メボソムシクイは、スズメ目ムシクイ科ムシクイ属に分類される夏鳥です。メボソムシクイという名前は、他のムシクイ類と比べて眉斑が細めであることに由来していますよ。
この記事では、メボソムシクイの特徴や生態、分布、鳴き声についてまとめました。
この記事でまとめたこと
メボソムシクイの特徴は?
大きさ | 13cm |
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外見の特徴 | オリーブ褐色の体上面 |
長い尾羽と翼 | |
黄白色の細長い眉斑 |
メボソムシクイの大きさは13㎝ほどで、スズメよりも小さいサイズですよ。
オスとメスは同色で、頭頂から体上面にかけては褐色みのある暗緑色(オリーブ褐色)をしています。体下面は白く、脇は黄色みを帯びていますよ。
細長く明瞭な眉斑は黄白色で、くちばしは上半分が黒色、下半分が橙色になっています。
足は肉色の個体が多いですが、橙色の個体もいますよ。
同じムシクイ属との判別方法は?
同じムシクイ属の「コムシクイ」「オオムシクイ」と比較すると、「尾羽や翼が長い」「黄色みが強い」とされていますよ。
メボソムシクイの生態は?
生態
- 雑食
- 高山帯で繁殖
- 托卵
- ディスプレイ
- 長いさえずり期間
雑食
メボソムシクイの食性は雑食です。
枝上で「鱗翅類の幼虫」や「クモ」「セミ」などの昆虫類を捕食しますが、秋には「果実」も食べますよ。
高山帯で繁殖
メボソムシクイは、標高1500~2500mの「コメツガ」「オオシラビソ」などからなる亜高山針葉樹林帯や「ダケカンバ」「ミヤマハンノキ」「ハイマツ」などからなる高山帯で繁殖します。
細根・獣毛などを敷き、コケなどを組み合わせた球状の巣をササ類の根元や堆積した落ち葉の隙間などに作って営巣しますよ。
一腹卵数は4~5個で、約12~13日のメスのみが行う抱卵を経て孵化します。ヒナはおよそ13~14日で巣立っていきますよ。
托卵
メボソムシクイは、ツツドリに托卵される事が多いですね。ある年の調査によると、10巣のうち4巣がツツドリに托卵されていたこともあるそうですよ。
出典:「バードリサーチニュース 2011年11月号 Vol.8 No.11 」
ディスプレイ
メボソムシクイのオスは翼や尾羽を上下に動かして求愛ディスプレイをしますが、苔や小枝をくちばしでつまみ上げてメスに対して投げる行動も報告されています。
さえずる時期が長い
メボソムシクイは,普通の夏鳥よりもさえずる時期が極端に長いことでも知られていますよ。
スズメ目の鳥は繁殖後期になるとさえずり回数が大幅に減りますが、メボソムシクイのさえずり期間は5月下旬から10月上旬にまで及びます。
メボソムシクイの分布は?どこに生息している?
メボソムシクイは、ユーラシア大陸北部の針葉樹林に広く分布しています。
シベリア・カムチャツカ・サハリン・日本(本州・四国・九州)で繁殖し、中国や東南アジア(台湾・フィリピン・インドネシア)で越冬します。
日本では、渡りの季節になると「市街地の公園」や「低山」でも観察されることが多いですよ。
メボソムシクイの鳴き声は?
メボソムシクイは、鳴き始めに「ギュ・ギュ」「ジュ・ジュ」と濁った声で一声鳴いてから「ジュリ・ジュリ・ジュリ・ジュリ」と四声でさえずります。
聞きなしだと「銭取り(ゼニトリ)、銭取り、銭取り」で知られていますよ。
鳴き声に注目して観察しよう!
あちこちから声が聞こえても中々姿が見えず、姿が見えても写真に撮りづらいメボソムシクイ。
枝の先にとまって鳴いている時が姿を見るチャンスなので、「ジュリジュリジュリジュリ」という特徴的な鳴き声に注目して探してみてくださいね。