては生後4ヶ月程度、ペアができあがったら発情期に入る前にケージ内へ巣箱を設置してください。
発情期
発情期に入ると、オスはメスに吐き戻しをするようになります。「プププッ」と変わった鳴き声を発するのでわかりやすく、同時期にはメスが頻繁に巣箱に出入りするようになります。
交尾
交尾はオスがメスに片足をかける、背中に乗るのいずれかの行動で確認できます。メスは低姿勢になって尾羽を上げ、オスが交尾の姿勢を取りやすくなるよう協力します。
産卵
産卵 | 1日おき |
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数量 | 平均6個程度 |
孵化 | 平均21日程度 |
有精卵か無精卵かの確認は、産卵後7日目の検卵でわかります。産卵後は孵化するまで卵を温めますが、マメルリハの身体が小さいために卵が身体からはみ出すことも珍しくありません。
はみ出した卵は温めてもらえず有精卵であっても孵化できなくなるので、無精卵を取り除いておくことをおすすめします。
検卵は小型のLEDライトなどを卵に照射すると、中の様子が透けて見えるので試してみてください。
また巣の中で卵が転がらないようにするため、巣材を入れてあげます。ただしペットショップなどで巣材として販売しているひも状のものは、親鳥やヒナに絡まってしまうのでおすすめできません。小さなペレット状の木材などを活用してください。
育成
ヒナが誕生すると親鳥は24時間体制で餌を与えながら、ヒナを温め続けます。生後1ヶ月を過ぎると、ヒナは巣箱から顔を出すようになります。
生まれてきたヒナを「手乗りインコ」にするなら、巣箱から頻繁に顔を出すようになる頃を目安に手に取ります。このタイミングが早すぎると親鳥からもらえるはずの餌が途中でもらえなくなります。
十分な栄養が摂取できていないと、成長に必要な免疫力が不足してしまうので注意してください。
栄養
産卵からヒナの成長までを成功させるには、まず親鳥(メス)に多くの栄養を与える必要があります。
産卵前にはカルシウムが不足しないように、「産卵用」と表記がある高エネルギーの餌を与えます。ヒナの誕生後はヒナの分も含めて餌の量を増やすようにしてください。
餌が足りないと親鳥がヒナに餌を分け与えなくなり、ヒナが弱ってしまいます。頻繁に餌箱を確認して、常に餌が入ってる状態にしておきたいですね。
マメルリハは飼育しやすい?
身体が小さくて大きな飼育スペースは必要ない、性格もおとなしくて人になつきやすいことから、マメルリハはとても飼いやすいインコです。ただ、知っておきたいことがいくつかあります。
まず身体が小さいがゆえに診療してくれる動物病院が少ないということ。長生きしてくれるのはパートナーとしてうれしいことですが、それだけ病気やケガの機会も増えることになります。
人気は高まりつつあるものの、マメルリハの健康に関する情報がまだ少ないという点も加わります。
高温の鳴き声に注意
セキセイインコやラブバードなどに比べると鳴き声が小さく、集合住宅でも飼える可能性は高いものの、 Forpus coelestis鳴き声が高音のため音が響くような住居の作りだと迷惑になることも考えられます。
おしゃべりについては個体によりますが、教えてあげると反復してくれます。ただあまり得意ではありません。テレビのバラエティ番組で見かけるようなハッキリとした発音はできません。
以上のことを踏まえつつ、飼える条件か、15〜20年という長期にわたって大切に飼育できるかを検討してください。
マメルリハの飼い方
購入できる場所
マメリルハはセキセイインコなどのようにペットとしてポピュラーな存在ではないため、販売している種類や数が少ない小さなペットショップで出会うチャンスはめったにありません。
大きなペットショップでも犬や猫を多く取り扱うところより、専門店などで購入できます。インターネットや口コミで見つけたらマメルリハの取り扱いがあるかを問い合わせると、ムダなくより確実に巡り会えます。
価格
価格
- 2万円前後
成長した大人のマメルリハで平均2万円、ヒナだと3万円程度となりますが、羽毛のカラーや性別によって値段が変わります。
最近はマメルリハの人気が上昇しているため、ショップによってはもう少し高い相場で販売されることも。
餌
主食はペレット、シードなどインコ用のフードを与えます。栄養バランスをしっかり考えて作られたペレットなら、副食を与える必要はありません。材料表示を見比べて栄養素が多いものを選ぶことが大切です。
インコ用のペレット
ペレットを与える利点
- バランスのいい栄養食
- 体調など用途別の種類が豊富
- 病院処方の療法食と同じタイプ
新しい環境下での飼育となるので、マメルリハも状況を把握できていないことがあります。餌を餌として認識せず、1週間〜1ヶ月程度経過してようやく食べ始めるというケースもよくあります。ゆっくり気長に対応してあげてくださいね。
人間もそうであるように、マメルリハにも味の好みがあります。最初のうちはペットショップで配布している試供品を活用しながら好みのフードを見つけていきます。
身体が小さいため、1粒のサイズも小さめを選びます。文鳥やセキセイインコ用がおすすめです。与える段階で大きいと気づいたら、小さく砕いてから与えると良いでしょう。
ペレットはダイエット用、高エネルギー、産卵時用など豊富な用途のものが販売されています。また病気になったときに動物病院で処方される療法食もペレットタイプがほとんどです。普段からペレット食に慣れさせておけば、万が一のときも安心できます。
シード
シードは木や草花の種子ですので、野生の食生活に近いフードとなります。ただし与えすぎは肥満になりやすいため、量に注意します。
