クワガタを小さい頃、夏休みに森で採取して飼ったことがある方もいるのではないでしょうか。
同じように見えてしまいがちですが、クワガタの仲間は世界で約1,500種類が確認されており、そのうち60%以上が東南アジアに生息しています。
この記事では、日本にも生息している代表的なクワガタと生息地をまとめました。
日本にクワガタは何種類いるの?分類や特徴は?
日本に生息しているクワガタは何種類?
日本に生息しているクワガタの種類は、約13属40種前後と考えられています。
ただ、亜種まで含めると50種類以上になるとされていますよ。
世界中で生息しているクワガタは何種類?
カブトムシと同じように東南アジアやアフリカ大陸の熱帯域に多く生息しており、1400~1500種類にものぼるとされていますよ。
クワガタの分類
クワガタは分類学上8つの亜科に分類されており、多くはクワガタムシ亜科に属しているとされています。
市販されているクワガタは、クワガタムシ亜科やキンイロクワガタ亜科およびそれらに属する種類が多くを占めていますよ。
顎と歯の特徴
クワガタは体の大きな個体ほど大アゴが大きくなる傾向があります。
体長に比例して「大歯」「中歯」「小歯」の3種類に分けられていますよ。体が大きな個体ほど大歯になりやすく小柄な個体ほど小歯になりやすいといえますね。
短歯・長歯
短歯とはアゴの長さが短く出ること、長歯はアゴが長く出ることをいいます。
短歯・長歯がすべての種類に存在するのかは判っていませんが、アルキデスヒラタやノコギリクワガタの一部種類にみられます。
クワガタ幼虫のオスとメスの見分け方は?
見分け方
- 雌斑の有無
- 腹部のI字(チン線)
- 頭幅の大きさ
オスとメスを見分ける方法として、「雌斑(めすはん)の有無」、「腹部のI字」、「頭幅の大きさ」があります。
雌斑はおしりから3節目にあるクリーム色で丸い一対の器官(卵巣)のことで、2令以上になったメスの幼虫であれば肉眼で確認することができますよ。
また、幼虫の腹部(2~3番目の間)に「I字」があればオスの可能性が高いと判断することもできます。また、3令になるとオスはメスに比べて頭幅が大きくなるので、頭幅の大きさで判断することも可能(栄養状態などによって変わる事もある)です。
日本にいるクワガタ、人気の種類や生息地は?
「オオクワガタ」「ノコギリクワガタ」「ミヤマクワガタ」「コクワガタ」の4種類がよく知られていますが、国内には他にもたくさんのクワガタがいますよ。
オオクワガタ
日本にいる最大級のクワガタで、最も人気が高い種類です。日本全土、朝鮮半島、中国北東部に生息しています。がっしりと体格のよいクワガタですが、温厚で臆病な性格のため飼育に適しています。冬眠を行い、長生きすることも特徴です。
「黒いダイヤ」と呼ばれ大流行しましたが、現在は価格も落ち着き飼育しやすくなりました。日本の野外では低い山や平地の広葉樹にいますが、見つけるのは困難なので、販売個体はほとんどが人工繁殖なのが現状です。
体長 | 24~80mm |
---|---|
体の特徴 | 幅広で質量感のある黒色のボディ |
採れる場所 | 低い山や平地の広葉樹 |
有効な採集方法 | ルッキング採集、灯火採集 |
活動期間 | 5~9月下旬(地域差あり) |
採れる時間帯 | 早朝か夜間 |
分布 | 日本全土 |
オオクワガタについて詳しく知りたい方はこちら
ノコギリクワガタ
ノコギリクワガタは名前の通り、ノコギリのようなギザギザのついた突起が特徴です。日本全土、韓国に生息しています。アゴの突起は成長するとともに力強くなり、立ち上がって威嚇する姿は凛々しくてかっこいいですよ。
平地から山地までの広葉樹の森林に幅広く生息しているポピュラーな種類で、数も多く、郊外の小さな林でも捕まえることができます。
体長 | 25~75mm |
---|---|
体の特徴 | ノコギリのようなギザギザのついた大アゴ |
採れる場所 | 平地から山地にかけてある広葉樹の森林 |
