コクワガタは日本全国で数多く見られるポピュラーなクワガタですね。さまざまな環境に適応できるということは、飼育しやすく、繁殖もしやすいといえます。これからクワガタの繁殖にチャレンジしてみたいなら、コクワガタは初心者にぴったりですよ。
この記事では、コクワガタの繁殖や交尾、産卵方法などペアリング情報をまとめました。
この記事でまとめたこと
ペアリングとは?
ペアリングとは、この場合「交尾」を意味します。繁殖行為のことですね。コクワガタ同士で自然にペアリングさせることを「同居ペアリング」と呼びます。人間の手で交尾を促す「ハンドペアリング」の2つの方法がありますよ。
コクワガタのペアリング、適正な時期は?
成熟する時期は?
時期
- 羽化後3ヶ月以上
コクワガタは成虫になっても繁殖能力がないので、すぐにはペアリングはできません。
羽化後3ヶ月以上経って成熟した(繁殖能力の備わった)個体を使いますよ。できれば半年以上経っている個体が望ましいですね。成熟すると動きが活発になり、昆虫ゼリーを良く食べるようになります。
メスが野生採集の場合
野生採集の個体はWD(ワイルド)とも呼ばれます。
羽化後3ヶ月以上経っていれば野生下ではどんどん交尾してしまいます。また、メスには「貯精嚢(ちょせいのう)」があり、オスから受け取った精子を長期間保存することが可能です。このためWDのメスは8割が交尾済みといわれています。
採集したメスが羽化後間もない個体ならば、希望するオスとペアリングができますよ。
コクワガタのペアリング、交尾させる方法は?
交尾方法
- ハンドペアリング
- 同居ペアリング
ハンドペアリング
ハンドペアリングとは、人間の手で交尾を促す方法です。成熟したメスに対して、成熟したオスを「L」になるように置きます。この時、メスの背中にオスの大顎が乗るようにしますよ。
メリットとしては、攻撃性の強い種類のクワガタを交尾させたときにケンカを止めることができることと、交尾の確認ができることです。
同居ペアリング
同居ペアリングとは、コクワガタ同士、自然な成り行きで交尾させることです。成熟したオスとメスを同じケースに入れて飼育するだけですよ。
メリットとしては、同じケースに入れるだけなので繁殖が簡単にできることですね。
コクワガタのペアリング、注意事項は?
気をつけること
- 交尾は必要最小限に
交尾をしたコクワガタは体力を使い果たしています。交尾の確認ができないからと何度もペアリングさせると、最悪の場合死んでしまうことがありますよ。
コクワガタは越冬させた後にペアリングさせると、たくさん卵を産んでくれます。無理はしないで、来年まで待つという考え方もありますよ。
コクワガタのペアリング、交尾後はどうするの?
交尾の時間は10分~数時間です。
同居ペアリングの場合、一緒にしてから数日後「オスとメスが仲良く昆虫ゼリーを食べている」「オスとメスがぴったりと寄り添っている」といった姿が見られたら、ペアリングが成功している可能性が高いですね。これで交尾の確認ができたといえますよ。
ハンドペアリングでも同居ペアリングでも、交尾の確認ができたら、メスの産卵の邪魔にならないよう、オスとは別のケースで飼育します。
コクワガタのペアリング、うまくいかない時は?
トラブルの例
- メスが交尾済み
- ペアの片方、または両方が未成熟
- ペアの相性が悪い
メスが交尾済み
メスは産卵の準備が近づくと、オスを拒むことがありますよ。産卵するまで待つか、別のメスを用意します。
ペアの片方、または両方が未成熟
成熟するとは、繁殖能力ができたということです。両方あるいは片方が未成熟では繁殖行動ができませんね。成熟するまで待つか、成熟した個体を用意します。
また、成熟したオスと未成熟のメスをいっしょにすると、大人しい性質のコクワガタでも、オスがメスを攻撃するおそれがあります、注意してくださいね。
ペアの相性が悪い
コクワガタにも相性があるようですね。成熟したオスとメスでも、ペアリングがうまくいかない場合があります。
オスかメス、どちらかを別の個体に替えてペアリングし直しますよ。
コクワガタの産卵、必要なグッズは?
グッズ
- 飼育ケース
- マット
- 産卵用の木
- 昆虫ゼリー
- 転倒防止材
飼育ケース
飼育ケースは、産卵木が入る大きさで、湿度が保てるプラスティック製のものを用意します。観察がしやすい透明のケースがおすすめですよ。
マット
マットは発酵マットを用意します。万が一、幼虫が木材から落ちてしまっても、発酵マットの中で過ごせるからですよ。発酵マットはガス抜きと加水してから使ってくださいね。
産卵用の木
産卵用の木は、シイタケ栽培で使われたクヌギやナラなどのホダ木が使われます。
野性下では、メスは朽ち木に産卵をしますよね。ホダ木はシイタケの菌の作用で木がポロポロと分解されているので、より自然に近い状態でメスが産卵できますよ。
昆虫ゼリー
産卵前後のメスはタンパク質が必要となってきます。
通常の昆虫ゼリーでもかまいませんが、できれば高タンパクゼリーを用意することをおすすめしますよ。
転倒防止材
コクワガタはひっくり返ってしまうと、起き上がるために体力をたくさん使います。最悪の場合、死んでしまうこともありますね。
転倒を防ぐためと、転倒しても起き上がるときの足掛かりになるので、小さい枝や樹の皮、枯葉などを飼育ケースの中に入れておきます。
コクワガタの産卵、割り出しとは?
割り出しとは、産卵後、産卵木やマットの中をチェックして、卵や幼虫の数を調べることです。卵が見えてからの割り出しと、幼虫が見えてからの割り出しの2種類がありますよ。
割り出しを行う時期の目安は?
時期
- 産卵準備から2ヶ月後位
基本的に割り出しは幼虫を取り出します。行うタイミングは産卵用の飼育ケースにメスを入れてから2ヶ月後ほどです。
2ヶ月以上メスと幼虫を一緒にしておくと、産卵で不足したタンパク質を補うために、メスは自分が産んだ幼虫を食べる「子食い」をする恐れがあります。注意してくださいね。
割り出しの方法は?
必要なもの
- マイナスドライバーか小型のナイフ
- 発酵マット
- 幼虫や卵を入れるケース
産卵木から割り出しをする場合、マイナスドライバーや小型のナイフを用意します。中にいる卵や幼虫を傷つけないように、周りから少しずつ割ってくださいね。
幼虫を取り出したら、発酵マットを敷いたケースに1匹ずつ入れていきます。卵の場合は、上からさらに発酵マットを軽くかぶせます。
サナギになったら
ビンの側面から様子が見れる場合もありますよ。サナギになる時は普段よりも幼虫用のエサを食べるスピードが落ちてきます。菌糸の減り具合が落ちてきたら、サナギに近づいている証拠ですよ。
サナギになり始めたらむやみに動かしたり幼虫を掘り出したりする事はせず、優しく見守るようにしてくださいね。
羽化に成功したら
コクワガタは約1~2ヶ月のサナギ期間を経て羽化しますが、しばらくの間はほとんど動かず餌も食べません。
自力で外に出ようとするなどの活発に動く様子を確認してから飼育ケースに移してください。観賞用であればSSサイズやSサイズでも充分ですよ。
簡単に繁殖できます!
ペアリングには2種類ありますが、コクワガタは大人しい性質なので、成熟したオスとメスなら同居ペアリングで繁殖が可能ですよ。警戒心が強いので、夜の間にペアリングしていることが多いですね。
コクワガタの飼育方法について詳しく知りたい方はこちら