粟、稗、キビ、ひまわり、エゴマなど複数の種類のものをミックスして与えます。家庭内であってもきちんと放鳥して運動をさせていれば、しっかりお腹も減ります。運動量が豊富な場合は脂肪分が高めなひまわりやエゴマを少量加えてあげるといいですね。
シードには殻付きと殻なしが販売されていますが、ぜひ殻付きを与えてください。殻から種を出す行為は食べる楽しみやゲームにもなり、満足感につながるからです。
飼い主さんにとしては散らかった殻の掃除が必要となりますが、かわいいペットの健全な成長のためです。餌箱が殻だけになっているのに放置という事態だけは避けたいですね。
野菜や果物
シードが多めに入っている餌を与えていると、ビタミンやカルシウム不足になることがあります。補給のため、青菜やボレー粉を捕食として追加してください。
ケージ
おすすめサイズと準備品 | |
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サイズ | 35角 |
準備品 | 止まり木、巣箱、餌箱、水入れ、 ペットシーツ |
小柄なマメルリハですがとても活発に動きまわるため、ケージは35角サイズを選ぶことをおすすめします。脚力をはじめパワフルでもあるので、頑丈なタイプのケージ、止まり木、おもちゃを用意します。
またケージの床にペットシーツを敷いておくと、糞や食べカスなどの掃除がラクになります。
温度管理
マメルリハはもともと熱帯地域に生息するインコなので、夏場の温度管理に神経質になる必要はありません。とはいえ近年は日本の夏もかなり暑くなるため、危険と思われるほど気温が上昇する場合はエアコンを活用してください。熱中症になることもあります。
寒さには弱いので、冬はひよこ電球やヒーターを活用し、ケージを設置する部屋の温度にも気遣ってあげてください。
複数飼い
身体が小さいので、飼育スペースさえ確保できれば複数飼育も可能ですが、相性の問題があることを忘れないでおいてください。
相性がうまく合えば同じケージ内で飼育し、仲睦まじい姿に和むこともできます。反対に相性が悪ければ、同じケージ内では飼えません。激しくケンカし、弱いほうは徹底的に痛めつけられてしまいます。
相性が合うかどうかは実際に引き合わせてみないとわかりません。複数飼いを考えるのであれば、最悪は別々のケージで飼育することも視野にいれておかないといけません。
マメルリハを飼う際の注意点
注意点
- トイレは覚えない
- 放鳥時は安全に気をつける
- 怒らせると危ない
- 温度管理をしっかりする
- 好き嫌いが激しい
トイレは覚えない
マメルリハの糞は臭いがないので飼い主さんとしてはうれしい限りです。
ただ鳥類のほぼすべてに当てはまることですが、マメルリハも例外なくトイレを覚えません。ケージ内の掃除はもちろんのこと、室内で放鳥する際も糞をされて汚れることは覚悟してください。
放鳥時は安全に気を配る
野生下では広大な土地を飛びまわるマメルリハは、飼育下においてもしっかり運動させてあげる必要があります。
室内での放鳥でかまいませんが、激突などの事故には気をつけてあげてください。窓ガラスが透明だと障害物と認識できず、ぶつかってしまう恐れがあります。カーテンやブラインドを閉めてから放鳥するといいですね。
部屋の高い位置に物があると、ぶつかってケガをしたり物が壊れたりします。何よりマメルリハが思い切り飛びまわることもできません。家具や装飾品を移動し、放鳥専用の部屋を作れることが理想です。
怒らせると危ない
普段は温厚でおとなしい性格ですが、気分屋の一面もあります。いったん機嫌を損ねるとかなり攻撃的になり、容赦なく噛みついてきます。くちばしの力が強いため、噛みつかれると出血の可能性も。
発情期はとくに気が立っているので注意してください。
怒らせてしまった場合は、しばらくケージから離れてそっとしておきます。怒っている時間は短いので、少しすれば元のおとなしい性格に戻ります。
温度管理をしっかりする
セキセイインコを飼った経験がある人なら、基本的に変わらないと考えてください。先に説明したように、寒い時期はひよこ電球やヒーターなどでケージのある部屋を温めます。
日中は窓際の日の当たる場所にケージを置く飼い主さんもいます。その場合は直射日光が当たらないよう、薄いカーテンを引いておきます。
好き嫌いが激しい
好き嫌いがはっきりしている性格で困るのは、すでに1頭のマメルリハがいて追加でもう1頭飼おうとした場合です。相性がうまく合えば問題ありませんが、合わなかった場合は同じケージに入れられません。
放鳥も別々のタイミングで行わなければならない可能性もあります。
また、別の飼い主さんからマメルリハを引き取る場合も注意が必要です。仲良くしていたマメルリハは飼育しやすい?飼い方や性格、特徴などまとめ飼い主が変わるのはマメルリハにとってストレスになるため、新しい飼い主さんを嫌うことが考えられます。
引き取りを決める前に顔合わせをして、自分に興味を示してくれるかどうか確認してから決めてください。
個体を選ぶときのチェック項目
チェック項目 |
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・羽がきれいか ・目がぱっちりしているか ・指にとまらせたときにしっかり握り返すか ・身体が汚れていないか ・止まり木にいるときなど姿勢がいいか |
基本的に上記5項目で健康状態がいいことを確認します。とくに初めてインコを飼う人は、扱いに慣れないため重視することをおすすめします。
華やかな見た目だけで決めない
紹介したようにマメルリハはかわいらしいサイズで見た目も華やかです。反面、はっきりした性格を持ち飼い主さんやペアとなる相手を選びます。
いっしょに生活していく上での注意点も多く寿命も長いので、ペットとして購入する際は十分に検討することが大切です。