有効な採集方法 | ルッキング採集、蹴り採集、灯火採集 |
活動期間 | 5月下旬~9月下旬(地域差あり) |
採れる時間帯 | 朝方~昼間(夜でも見ることはできる) |
分布 | 日本全土 |
ミヤマクワガタ
「深山(みやま)」という名前の通り、標高の高い場所に生息するクワガタです。日本全土、中国、台湾、朝鮮半島に生息しています。涼しく適した湿度のある環境を好みます。鹿の角のような独特の突起と、こげ茶色のボディが特徴です。
夜行性のクワガタが多いなか、ミヤマクワガタは昼間に行動する性質があるため、採集は簡単です。人工飼育はやや難しく、温度と湿度の管理がポイントです。
体長 | 28~79mm |
---|---|
体の特徴 | こげ茶色のボディ |
鹿の角のような独特の突起 | |
採れる場所 | 標高が比較的高い場所 |
地域差はあるものの、クヌギの木にいることが多い | |
有効な採集方法 | 蹴り採集、灯火採集 |
活動期間 | 5月下旬~10月上旬(地域差あり) |
採れる時間帯 | 朝方~昼間(夜でも見ることはできる) |
分布 | 日本全土 |
ミヤマクワガタについて詳しく知りたい方はこちら
コクワガタ
コクワガタは小型で細長い体型をし、素早く動く姿が可愛らしいクワガタです。日本全土、中国、台湾、朝鮮半島に生息しています。産卵数が多く、小さなビンで簡単に飼育できます。アゴの力も比較的弱いため、クワガタ飼育が初めての方には最も適していますよ。
小型のクワガタではありますが、飼育下では中型サイズになることもあります。冬眠をして2〜3年間は生きます。
体長 | 18~53mm |
---|---|
体の特徴 | 細長い体型 |
採れる場所 | クヌギ、ニレ、ヤナギ、タブ、ナラなどの樹皮の裏やウロの中、葉っぱ、木の表面 |
有効な採集方法 | ルッキング採集、蹴り採集、灯火採集、トラップ採集 |
活動期間 | 4~10月(地域差あり) |
分布 | 日本全土 |
コクワガタについて詳しく知りたい方はこちら
ネブトクワガタ
体長 | 30mm以下 |
---|---|
体の特徴 | ほぼ黒色の体色 |
背中にある深いスジ | |
大アゴの根元にある内歯 | |
採れる場所 | クヌギ、ニレなど(地域差あり) |
有効な採集方法 | 樹液採集、朽木割採集 |
活動期間 | 4月下旬~9月下旬(地域差あり) |
採れる時間帯 | 早朝(薄暗い内)~夜間(日が沈んでから) |
分布 | 日本全土 |
オニクワガタ
体長 | 16~25.6mm |
---|---|
体の特徴 | 上に反り返った短い大アゴ |
採れる場所 | やや標高の高いブナやミズナラの林(本州以西) |
有効な採集方法 | 灯火採集 |
活動期間 | 7~9月(地域差あり) |
分布 | 北海道、本州(佐渡島を含む)、四国、九州 |
キンオニクワガタ
体長 | 20~40mm |
---|---|
体の特徴 | 直線的に長く伸びた大アゴ |
大アゴの先端にある1対の内歯 | |
採れる場所 | クヌギやコナラの樹液 |
有効な採集方法 | 灯火採集、材割り |
活動期間 | 7~9月(地域差あり) |
分布 | 対馬(長崎県) |
オキナワマルバネクワガタ
体長 | 43~70mm |
---|---|
体の特徴 | 艶がある黒色のボディ |
有効な採集方法 | 採集禁止 |
分布 | 沖縄 |
アマミシカクワガタ
体長 | 19~46mm |
---|---|
体の特徴 | 鹿の角のように湾曲した大アゴ |
有効な採集方法 | 採集禁止 |
分布 | 奄美大島、徳之島 |
ヒメオオクワガタ
体長 | 25~58mm |
---|---|
体の特徴 | 弱光沢の黒色ボディ |
大きく内側に曲がったアゴ | |
採れる場所 | ヤナギ類、ダケカンバ等 |
有効な採集方法 | ルッキング採集、灯火採集、材割り採集 |
活動期間 | 6月上旬~10月頃(地域差あり) |
採れる時間帯 | 昼夜 |
分布 | 千葉と沖縄県を除く日本全域 |
