ノスリの特徴は?生態や分布、鳴き声は?

ノスリはタカ目タカ科ノスリ属の野鳥です。日本で見られる猛禽類では、観察できる数が多いですよ。農作物を食べるネズミをエサにするので「農地の守り神」とも呼ばれていますね。

今回の記事ではノスリの特徴や生態、分布、鳴き声についてまとめました。

 

ノスリの特徴は?

ノスリ

大きさ

  • 50~60cm

外見の特徴

  • 全体的に褐色
  • 扇状のしっぽ

ノスリの全長は50~60㎝で、メスの方がひと回り大きいです。翼を広げると100~140㎝になります。同じタカ科のトビよりひと回り小さく、カラスほどの大きさですよ。

頭部から上面にかけて褐色、下面は黄色がかった灰褐色です。全身に褐色と白色のまだら模様がありますよ。のどは黒色で、目は褐色ですね。しっぽは扇状で、先端は丸みを帯びていますよ。

一見するとオスメスともに同じ色をしていますが、オスの足に生えている羽毛には、成鳥したオスのみに見られる褐色の斑点があります。逆に、メスは胸の上部に褐色の小さな斑点がありますよ。

幼鳥と成鳥、オスとメスの区別がつきにくい鳥ですが、色合いや模様の入り方は、個体差が大きいですよ。

 

ノスリの生態は?

ノスリ

生態

  • ウィンドホバリング
  • ディスプレイフライト
  • 抗菌と防虫も兼ねた巣

ウィンドホバリング

ノスリは「ウィンドホバリング」する鳥として知られています。小型の鳥は、翼を8の字を書くように動かしてホバリングしますが、大型の鳥は、自力でホバリングができません。ノスリは風上に向かってはばたき、風を利用して姿勢を一定に保ちますよ。

 

ディスプレイフライト

ノスリは空中で様々な飛び方を見せてくれる鳥ですよ。「ディスプレイフライト」と呼ばれ、求愛や威嚇のために行われます。求愛飛翔は1~2月に見られます。近くにもう1羽ノスリがいたら、求愛の「ディスプレイフライト」かもしれませんよ。

上空でらせん状に旋回帆翔して、急降下します。急降下のときは、紡錘形やW形の姿勢で頭を下にします。ハヤブサほどのスピードはありません。地上近くまでくると、急上昇しますよ。急降下した位置から、半分ほど上昇します。もう一度、旋回帆翔して終わります。

 

抗菌と防虫も兼ねた巣

ノスリの巣は樹上に作られます。巣の材料には、ヒノキ、アカマツ、ブナ、カエデといった青い葉のついたままの小枝を使われており、病原菌や寄生菌から守る役割もあります。

 

ノスリの分布は?どこに生息している?

ノスリ

ノスリは北海道から九州、小笠原諸島に分布していますよ。日本国内を季節の変化に従って移動する「漂鳥」に分類されます。中には冬になると海外から渡って来る個体もいますよ。「農耕地」「草原」「平地」「低山の林」「森林」に生息していますよ。

ノスリは冬の季語にもなっています。繁殖が終わると暖かい地域に降りてくるので、「冬鳥」として知られていますね。

 

ノスリの鳴き声は?

ノスリの地鳴きは「ピーヨー」「ピーエー」と高い声で鳴きます。トビの鳴き声に似ていますよ。ヒナは「ピー」と高い声で鳴きます。

 

生態系の頂点に君臨する鳥

ノスリ

ノスリは生態ピラミッドの頂点にいる猛禽類です。生態系が乱れると、絶滅の危機になってしまいます。今のところ日本では生息数が安定しています。どこでも観察できるので、野鳥を撮影するカメラマンからの注目度は低いですね。

数が減ったことで注目されるのなら、注目度が低いままでも良いのかもしれませんね。