愛犬に口をなめられるのは飼い主にとって嬉しいことですが、実は病気の危険性もはらんでいますよ。
この記事では、愛犬に口をなめられることで発症する病気やその対策、しつけについてまとめました。
愛犬が飼い主の口をなめる、病気の可能性は?
発症しやすい病気
- パスツレラ症
- イヌ・ネコ回虫症
- Q熱
- カプノサイトファーガ感染症
愛犬とキスをすることで飼い主が病気にかかる可能性はゼロではありません。動物から人に感染する病気を「人獣共通感染症(ズーノーシス)」といいます。
犬にとっては無症状の菌やウイルスが、人が感染すると深刻な症状になるケースがあります。愛犬とのキスによってかかることがある病気を4つ紹介します。
パスツレラ症
犬から人間に感染する人獣共通感染症の中でも、特に気をつけたいのが「パスツレラ症」です。犬に噛まれたり、引っ掻かれたり、なめられることで感染します。
原因となるのは「パスツレラ菌」という細菌で、犬の口には75%の確率で存在しています。健康な成人であれば感染しても無症状ですが、免疫力が弱っている時や乳幼児、老人の場合は注意が必要です。
「気管支炎」「敗血症」「髄膜炎」などの症状や死亡例も報告されていますよ。
イヌ・ネコ回虫症
回虫は犬や猫のおなかにいる寄生虫のことです。お尻や毛についた回虫の卵を犬自身がなめて、その口でキスをされることで飼い主にも感染する可能性があります。
この病気も免疫力が落ちている時期に感染しやすいです。体内を移動する際に目や内臓に侵入し、「発熱」や「肺炎」「肝炎」などを引き起こします。
目に入って重症化した場合は、失明の危険もありますよ。
Q熱
Q熱は「コクシエラ菌」とい細菌に感染した犬とキスすることで感染します。他にも体液や尿からも感染することがありますよ。
人に感染するとインフルエンザのような「発熱」や「倦怠感」などの症状が50%の確率で起こります。
長期間症状が続くケースもありますが、一度治ると免疫がつくので再発の恐れはありません。
カプノサイトファーガ感染症
カプノサイトファーガ感染症はカプノサイトファーガ・カニモルサスという細菌が原因の感染症です。
犬の唾液に菌が常在するのでキスによって感染する可能性がありますが、発症例は極めて少ない現状です。人から人の感染はしません。
主な症状は「発熱」「倦怠感」「腹痛」などで、重症化すると敗血症や髄膜炎を起こし、敗血性ショックや多臓器不全に進行して死に至ることがあります。
愛犬とのキスは控えたほうがいい?
愛犬と口同士でキスをすることは控えたほうがいいです。
ただ、愛犬が飼い主の口元をなめるしぐさはなついて心を許してくれている証拠です。可愛らしさから、飼い主さんもつい許してしまいがちですよね。
愛犬が口元をなめようとしてきたら、口の前に手を出してガードする方法がおすすめです。特に風邪を引いて免疫力が低下している時には注意してくださいね。
愛犬が口をなめる、やめさせるには?
おすすめのしつけ
- タイムアウト方式
毎日スキンシップとして愛犬に口元をなめられる場合は、しつけることも大切ですよ。「タイムアウト方式」というしつけ法がおすすめです。
まず犬が口元をなめてきたら顔を背けてその場を立ち去り、犬の様子が落ち着いてきたらほめて上げることを繰り返すしつけ法です。
「飼い主をなめることを我慢するとほめられる」と犬が覚えるので、次第になめる行為を止めるようになっていきますよ。
犬にとっては単なるスキンシップなので、手で口元をガードして、愛犬がキスをしてくる行為自体はしつけないこともありですよ。
注意点として、叱ってはいけません。甘えたい一心で飼い主の口元をなめようとしているので、叱られてしまうとストレスが溜まりやすいからです。
節度ある接し方が大事
長い間、留守番させたりすると愛犬が顔をなめつづけることがあります。
犬が感じていた寂しさを考えると思いっきり顔をなめさせてあげたくもなりますが、普段のひどいなめ癖は直さなければなりません。
愛情をこめて日々の世話をしていれば、特別な事をしなくても思いは愛犬に伝わっています。愛犬との距離感を意識して接することで生活がより充実しますよ。