ラーテルという動物をご存知でしょうか。NHKの子ども向け番組に、ラーテルをモデルとしたキャラクターも出ています。それだけ聞くと、かわいらしく人懐っこい動物をイメージしますが、ラーテルは百獣の王ライオンにも勝つ最強生物といわれています。
この記事ではラーテルの性格や特徴などをまとめました。
ラーテルってなに?
ネコ目(食肉目)イタチ科ラーテル属の雑食性哺乳類で、和名ではミツアナグマと呼ばれています。体長は60~77㎝で体重は7~13kgで、外観はアナグマに似て胴が太く短く、四肢が太いです。頭部から尾にかけて白い被毛で覆われていて、他の部分はこげ茶色か黒色です。
ラーテルの性格は?
ラーテルの性格は、かわいらしい外見とは裏腹に、怖いもの知らずで凶暴です。
自分より何倍も大きなアフリカスイギュウはもちろん、ライオンやコブラなどの獰猛(どうもう)な動物にも果敢(かかん)に挑みかかります。ハイエナ3匹に囲まれても、鋭い牙をむき出しにして威嚇し立ち向かう負けん気の強さです。
何にでも挑みかかって食べようとする性格から「世界一怖いもの知らずの動物」として、ギネスブックに登録されています。
ラーテルの特徴は?
強烈な臭いを出す臭腺がある
ラーテルはスカンクと同じように、肛門の近くに臭腺を持っています。威嚇の際に臭腺から出される強烈なガスの臭いは、付くと1週間は取れないと言われています。
ラーテルの見た目は白黒に分かれていますが、スカンクと同じ「白黒の縞模様」を見ると敵の動物は「においの強い液体を出す」と理解するといわれています。
分厚い皮膚と毛皮
ラーテルの皮膚はぶよぶよとして伸縮性があり分厚く硬く、猛獣の爪やキバをも簡単には通しません。この分厚い皮膚のおかげで、ライオンなどの大きな肉食動物と互角の戦いができます。
自慢の防御力が、ラーテルの「怖いもの知らず」の秘密です。
毒に耐性がある
ラーテルはコブラ科のヘビが持つ神経毒に対し、強い耐性を持っています。コブラに噛まれたとしても、一時的に動けなくなるだけで、数時間後には普通に復活します。
強力なあごと鋭い爪
ラーテルは強力なあごと大きく発達した鉤爪という武器を持っています。ライオンやブチハイエナが存在しない砂漠地帯などの生態系では、生態系ピラミッドの頂点に君臨しています。
ラーテルの生息地は?
ラーテルは中央アジアからアフリカ大陸にかけて生息し、熱帯から亜熱帯にかけての森林や草原、サバンナや藪地、岩の多い丘陵地帯などあらゆる環境に対応して生きていける動物です。エチオピアでは標高4000m程の高地でも生息しています。
ラーテルに弱点はあるの?
獰猛で強いラーテルにも弱点があります。それは、お腹と顔です。ラーテルは背中に比べ、腹部と顔は毛や皮膚が薄いので、その分攻撃に弱くなっています。
そのため、上や背中からの攻撃には強いですが、顔やお腹を噛まれるようなことがあれば致命傷になる場合があります。
ラーテルに天敵はいるの?
あえてラーテルの天敵を挙げるとすれば、ライオンやハイエナ、ヒョウといわれています。しかし、天敵とはいわれても肉食獣は滅多なことではラーテルを襲いません。ですから実質的なところでいうと、ラーテルの天敵はほぼいないといえます。
ミツオシエ科の鳥との関係は?
ラーテルは雑食性ですが、その中でもはちみつと蜂が大好物です。ですが、地上からでは蜂の巣をなかななか見つけることができません。そんなラーテルに協力してくれるのが、ノドグロミツオシエやウロコミツオシエといったミツオシエ科の鳥です。蜂の巣を見つけると、ラーテルの周りでけたたましい鳴き声をあげ、蜂の巣まで先導してくれます。
はちみを食べたいけど見つけられないラーテルと、蜂の巣を見つけることはできるけど、巣を襲うことができないミツオシエは利害関係が一致しています。怖いもの知らずで獰猛なラーテルですが、ミツオシエたちと共生関係を築いています。
国内でラーテルは飼育されているの?
ラーテルは日本に生息していないので、国内では個体数が少なく、愛知県名古屋市にある「東山動物園」のみで飼育されています。
最強生物ラーテル
怖いもの知らずで獰猛な性格、毒に対する耐性、強固な防御力をもつラーテルは、まさに最強生物と呼ばれるにふさわしい動物ですね。小さい体でライオンをも退けてしまうとは驚きです。ラーテルの生態を知れば知るほど実物を見たくなりますね。