ショーベタは体の何倍もあるヒレが扇を広げた形状をしており、躍るように泳ぐ姿は「豪華絢爛」とよぶにふさわしい熱帯魚です。
カラーは、赤、青、白、黒、黄などと多彩で、単色だけではなく色が混じった個体もあります。今回は飼育が易しいショーベタの習性や、特徴的な繁殖方法、稚魚の育て方についてまとめています。
ショーベタの習性は?
習性
- 狭く水流のない場所を好む
- 肉食
- 喧嘩早い
ショーベタは水槽内の狭くて水流のない場所を好みます。野生のころの外敵である「鳥」から身を隠すための習性だといわれています。
水槽の中に「カボンバ」「アナカリス」といった水草を入れると、ショーベタが暗がりで落ち着いて泳ぐ姿が観察できるのでおすすめですよ。水槽の日当たりが悪すぎると水草が光合成できずに枯れてしまうので、注意してくださいね。
ショーベタは雑食ですが肉を特に好み、「赤虫」や「糸ミミズ」が好物です。稚魚の時に与えたブラインシュリンプと呼ばれる、乾燥した小型の甲殻類の卵をふ化させて与えても食べます。水草はほとんどかじりませよ。
ショーベタのオスは闘争心が強く、他の熱帯魚との混泳には向きません。「フレアリングトレーニング」のために、あえて2匹ペアで飼育する方もいますよ。フレアリングとはヒレを最大限広げて、オス同士で威嚇し合うことを指します。
オス同士は別の水槽で飼育しますが、通常はお互いの姿が見えないように目隠しをしてあげることが一般的です。威嚇し合あうストレスで死んでしまうことがあるからです。
メスは闘争心が低いので同じ水槽で飼育が可能ですが、ときには喧嘩を始めることもあります。速やかに別の水槽に移して単体で飼育できる環境も整えておくことをおすすめしますよ。
ショーベタの繁殖、産卵条件は?
産卵条件
- 水槽:25~35L
- 温度:27~28℃
ショーベタの繁殖をする際に、あると良いとされる設備は以下のとおりです。
水槽
水槽は繁殖用に準備します。大きさは25~35L、最低でも10Lの水槽は用意してあげてください。
ヒーター
繁殖に適した水温は27~28℃に保ちたいです。温度調整ができるタイプがおすすめです。他には「蛍光灯」「浮草水槽のフタ」「ココナッツシェル」「アルダーシード」を揃えておくと便利です。
産卵条件
繁殖用の水槽が準備できたら、発情しているオスを1匹入れます。発情のサインは、普段飼育している水槽の水面に泡がたくさん浮いていることです。
2~3日かけて水槽に慣らすとオスは新しい水槽でも泡を作り始め、2日もすると泡巣が完成します。泡巣が完成したら、抱卵しているメスと水槽越しにお見合いさせます。抱卵しているメスはお腹に白い卵巣が透けてみえるので、わかりやすいですよ。
発情しているオスは、メスに威嚇のポーズを取りますが、この場合は求愛行動です。それにメスが応じると、メスも発情して卵巣部分に縞模様が出てきます。
1日ほどお見合いをさせて、オスが泡巣を5㎝ほどまで大きくさせたら、メスを繁殖用の水槽に入れます。ここからは、オスメスともに餌は与えません。
初めはオスから逃げ回ってココナッツシェルに隠れていたメスですが、しばらくすると泡巣の下に移動します。メスを水槽に入れて1週間経っても産卵しない時は、相性が悪いので中止します。
オスがメスに抱きつき、抱え産卵が始まります。卵は下に落ちてしまうので、オスは口で卵を拾って泡巣に運びます。これを産卵が終了するまで繰り返します。
ショーベタの稚魚、育て方は?
稚魚はふ化して2~3日もすると自分で泳ぎだすので、それに合わせて稚魚の最初の餌であるインフゾリアの卵をふ化させることがおすすめです。インフゾリアの卵はふ化に1日かかるので、逆算して用意してあげる必要がありますね。
2~3日経ったらブラインシュリンプを与え徐々に大きさのある赤虫に切り替えます。3ヶ月経ったら人工の餌にしてみてください。稚魚の間は喧嘩をほとんどしませんよ。
オスもメスも一緒に同じ水槽で飼育できますよ。これが成魚との大きな違いですね。少しずつ喧嘩を始めるようになったら、単体飼育を考えなければなりません。
圧倒的なヒレの美しさ、ショーベタ
ボリュームのあるヒレが圧倒的な存在感を放つショーベタは、熱帯魚好きなら一度は飼育したいものです。闘争心や強いという少し変わった習性をもっていますが、飼育しやすいことに変わりはありません。ショーベタの水槽がひとつあると、お部屋が一気に華やぎますね。