百人一首や万葉集などでもよく名前が出るホトトギスは、カッコウ目カッコウ科に分類される鳥類の一種です。
新緑の季節が過ぎて森に青葉が広がる頃になると、鳴き声を聞くことも増えてきますよ。この記事では、ホトトギスの生態や分布、鳴き声についてまとめました。
ホトトギスの特徴は?

大きさ
- 28cm
外見の特徴
- 青灰色の頭部と背中
- 黒褐色の翼と尾羽
- お腹に黒い横斑
- 黄色いアイリング
ホトトギスは全長28cm前後、羽を広げた状態(翼開長)は約46cmほどです。ヒヨドリより少し大きく、ハトよりやや小さい大きさです。
「青灰色の頭部と背中」「黒褐色の翼と尾羽」「腹にある黒い横斑」「黄色いアイリング」が特徴的ですね。
オスとメスはほぼ同色です。頭部から背中は青灰色で、翼から尾は灰色がかった黒褐色をしています。胸以下の下面は白く、お腹には7~9本の細い黒褐色の横斑がありますよ。
ホトトギスの生態は?

生態
- 肉食性
- 托卵
肉食性
ホトトギスは肉食性です。「ガの幼虫」や「昆虫」を主食としていますが、特に「毛虫」を好みますよ。
毛虫を好む理由としては、とても食べにくい毛虫を食べることで他の鳥たちとエサの奪い合いを回避していると考えられています。
托卵
托卵とは、他の鳥の巣に卵を産み抱卵や育雛をその巣の主に任せてしまう習性のことをいいます。
ホトトギスは主にウグイスの巣に托卵しますが、他にもミソサザイ、クロツグミ、アオジ、ベニマシコ、センダイムシクイにも托卵しますよ。
托卵するときは巣から1卵くわえとり、ウグイスの卵によく似たチョコレート色の卵を1つ生みます。抜き取った卵は産卵中もくわえたままでいることが多いですが、最終的には食べてしまいますよ。
ウグイスはやられっぱなし??
ホトトギスに托卵されることが多いウグイスですが、ウグイスも黙って托卵されているわけではないですよ。
ホトトギスに対して激しく威嚇、托卵されたと気づけば卵を取り除いたり巣を放棄するなど対抗措置を行います。
ホトトギスを使った後世の句
天下を取りにいった最も有名な三人の武将の後世の句が有名です。
織田信長:なかぬなら殺してしまへ時鳥(ほととぎす)
豊臣秀吉:鳴かずともなかして見せふ時鳥(ほととぎす)
徳川家康:なかぬなら鳴くまで待てよ時鳥(ほととぎす)
実際は本人たちが詠んだ句ではなく『詠み人知らず』として後世に残ったものですが、武将それぞれの性格を端的に表しており面白いですよね。
ホトトギスの分布は?どこに生息している?

ホトトギスは、インドから中国南部・マダガスカル・アフリカ東部まで広く分布しています。
夏鳥として5月ごろに日本に渡ってきて、北海道南部・本州・四国・九州・伊豆半島・沖縄で繁殖します。林の周辺にある藪のある場所、草原などに多く生息していますよ。
ホトトギスの鳴き声は?
ホトトギスのオスは、「キョ、キョ、キョキョキョキョ」と4節目にアクセントがある鳴き方で鳴きます。夜明け前や日没後に鳴く場合が多いとされていますよ。
メスは、カッコウやツツドリよりも高くテンポの早い声で「ピピピピ」と鳴きます。メスはこの「ピピピピ」という鳴き声だけしか鳴きません。
聞きなし(鳥の鳴き声を人の言葉に置き換えたもの)では「特許許可局」「本尊懸けたか(テッペンカケタカ)」と表現しますよ。
鳴き声に注目して観察してみよう!

ホトトギスはカッコウやツツドリとの外見上の区別が難しいため、鳴き声が最大の識別ポイントとなっていますよ。
この記事で紹介した内容を参考にして、古来から様々な詩歌や万葉集に詠われてきたホトトギスを観察してみてくださいね。