前足で物を洗う動作をすることから名前がついたアライグマは、その名の通り果物などのエサを水につけて洗う仕草が愛らしく、動物園でも子供達に人気の動物ですよね。
この記事では、アライグマはペットとして飼えるのか?実態や持っている病気の危険性についてまとめました。
この記事でまとめたこと
アライグマはペットとして飼えるの?
現在、日本ではペットとして野生のアライグマを保護や飼育管理することも、譲り受けることも、購入することもできません。平成16年6月に「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」という法律が公布され、アライグマは「特定外来生物」のリストに載りました。人に危害を加えたり、生態系に悪影響を及ぼしたり、農林水産業に大きな被害をもたらす生物とされています。
アライグマなどの外来種は、学術研究や展示、教育などの目的で大臣の許可を取得できれば飼うことができますが、ペットとして飼ったり販売したりすることは禁止されています。
アライグマの生活や餌は?
アライグマはかつて、一頭当たり5万円程度で販売されていました。雑食なので大抵のものを食べますが、果物やドッグフードが主な餌です。飼い方は犬と同じような方法で、犬用のケージや首輪、リードが使用して飼っていました。犬と違ってペットとして改良されたことがないアライグマは、野生の気質が強く、些細なきっかけで攻撃的になることがよくあります。一度警戒心を抱いた人にはなかなか気を許してくれず、しつけることがとても難しいです。力がとても強く、ペットとして飼っていたものの手に負えなくなった、というケースが数多くあったのです。
アライグマは危険な動物?
アライグマはもともと日本に居なかったので天敵がいません。繁殖力が旺盛なので、動物園から逃げ出したり、ペットとして飼いきれなくなった人達が手放したりしたアライグマが野生化して繁殖し、様々な被害をもたらしています。アライグマの被害は果樹園や畑だけでなく、空き家や民家にまで及びます。留守のときに侵入して天井裏や床下に住み着いたり、ペットのエサや金魚・鯉などを補食したりします。なかには、ゴミをあさるなどの被害もありますよ。
アライグマを主に輸入していたアメリカでは、狂犬病ウイルスを持っている動物とされています。しかし、アライグマは狂犬病ウイルスを持っていても症状が出ないため、感染しているか感染していないか判断し辛く、危険性の高い動物なのです。また、アライグマに多く寄生している回虫や、人獣共通感染症であるレプトスピラ症に感染している場合も多く、ペットや人への感染源になる危険性もあります。
雑食で何でも食べるので、絶滅危惧種のニホンザリガニや天然記念物のシマフクロウの捕食、カエルなどの希少な在来種や野鳥の卵の減少、タヌキやアナグマなどの生息域を荒らすといった生態系に悪影響を及ぼしています。様々な被害が報告されているため、自治体によって捕獲器を設置して捕獲し、駆除していますよ。また、専門の害獣駆除業者にお願いして駆除してもらう方法もあります。
アライグマの病気が人に感染することも
もともとペットとして海外から輸入されたアライグマですが、残念ながら今は多くの被害をもたらす害獣とされています。野生のアライグマは人やペットも感染してしまう病気を持っている可能性が高くあるので、自然のなかで出会ってしまった場合は、近づかないようにしてくださいね。