「たくさんの種類の熱帯魚を同じ水槽に入れて楽しみたい!」「何個も水槽を置くスペースが無いので同じ水槽でまとめて飼育したい!」などの理由から、多くのアクアリストたちが熱帯魚の混泳を行っています。
ただ気をつけなければいけないのは、相性が悪く混泳をさせることができない熱帯魚のペアが存在することです。この記事ではどのような熱帯魚同士が「混泳」に向かないのか、5つの見分けるポイントをまとめました。
混泳を見分ける5つのポイント
- 水質
- 性格
- サイズ
- 習性
- 遊泳層
この記事でまとめたこと
熱帯魚の混泳とは?
混泳とは、1つの水槽で2種類以上の水棲生物を飼育することです。自然に近い環境で飼育することができますし水槽内がカラフルな色彩になるので、多くのアクアリストに人気の飼育法ですよ。
ただ、自然界の食物連鎖や特殊な生態により、狭い水槽内に混泳させないほうが良い水棲生物もいます。
熱帯魚の混泳を見分けるポイント1. 「水質」
熱帯魚には生活のしやすい水質(pH)が存在します。原産地となる川のpHによって、熱帯魚の好む水質は変わるのです。
例えば「ミドリフグ」や「プラティ」はpH8前後の弱アルカリ性の水質を好みますが、「ディスカス」や「コリドラス」はpH6前後の弱酸性の水質を好む熱帯魚です。「ミドリフグ」と「ディスカス」、「プラティ」と「コリドラス」など、好む水質が異なる熱帯魚同士は混泳に向いていません。
また適切な「塩分濃度」も熱帯魚によって差があります。ミドリフグやエイ、ハゼなどは「汽水域」という淡水と海水の中間程度の塩分濃度を好みますので、海水魚や淡水魚との混泳には向きません。
熱帯魚の混泳を見分けるポイント2. 「性格」
ベタやスマトラは性格が荒く同じ水槽で他の熱帯魚を飼っていると、その熱帯魚を追い回したりヒレをかじったりして危害を加えてしまいます。
中でもベタは「闘魚」という和名を持つほど性格が荒く、ベタ同士の混泳にも向きません。激しくケンカをして、どちらかが死ぬまで戦ってしまうこともあります。性格が荒い熱帯魚は混泳せずに単頭飼育を心がけてくださいね。
熱帯魚の混泳を見分けるポイント3. 「サイズ」
サイズが違いすぎる熱帯魚同士の混泳も避けなければいけません。大きい方の熱帯魚が、もう片方を餌としてしまうからです。
例えば熱帯魚の代表格である「エンゼルフィッシュ」は、「ネオンテトラ」や「ミナミヌマエビ」を捕食してしまうので混泳に向きません。
また、大きな淡水魚として知られている「アロワナ」「ガー」「スネークヘッド」は、「メダカ」や「金魚」が大好物ですよ。混泳はタブーといえます。
熱帯魚の混泳を見分けるポイント4. 「習性」
習性
- 遊泳スピード
- 電磁波
- 夜行性
熱帯魚はストレスに弱い生き物ですので、「習性の違い」も混泳させる上では考慮した方がいいですよ。例えばゆったりと泳ぐことが好きな熱帯魚は、「ゼブラダニオ」などの素早く泳ぎ回る熱帯魚と混泳させてはいけません。ゆったり泳いでいる熱帯魚がストレスを感じてしまうためです。
また、「ブラックゴースト」など体から電磁波を発している特殊な熱帯魚もいます。場所を把握するための微弱な電磁波ですが、他の熱帯魚やブラックゴースト同士でもストレスを感じてしまう要因になります。
「プレコ」などの夜行性の熱帯魚もあまり混泳にむきませんよ。向いていない場合もあります。例えばセルフィンプレコなどのプレコの仲間は夜行性でディスカスやエンゼルフィッシュなど体表の大きい魚をかじってしまうことがあります。
熱帯魚の混泳を見分けるポイント5. 「遊泳層」
一般的に「遊泳層」が異なる熱帯魚同士は混泳が可能です。遊泳層とは熱帯魚が生息する水深の層のことです。
性格が荒い熱帯魚同士でも、遊泳層が違えば混泳できることがあるのです。例えば性格の荒い「エンゼルフィッシュ」でも、常に水底を泳いでいる「コリドラス」とは混泳が可能なのです。
ただ、「適切な水質が異なる」「サイズの差がありすぎる」「習性が異なる」熱帯魚同士は、遊泳層が違うとしても混泳をおすすめしませんよ。基本的に遊泳層が違えば熱帯魚同士が関わることはありませんが、100%とはいえないからです。
相性の悪い熱帯魚同士は混泳させない!
「熱帯魚のアクアリウム」=「混泳飼育」というイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
水族館の水槽のようにたくさんの熱帯魚を飼いたいと思うのは当然のことですが、水棲生物の混泳には「食物連鎖」と「習性の違い」がつきものです。
ただ例外的に、今回紹介した相性が悪い熱帯魚同士でも仲良く混泳をしていることもあります。実際にアロワナやポリプテルス、ガーなどを何匹も同じ水槽で飼育していたり、エンゼルフィッシュとミナミヌマエビを混泳させていたりする方もいます。
基本的には相性の悪い熱帯魚同士を混泳させないことをおすすめしますよ。是非正しい知識を持って、混泳によってアクアリウムを美しく彩ってくださいね。