アヒルは近年CMの影響を受け、ペットとしての注目度も高まっている動物です。
今回の記事では、アヒルの飼育に必要なグッズ、寿命の目安、販売場所や値段といった飼い方のコツをまとめました。
目次
アヒルの特徴は?
アヒルはガンカモ科のマガモを家禽※1化したもので、食肉用・採卵用・観賞用など様々な種類がいます。
羽はついていますが、飛ぶことを苦手としていることでも知られていますね。
ちなみに、アヒルが水に浮いていられるのは皮脂が多いためです。腰のあたりにある皮脂腺にクチバシを付けて羽繕いしながら油を全身に塗ることで、この脂が水を弾き水面に浮くことができるのです。
大きさ
アヒルの大きさ
- 体重:3~5kg前後
- 体長:50~80cm
一般的なアヒルの大きさは体重3~5kg、くちばしの先からしっぽの先まで50~80cmほどです。
ペットとして飼育されているアヒルは体重1kg前後、体長30cm前後のコールダックとよばれる小型の品種が人気です。
アヒルの歴史
カモの家禽化は、1900年ほど前のローマで始まったと考えられています。
美味であったことから需要の高い食材だったものの、カモが飛来するシーズンは限られていたため年を通して入手することは容易ではありませんでした。
そこで、鴨を家禽化しようと考えた結果、アヒルが誕生したのです。
その後、ヨーロッパ中に広がり、中国などにも伝わりました。日本にアヒルが伝わったのは150年ほど前のことで、長崎で盛んに飼育されていましたよ。
アヒルの性格は?
アヒルは、基本的に喜怒哀楽がはっきりした性格をしています。
甘えん坊な一面を見せる一方で、嫌なことをされた場合などは激しく反抗したりすることも。発情期は本能的に攻撃的になる個体も多いので、必要以上の接触は避けることをおすすめします。
アヒルはペットとして飼えるの?
アヒルは環境を整えればペットとして飼育をすることができます。真っ白いふわふわの羽毛に、大きなおしりをフリフリさせて歩く姿がとても可愛らしく、飼い主を癒してくれるペットです。
アヒルはとても人懐っこく、喜怒哀楽もはっきりしています。感情が行動に現れる点も飼っていて楽しいポイントです。犬などほかのペットとも比較的仲良くできる動物だといわれています。
日本ではペットとしてアヒルを飼っている方は多くないので、ユニークな動物を飼いたい場合は特におすすめです。
ペットにできるアヒルの種類は?

ペットにできるアヒルの種類
- シロアヒル
- アオクビアヒル
- コールダック
ペットとして飼うことのできるアヒルは、「シロアヒル」「アオクビアヒル」「コールダック」の3種類です。
ペット用は3種類ですが、肉用、獣用、卵用など目的に合わせて20種類以上の品種がいます。
シロアヒル
国内において最も目にすることの多い、白色のボディと黄色いクチバシが特徴的なアヒルです。全長は60cmほど。
アオクビアヒル
マガモを元に改良されたアヒルの中で、最もマガモに近いとされる品種です。
オスは首が緑青で白い帯があり、胸が褐色になっています。メスは、全体的に褐色で黒い斑があります。マガモの2倍ほどの大きさで、尾羽がカールしているという特徴があります。
コールダック
アヒルを品種改良した鳥で、大きさはシロアヒルの1/4ほどの大きさです。大きな鳴き声をしています。
もともと、カモ猟の囮の鳴き声を出すために使われていましたが、見た目の可愛らしさからペット、観賞用としての飼育が多くなりました。白の他に、黒やミックス色、グレーなど、様々な色合いがあります。
アヒルを飼育する前の準備は?