ヤマトサビクワガタ
体長 | 15~25mm |
---|---|
体の特徴 | 体表面にある細かい毛 |
有効な採集方法 | 採集禁止 |
分布 | 九州(佐多岬、徳之島) |
スジブトヒラタクワガタ
体長 | 23~70mm |
---|---|
体の特徴 | 上翅(じょうし)の太い縦スジ |
採れる場所 | スダジイやアカメガシワ等の広葉樹の森林 |
有効な採集方法 | トラップ採集 |
採れる時間帯 | 主に夜間 |
活動期間 | 4月下旬~10月(地域差あり) |
分布 | 南西諸島の一部(奄美大島、徳之島) |
チョウセンヒラタクワガタ
体長 | 20~62mm |
---|---|
体の特徴 | ゆるやかにカーブした大アゴ |
採れる場所 | 低地にある広葉樹を中心とした雑木林 |
有効な採集方法 | 果実トラップ |
活動期間 | 6~9月(地域差あり) |
採れる時間帯 | 夜間 |
分布 | 国内だと九州の対馬のみ |
コルリクワガタ
体長 | オス:9~14mm |
---|---|
メス:8~12mm | |
体の特徴 | 瑠璃色に輝くボディ |
採れる場所 | ブナやミズナラなど |
有効な採集方法 | 材割り採集 |
マダラクワガタ
体長 | 4~6mm |
---|---|
体の特徴 | 卵型で頭が小さい体形 |
暗赤褐色~黒褐色でツヤが無い体色 | |
金色の鱗片状の毛が生えている背面 | |
採れる場所 | ミズナラ、ブナ、カツラ、アセビなどの赤枯れした倒木 |
有効な採集方法 | 材割り採集 |
採れる時間帯 | 昼間(材割り採集なので、時間帯は問わない) |
分布 | 北海道~九州(伊豆諸島、佐渡島、対馬、屋久島も含む) |
チビクワガタ
体長 | 9~16mm |
---|---|
体の特徴 | 強い光沢のある黒色のボディ |
先端がやや上に反った小さなオオアゴ | |
採れる場所 | シイやクヌギ、サクラなどの朽木の中 |
有効な採集方法 | ルッキング採集、朽木割採集、灯火採集 |
分布 | 関東以南の本州(伊豆諸島を含む)、九州 |
マグソクワガタ
体長 | 6~9mm |
---|---|
体の特徴 | 全く成長しないオオアゴ |
ツヤがない全身褐色のボディ | |
採れる場所 | 目が細かい砂が堆積し流木がたくさん埋まっているような河川敷 |
有効な採集方法 | ルッキング採集 |
活動期間 | 5~6月(地域差あり) |
採れる時間帯 | 昼間 |
分布 | 北海道、本州(中部から近畿地方にかけては局地的) |
ヒラタクワガタ
体長 | 20~80mm |
---|---|
体の特徴 | 急な角度で内に曲がるオオアゴの先 |
平べったく幅広なボディ | |
オオアゴの根元にある内側に向いた内歯 | |
採れる場所 | 川近くの林(湿度が高い場所を好む傾向あり) |
有効な採集方法 | ルッキング採集、灯火採集、冬眠期採集 |
活動期間 | 5~10月(地域差あり) |
採れる時間帯 | 夜間 |
分布 | 日本、朝鮮半島、中国 |
スジクワガタ
体長 | 14~39mm |
---|---|
体の特徴 | 黒色~赤褐色のボディ |
上翅(じょうし)に入る縦のスジ | |
採れる場所 | 標高の高い山地(ヤナギの枝先)、低地(クヌギなどの広葉樹の樹液) |
有効な採集方法 | 樹液採集 |
活動期間 | 5月下旬~9月頃(地域差あり) |
採れる時間帯 | 夜(薄暗ければ昼に行動することもある) |
分布 | 日本全土(沖縄を除く)、アジア諸国 |
クワガタの飼い方について詳しく知りたい方はこちら
クワガタの捕まえ方について詳しく知りたい方はこちら
クワガタ探しは慎重に
日本に生息するクワガタを6種類ご紹介しました。生息地に行って自分でクワガタを取る場合は、ケガをしないように採集してくださいね。
森や山に採りにいったり、ショップに見にいったりしながら、自分自身の好きなクワガタを見つけてみてくださいね。