アヒルを飼育する前の準備
- アヒル小屋の設置スペース、高額の水道代
- 相談に乗ってもらえる獣医はいるか
- 近隣からの苦情対策
- マンションのベランダでの飼育は厳しい
アヒルを飼育する前に準備しておきたいことは、上記の4つです。
アヒル小屋の設置スペース及び、高額の水道代
アヒルを飼育する場合は、専用の小屋が必要になります。
アヒルは運動量が多いため、十分の広さの池を含む小屋を作るためにはかなりのスペースを必要とします。また、池は水道水を使用するため、かなりの水道代がかかることも把握しておく必要があります。
相談にのってもらえる獣医はいるか
アヒルは足の病気になりやすいですが、病気になった家禽は処分されることが一般的なため治療してくれる病院も多くはありません。
アヒルを受け入れてくれ、治療もしてくれる獣医さんを探しておくことが必要です。
近隣からの苦情対策
アヒルは羽や脂、糞を周りに飛ばす性質があります。
鳴き声も大きくよく響くため、アヒル小屋の設置場所が近隣の家から離れた場所にないとトラブルや苦情の原因になってしまいます。
マンションのベランダでの飼育は厳しい
マンションでは、隣の部屋との仕切りが薄いボードだけなのでアヒルの鳴き声が筒抜け状態です。
排泄物や羽が近隣住民のベランダに入るなどして近所トラブルの原因になることもあります。また、ベランダは緊急時の避難路になっているため、避難の妨げになる小屋を設置することは出来ません。
アヒルの飼い方が知りたい!飼育に必要な環境と注意点は?
アヒルは水鳥なので、水浴びをしては毛づくろいを繰り返します。そのためアヒルの飼育には、「水場」「日光浴ができる環境」が必須です。
屋外飼育の場合
注意点
- 天敵に襲われないように囲いをする
- 固い地面を避ける
- 人工芝などを敷いて歩きやすくする
- 高さ1m以上の柵を設置
風通しが良く適度な日当たりと木陰ができる環境に、小屋と水場を用意します。
屋外で安全に過ごせるように、高さ1m以上ある柵を用意しましょう。脱走させない対策でもあります。
また、完全屋外飼育で夜間も屋外で過ごす場合は、四方をしっかり囲まれた隙間のない頑丈な小屋を用意してください。猫をはじめとした野生動物に襲われる可能性があり、アヒルを守るためにも必須です。
水浴びに使う容器は、セメントをこねる巨大な四角い箱(プラフネ)がおすすめです。清潔な水を毎日入れておくと、アヒルが水を飲んだり泳いだりできます。
室内飼育の場合
室内飼いをする場合は、ケージにわらを敷き、小まめに藁を取り替えて衛生管理をします。
室内で飼う場合でも水浴びは必要なので、ベランダにたらいや小さな浴槽を準備して水浴びをさせた後、日光浴をさせてあげてくださいね。
アヒルは水で足を休める水鳥なので、長時間立っていると脚を痛めてしまいます。コンクリートや石畳のような固い場所には、クッション性のある敷物や人工芝を敷いてください。
水浴び
屋外・室内飼育を問わず、水浴び場は必ず必要です。
アヒルにとって水浴びは、ストレス解消と運動・体を洗う行為なので欠かすことができません。
ベランダ・風呂場・ルーフバルコニー・庭などに、アヒルがいつでも入れるように常に水を張っておくようにしてください。アヒルはきれい好きなので、水浴び場は清潔に保つことを意識するようにしてくださいね。
トイレ
アヒルはキレイ好きですがしつけはできません。フンは水状です。室内飼育の場合は多少臭いを我慢する必要があります。
季節ごとの注意点
春
産卵などに備える時期なので、冬の2倍近い量の餌を食べるようになります。
豊富な野菜と、干しエビや塩抜きした煮干しなどでカルシウムを補給することも忘れないで下さいね。
夏
アヒルは汗をかけないため、暑い時はハァハァと口を開けます。
日陰があるかを確認して、水をたくさん飲ませるようにしてください。室内飼育の場合は、扇風機の利用もおすすめです。
餌の混じった水や餌などが腐りやすい時期なので、保冷剤をうまく活用することも大切です。
秋
アヒルにとって過ごしやすい時期です。
冬に備えて食欲が旺盛になるので、食べ過ぎに注意が必要です。
冬
屋外飼育をしている場合は、ビニールシートなどを使って北風が入らないようにしてあげることが大切です。
また、日光浴をさせることも忘れないで下さいね。
アヒルのごはんは何をあげればいい?
アヒルは雑食なので何でも食べてしまいますが、基本のフードは水鳥用ペレットや鶏のエサです。
1日2回、朝夕に分けて飲水と、ペレットに「キャベツ」「キュウリ」「水菜」「トマト」などの野菜を刻んで一緒に与えるようにします。「米ぬか」「ハトムギ」「キビ」といった雑穀を飼料に混ぜることでさらに栄養バランスのよい食事になります。
適正量は体重によって異なりますが、400gを目安に与えている飼い主さんが多いですね。
また、「ミミズ」「ドジョウ」「ダンゴムシ」なども好んで食べます。庭でアヒルを飼う場合、ミミズを庭の土から掘り起こして与える飼い主もいます。
アヒルのごはんの注意点は?

アヒルの餌の注意点
- ネギ類
- アボカド
- ケール
- ゴボウ
- 生の大豆
- 芽キャベツ
- チョコレート
- 加熱したデンプン類
基本的に、人間用の食べ物は与えてはいけません。
炊いたご飯やパン、菓子、イモ類などの加熱したデンプン類は、そのう炎※1の原因になります。
また、ホウレンソウやクレソンなどのアクが強い野菜やバナナはシュウ酸を多く含むので、大量に与えないように注意が必要です。リンゴをはじめとした、果物の種は有毒なものが多いので注意が必要です。
アヒルはひなから飼い始めるのがおすすめ?

アヒルは群れで生活する習性があり、最初に属した群れの中で一生を過ごすので、後から他の群れに入ることは難しいです。
鳥インフルエンザ対策という側面から考えても、きちんと生体管理を行えるヒナからの飼育をおすすめします。
アヒルはマンションなど室内でも飼育できる?
アヒルをマンションなどの室内で飼育することは、おすすめできません。
鳴き声は大きく、しつけも出来ないため、糞はしたい時にしたい場所へ排泄します。細かい羽が常に抜けるので、近所への配慮も欠かせません。
アヒルの寿命はどれくらい?長生きのコツは?
一般的にアヒルの寿命は10~20年といわれていますが、ペットとして飼育する場合は病気やストレスによって寿命が短くなってしまう傾向があります。
飼う環境や与える餌によって、寿命は大きく変わってきますので、ストレスの少ない快適な環境を整えてあげてくださいね。
アヒルはペットショップで販売されているの?値段は?

アヒルは牧場やふれあいパークで購入することができます。値段は一羽につき500~1,000円程度です。
また、場合によってはペットショップで販売されていることもあり、一羽につき2,000~4,000円程度の値段で購入することができます。
アヒルは日々の変化が楽しいペット
アヒルは日々の喜怒哀楽が激しい上、発情期にはオスは攻撃的になり、メスは甘えん坊になるといった性格の変化があります。
まだまだペットとしての歴史は浅いアヒルですが、好きな飼い主にはしっかりとなついて甘えてくるかわいらしい動物です。
飼育環境を整えて飼うことができれば、犬や猫とは違うユニークな魅力に魅了されるかもしれませんね。